異世界スクランブル

異界人：タュリスム①

「いいや、時空を揺るがすような大異変が起こった。それが俺の見解だね」

　カロャムゥジはそう言って、異変後の世界を見渡した。我々の住む世界とは違うものがそこらかしこに見える。すると、ブゥンと音が鳴り、我々の頭上に黒い羽虫が現れた。

　僕はその虫に手を伸ばし、口に入れる。口に入れた瞬間、ジュウっと溶けてそれは僕の栄養となり消えた。

「そんなもの、食べるなよ」

　カロャムゥジが僕の方を見る。

「意外と栄養があるんだよ。カロャムゥジは食べないの？」

「食べたことないね。それより、とりあえずここを動くか」

　僕たちはどこを目指すわけでもなく歩き出した。黒い羽虫が何匹も後ろを付いてくる。

「鬱陶しいな。巣がどこかにあるんだろう」

　とカロャムゥジは言い、背中から触手を伸ばして羽虫を全て捕まえて握りつぶす。ボトボトと羽虫は落ち、死んでいるのが見て取れた。

「あぁ、勿体ない」

　僕がそう言うと、カロャムゥジは「おっ」と言って前を見る。そこには奇妙な恰好をした生物が二匹いた。二本の足で立っており、身体に何かを纏っている。我々と似たような形状だが、ちょっと違う。背中に触手は無く、黒くも無い。きっと違う世界の生物なのだろう。知能はありそうだが……我々よりも劣るような気がする。

　目の前にいる生物は腰からキラリと光るものを取り出して、それを我々の前に突き出す。なんだこれは？もしや、こいつは我々に対して威嚇しているのか？

「あｊｆだｊｆｌｋ；っじゃｌｆｊぁｋ；」

　目の前にいる生物は何やら叫んでいる。どうも我々に対して恐怖を抱いているようだ。あまりよく知らない生物と対立するのは賢い選択とは言えないが……だがしかし、この生物を食べたらどんな栄養を得る事ができるだろう？それに対して僕は興味を持った。それはカロャムゥジも同じなようで、戦闘態勢に入る。