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過去人:足立光郎②
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ワシが目を覚ますと、奇怪な世界が辺り一面に広がっていた。ワシを殺しに来た小僧が目の前で気を失っている。今のうちに殺めてもいいが……それだと面白くない。ワシは小僧の身体を揺すり、起こした。
小僧は眩暈を堪えながら起き上がり、ワシを見て再び刀を構える。それに対してワシは両掌を見せて「まぁ待て」と言った。
「勝負はお預けだ。見ろ。奇怪な世界にワシらは放り込まれた」
「な……これは?」
小僧は驚き、刀を収める。ワシの前で辺りを見渡すとは……なんと愚かな。元の世界ならとっくに殺していたが、この奇妙な世界ではその選択は賢くないだろう。ワシは小僧に訊ねた。
「小僧。名は何という?」
「藤峰小治郎」
小僧はそれだけ言い、何かに気付いた。音がする。虫の羽ばたく音が……
頭上を見渡すと、そこには見た事も無い黒い羽虫がいた。その羽虫は小治郎の頭に引っ付き、嚙みつく。小治郎は「いた!」と叫び、羽虫を振り払おうとする。しかし、次々に羽虫が小治郎に襲い掛かり、このままでは虫に食われてしまうのではないか?とワシは思った。
それを見届けるのも愉快かと思ったが、明日は我が身だ。ワシは小治郎に「動くな」と言い、小治郎の周りに刀を走らせた。髪の毛一本ほどの距離で刀を動かし、虫だけを切り落とす。すると、虫の標的はワシになり、他の虫がワシに向かって襲い掛かってきた。しかしワシは、そやつらを身体に近付ける事なく刀で切り落としていく。
「はっはっは!愉快愉快!」
ワシは虫を切るのが楽しくなっていた。そんなワシを見た虫は、ワシや小治郎から距離を取ってどこかへ飛び去って行く。小治郎は「か……かたじけない」と言い、足をガクガクとさせている。
「まだまだよのぉ」とワシは刀をしまう。
その時、異様な気配を背後に感じた。
「なんぞ?」とワシは振り向き、そこにいる何かを見る。
そこに居たのは背中に触手の生えた人の形をした化物だった。色は黒く、まるで地獄から這い出てきたような生物だ。鬼?いや、そんな生温いものではない。戦ってはいけない。殺される。
「小治郎!!逃げろ!!殺される!!」
ワシは刀を抜き、化物の方を見ながら叫んだ。小治郎は足が震えて動けないでいる。置いていくか?いや、小治郎とは改めて決闘をしたい。ならば……小治郎を守りながら戦うしかないか?どうする?
小僧は眩暈を堪えながら起き上がり、ワシを見て再び刀を構える。それに対してワシは両掌を見せて「まぁ待て」と言った。
「勝負はお預けだ。見ろ。奇怪な世界にワシらは放り込まれた」
「な……これは?」
小僧は驚き、刀を収める。ワシの前で辺りを見渡すとは……なんと愚かな。元の世界ならとっくに殺していたが、この奇妙な世界ではその選択は賢くないだろう。ワシは小僧に訊ねた。
「小僧。名は何という?」
「藤峰小治郎」
小僧はそれだけ言い、何かに気付いた。音がする。虫の羽ばたく音が……
頭上を見渡すと、そこには見た事も無い黒い羽虫がいた。その羽虫は小治郎の頭に引っ付き、嚙みつく。小治郎は「いた!」と叫び、羽虫を振り払おうとする。しかし、次々に羽虫が小治郎に襲い掛かり、このままでは虫に食われてしまうのではないか?とワシは思った。
それを見届けるのも愉快かと思ったが、明日は我が身だ。ワシは小治郎に「動くな」と言い、小治郎の周りに刀を走らせた。髪の毛一本ほどの距離で刀を動かし、虫だけを切り落とす。すると、虫の標的はワシになり、他の虫がワシに向かって襲い掛かってきた。しかしワシは、そやつらを身体に近付ける事なく刀で切り落としていく。
「はっはっは!愉快愉快!」
ワシは虫を切るのが楽しくなっていた。そんなワシを見た虫は、ワシや小治郎から距離を取ってどこかへ飛び去って行く。小治郎は「か……かたじけない」と言い、足をガクガクとさせている。
「まだまだよのぉ」とワシは刀をしまう。
その時、異様な気配を背後に感じた。
「なんぞ?」とワシは振り向き、そこにいる何かを見る。
そこに居たのは背中に触手の生えた人の形をした化物だった。色は黒く、まるで地獄から這い出てきたような生物だ。鬼?いや、そんな生温いものではない。戦ってはいけない。殺される。
「小治郎!!逃げろ!!殺される!!」
ワシは刀を抜き、化物の方を見ながら叫んだ。小治郎は足が震えて動けないでいる。置いていくか?いや、小治郎とは改めて決闘をしたい。ならば……小治郎を守りながら戦うしかないか?どうする?
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