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1 これは、ゲームの話ではない
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「俺、この前ゴブリン倒したぜ」
下校途中の田島隆太は自慢気に僕に言った。僕は「すごいね!」と言って「どうやって倒したの?」と訊ねる。
「持ってた槍でガンガン突きまくった!」
これは、ゲームの話ではない。僕達の住む世界は今、大変な事になっているのだ。どう大変かっていうと、異世界からめちゃくちゃモンスターが転生されてくるのである。スライムみたいな雑魚モンスターから、中ボスクラスのモンスターまで、突然現れる。
何故そんな世界になったかはわからない。偉い人が研究中らしいが、なかなかこれといった結論が出ていないのが現状である。
まぁなんにせよ、そんな世界だからこそ、色々と全世界のシステムが変わってしまった。例えば日本だと、モンスターと闘うために武器を持つ事を許可されている。
「経験値はどれぐらい入ったの?」
僕は隆太くんにそう聞いた。隆太くんは、「たったの30」と指を3本立てて見せる。
どういう理屈か知らないけど、モンスターを倒すと経験値が入るようになっていて、それが一定以上貯まるとレベルアップするのだ。そして、上げたい能力値を増やす事ができる。
モンスターを倒した瞬間に、頭の中に数字が浮かぶのだ、そして、レベルアップすると頭が冴えたような感じがして、上げたい能力を思い浮かべるとその能力がアップする。
なんちゅー世界だよ。
でも、僕は未だにモンスターを倒した事がない。
「勇次も倒せばいいのに」
って隆太くんは言ってくれるが、僕は「モンスターが可哀想だよ」と、モンスターを倒すのに否定的な意見を言う。
「でもさー、あいつら人を襲うんだぜ?倒したほうがいいだろー」
「まぁね……でも、モンスターも生きていると思うと、やっぱりなんか……」
「勇次はダメだなー。優しすぎる」
ダメでいいですけどね、と心の中で思いながら、僕らはいつもの公園へ立ち寄った。小学生の頃から隆太くんとは仲良しで、いつも下校途中に公園へ立ち寄り日が暮れるまで喋っている。中学生になってもそれは変わらず、今もこうしていつも一緒に居た。
「なぁ、勇次は部活、どこにするか決めた?」
そういえば、部活に入るようにプリントが配られてたなぁ、と思いながら、僕は口を開く。
「まだだけど、隆太くんは決めた?」
「決めた」
「え?どこどこ?」
僕が身を乗り出して訊ねると、隆太くんは「冒険部」と握りこぶしを作りながら答える。
「これまた、えらいとこ選んだね」
僕が本音をぶつけると、彼は僕の方を見て言う。
「なぁ、勇次も一緒に入ろうぜ!」
「え?いやいや、冒険部って、どっかそこらへんに出掛けてモンスター退治する部活でしょ?やだよー、僕、モンスター倒せないし……」
「倒せなくてもいいじゃん!一緒に冒険しようよ!」
まぁ実際、冒険部って学校の近辺を散策する部活みたいだし、滅多にモンスター退治することもないみたいだ。だから、まぁ、いっかな……と僕は思った。
「分かった。いいよ。でも、モンスターは倒さないからね!」
「うん!それでいい!やった!」
隆太くんは喜び、ガッツポーズをする。
「なんか、入部希望出しに行くのが心細くってさぁ」
「なんだよ。モンスターは倒せるのに、そういうのは出来ないんだ」
「だってさぁ……」
と、言ったところで、突然目の前に魔法陣が現れて、そこからスライムが現れた。
緑色でゼリーのようにプルンプルンしている。顔と呼べるものはなくて、大きいアメーバのようだった。隆太くんは鞄から折畳式の槍を取り出して構える。
「勇次は下がってな」
そう言った隆太くんは、槍をスライムに向けて突いた。槍は見事にスライムに突き刺さり、そして、スライムは弾け飛ぶ。すると、粉々に散ったスライム一つ一つが独立して動き始め、隆太くんと僕に向かってきた。僕は近くのベンチの上に避難する。
「どうするの?!」
と、僕が言うと、隆太くんは「邪魔くせー」と、何やら槍に力を込めだした。そして、聞き慣れない言葉を叫ぶ。
「グルグルスラーーッシュ!」
あぁ、技名か。ダサい名前だな。
隆太くんは技名を発しながら、発光する槍をグルグルと回してスライムを蹴散らした。
「す、凄いね。あんなに居たのに、全部倒した」
「まぁな」と隆太くんはハァハァと息を切らしている。技を使うと疲労が溜まるようだ。
「たまにいるんだよな、分裂するタイプのスライム。勇次も気をつけろよ」
「あ、ありがとう。分かったよ」
何でこんな世界になったのだろうか?楽しい人はほんとにこの世界を楽しんでいるが、僕みたいなタイプは正直生きづらい。
僕はもっと、普通の生活を望んでいたのに……
こんな僕だけど、冒険部に入って上手くやっていけるだろうか?ワクワクドキドキの中学生活が始まった。
まぁ、何とか頑張るとしますか。
下校途中の田島隆太は自慢気に僕に言った。僕は「すごいね!」と言って「どうやって倒したの?」と訊ねる。
「持ってた槍でガンガン突きまくった!」
これは、ゲームの話ではない。僕達の住む世界は今、大変な事になっているのだ。どう大変かっていうと、異世界からめちゃくちゃモンスターが転生されてくるのである。スライムみたいな雑魚モンスターから、中ボスクラスのモンスターまで、突然現れる。
何故そんな世界になったかはわからない。偉い人が研究中らしいが、なかなかこれといった結論が出ていないのが現状である。
まぁなんにせよ、そんな世界だからこそ、色々と全世界のシステムが変わってしまった。例えば日本だと、モンスターと闘うために武器を持つ事を許可されている。
「経験値はどれぐらい入ったの?」
僕は隆太くんにそう聞いた。隆太くんは、「たったの30」と指を3本立てて見せる。
どういう理屈か知らないけど、モンスターを倒すと経験値が入るようになっていて、それが一定以上貯まるとレベルアップするのだ。そして、上げたい能力値を増やす事ができる。
モンスターを倒した瞬間に、頭の中に数字が浮かぶのだ、そして、レベルアップすると頭が冴えたような感じがして、上げたい能力を思い浮かべるとその能力がアップする。
なんちゅー世界だよ。
でも、僕は未だにモンスターを倒した事がない。
「勇次も倒せばいいのに」
って隆太くんは言ってくれるが、僕は「モンスターが可哀想だよ」と、モンスターを倒すのに否定的な意見を言う。
「でもさー、あいつら人を襲うんだぜ?倒したほうがいいだろー」
「まぁね……でも、モンスターも生きていると思うと、やっぱりなんか……」
「勇次はダメだなー。優しすぎる」
ダメでいいですけどね、と心の中で思いながら、僕らはいつもの公園へ立ち寄った。小学生の頃から隆太くんとは仲良しで、いつも下校途中に公園へ立ち寄り日が暮れるまで喋っている。中学生になってもそれは変わらず、今もこうしていつも一緒に居た。
「なぁ、勇次は部活、どこにするか決めた?」
そういえば、部活に入るようにプリントが配られてたなぁ、と思いながら、僕は口を開く。
「まだだけど、隆太くんは決めた?」
「決めた」
「え?どこどこ?」
僕が身を乗り出して訊ねると、隆太くんは「冒険部」と握りこぶしを作りながら答える。
「これまた、えらいとこ選んだね」
僕が本音をぶつけると、彼は僕の方を見て言う。
「なぁ、勇次も一緒に入ろうぜ!」
「え?いやいや、冒険部って、どっかそこらへんに出掛けてモンスター退治する部活でしょ?やだよー、僕、モンスター倒せないし……」
「倒せなくてもいいじゃん!一緒に冒険しようよ!」
まぁ実際、冒険部って学校の近辺を散策する部活みたいだし、滅多にモンスター退治することもないみたいだ。だから、まぁ、いっかな……と僕は思った。
「分かった。いいよ。でも、モンスターは倒さないからね!」
「うん!それでいい!やった!」
隆太くんは喜び、ガッツポーズをする。
「なんか、入部希望出しに行くのが心細くってさぁ」
「なんだよ。モンスターは倒せるのに、そういうのは出来ないんだ」
「だってさぁ……」
と、言ったところで、突然目の前に魔法陣が現れて、そこからスライムが現れた。
緑色でゼリーのようにプルンプルンしている。顔と呼べるものはなくて、大きいアメーバのようだった。隆太くんは鞄から折畳式の槍を取り出して構える。
「勇次は下がってな」
そう言った隆太くんは、槍をスライムに向けて突いた。槍は見事にスライムに突き刺さり、そして、スライムは弾け飛ぶ。すると、粉々に散ったスライム一つ一つが独立して動き始め、隆太くんと僕に向かってきた。僕は近くのベンチの上に避難する。
「どうするの?!」
と、僕が言うと、隆太くんは「邪魔くせー」と、何やら槍に力を込めだした。そして、聞き慣れない言葉を叫ぶ。
「グルグルスラーーッシュ!」
あぁ、技名か。ダサい名前だな。
隆太くんは技名を発しながら、発光する槍をグルグルと回してスライムを蹴散らした。
「す、凄いね。あんなに居たのに、全部倒した」
「まぁな」と隆太くんはハァハァと息を切らしている。技を使うと疲労が溜まるようだ。
「たまにいるんだよな、分裂するタイプのスライム。勇次も気をつけろよ」
「あ、ありがとう。分かったよ」
何でこんな世界になったのだろうか?楽しい人はほんとにこの世界を楽しんでいるが、僕みたいなタイプは正直生きづらい。
僕はもっと、普通の生活を望んでいたのに……
こんな僕だけど、冒険部に入って上手くやっていけるだろうか?ワクワクドキドキの中学生活が始まった。
まぁ、何とか頑張るとしますか。
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