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未来人:レグ・マサコ・ツキマ①
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“研究所で待ってる”
私の頭にアムからテレパシーが届いた。私は研究所の位置をイメージして、テレポーテーションを使う。一瞬、視界が真っ白になったと思うと、すぐさま元居た場所とは違う景色が目の前に広がる。
数台の水晶玉のような球体が浮いている部屋。ここが私の研究所だ。アムは一台の球体の前で腕を組み、考え事をしていた。
「どうしたの?」
と私が声をかけると、アムはこちらを向き脳内にある情報を私の頭に直接流し込んでくる。莫大な量の情報に、頭がグワングワンするが、私はそれを整理してアムに言う。
「時空が不安定になってる?」
「あぁ」とアムは球体を脳波で操作して、画像を空間に表示させた。その画像は無数のプレートが横倒しになり縦に重なっており、ミルフィーユのように層を作っている。
「俺たちの世界線はここだ」
アムはプレートの一つを拡大させる。
「大丈夫、それぐらい見ればわかる。で?さっきの情報だと、どこかの世界で異常が起きたとあるけど?」
「うん。どこかはわからない。遥か遠い未来かもしれないし、物理法則の異なる別の世界……並行世界で起きているのかもしれない。何にせよ……」
とアムは別の球体の前に行き、それを操作する。
「このまま放っておくと、世界が消滅する。いや、もしくは一つになる?計算ではあと数日……」
「本当に?」
「おそらく……」
「でも、その計算、よく外れるじゃない」
アムはフーと息を大きく吐き、「まぁな」と言った。
「アムの送ってきた情報の中の計算……間違ってる」
「こいつを信用しないと?」
アムは球体を指さしてそう言う。信用しないなんて信じられないという、奇妙な物でも見るような顔をしていた。
「私の計算はこうよ」
私はアムの脳内に自分が導き出した答えを流し込む。すると、アムはビクっとして頭を抱えた。
「はは……!こいつは凄い……そうか……ここがああなって……なるほど……確かに……」
アムは独り言をブツブツと言い、顔を上げて「だとしたら、ちょっと待て……」と私に言った。
「あと数分じゃないか!」
「えぇ」
そうだ。あと数分で複数の世界線で何かが起きる。さっき言ったような、消滅か……それとも一つになるのか……?いったいどうして時空が不安定になったのだろうか?それを研究したいが、どうやらあまり時間は無いようだ。
「こりゃ大変だ。マサコ、衝撃に備えるんだ!」
私とアムは自分たちを包み込むバリアをイメージして、それを空間に出現させた。その瞬間、空間が揺れる。きっと地面が揺れているのだろうけど、研究所は地震ぐらいじゃビクともしない。しかし、空間が揺れは感じられた。こんな事は初めてだ。
“この事に気付いてるの、俺らだけかな?”
アムがテレパシーで訊ねてくる。
“私たちが気付けるんだもの。きっと、時空の不安定さは世界中の科学者の間で騒ぎになってるはずよ。でも、パニックになるから一般人には知らされていない”
“そうだな。でも、いったいどこの世界線が時空を不安定にさせたのだろう?この世界じゃ、時空に干渉する事は重罪だ”
“世界は無限に存在するのよ。現段階で特定なんて出来ない。でも、もしも世界が一つになるのなら……その一つになった世界にいる何かが起こした事になるわね”
研究所内に爆音が響き渡る。まさか、この施設がこれほどまでに衝撃を受けるとは思わなかった。もっと時間をかければこれも計算できたかもしれないが……
数台の球体が衝撃で床に落ちて室内を転がる。落ちた物はもう使えない。空間が揺れ、衝撃波がバリアすらも貫通して私の身体に襲い掛かった。アムの方を見ると、アムはすでに気絶している。
いよいよだ……来る……!!
生き残れたら、いったい世界で何が起きたのかを突き止めて見せる……!そう私が決意した瞬間、世界は暗転し、私は気を失った。
私の頭にアムからテレパシーが届いた。私は研究所の位置をイメージして、テレポーテーションを使う。一瞬、視界が真っ白になったと思うと、すぐさま元居た場所とは違う景色が目の前に広がる。
数台の水晶玉のような球体が浮いている部屋。ここが私の研究所だ。アムは一台の球体の前で腕を組み、考え事をしていた。
「どうしたの?」
と私が声をかけると、アムはこちらを向き脳内にある情報を私の頭に直接流し込んでくる。莫大な量の情報に、頭がグワングワンするが、私はそれを整理してアムに言う。
「時空が不安定になってる?」
「あぁ」とアムは球体を脳波で操作して、画像を空間に表示させた。その画像は無数のプレートが横倒しになり縦に重なっており、ミルフィーユのように層を作っている。
「俺たちの世界線はここだ」
アムはプレートの一つを拡大させる。
「大丈夫、それぐらい見ればわかる。で?さっきの情報だと、どこかの世界で異常が起きたとあるけど?」
「うん。どこかはわからない。遥か遠い未来かもしれないし、物理法則の異なる別の世界……並行世界で起きているのかもしれない。何にせよ……」
とアムは別の球体の前に行き、それを操作する。
「このまま放っておくと、世界が消滅する。いや、もしくは一つになる?計算ではあと数日……」
「本当に?」
「おそらく……」
「でも、その計算、よく外れるじゃない」
アムはフーと息を大きく吐き、「まぁな」と言った。
「アムの送ってきた情報の中の計算……間違ってる」
「こいつを信用しないと?」
アムは球体を指さしてそう言う。信用しないなんて信じられないという、奇妙な物でも見るような顔をしていた。
「私の計算はこうよ」
私はアムの脳内に自分が導き出した答えを流し込む。すると、アムはビクっとして頭を抱えた。
「はは……!こいつは凄い……そうか……ここがああなって……なるほど……確かに……」
アムは独り言をブツブツと言い、顔を上げて「だとしたら、ちょっと待て……」と私に言った。
「あと数分じゃないか!」
「えぇ」
そうだ。あと数分で複数の世界線で何かが起きる。さっき言ったような、消滅か……それとも一つになるのか……?いったいどうして時空が不安定になったのだろうか?それを研究したいが、どうやらあまり時間は無いようだ。
「こりゃ大変だ。マサコ、衝撃に備えるんだ!」
私とアムは自分たちを包み込むバリアをイメージして、それを空間に出現させた。その瞬間、空間が揺れる。きっと地面が揺れているのだろうけど、研究所は地震ぐらいじゃビクともしない。しかし、空間が揺れは感じられた。こんな事は初めてだ。
“この事に気付いてるの、俺らだけかな?”
アムがテレパシーで訊ねてくる。
“私たちが気付けるんだもの。きっと、時空の不安定さは世界中の科学者の間で騒ぎになってるはずよ。でも、パニックになるから一般人には知らされていない”
“そうだな。でも、いったいどこの世界線が時空を不安定にさせたのだろう?この世界じゃ、時空に干渉する事は重罪だ”
“世界は無限に存在するのよ。現段階で特定なんて出来ない。でも、もしも世界が一つになるのなら……その一つになった世界にいる何かが起こした事になるわね”
研究所内に爆音が響き渡る。まさか、この施設がこれほどまでに衝撃を受けるとは思わなかった。もっと時間をかければこれも計算できたかもしれないが……
数台の球体が衝撃で床に落ちて室内を転がる。落ちた物はもう使えない。空間が揺れ、衝撃波がバリアすらも貫通して私の身体に襲い掛かった。アムの方を見ると、アムはすでに気絶している。
いよいよだ……来る……!!
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