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2 壁に付着したネバネバの物質
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それから隆太くんと別れて家に帰ってきた。僕の家は閑静な住宅街の隅っこに位置しており、ごくごく普通の一般家庭という感じがする。
まぁ、他の家がどんなもんなのか、知らないし興味もないけど。
玄関の扉前まで差し掛かると、フワッとカレーの匂いが漂ってきた。食欲をそそられる。僕が扉に手をかけると、突然お母さんの悲鳴が聞こえてきた。
「お母さん!」
慌てて中に入ると、エプロン姿の母がキッチンから飛び出てきた。そして、僕に言う。
「どうしよう?レベル上がっちゃった」
「は?」
「さっき、スライムが出てきて、包丁振り回したら偶然倒しちゃったの、そしたらレベルが……」
家の中にもスライムが現れるとは……でも異世界からモンスターが現れ出してから、奴等を見なくなった気がする。そう、黒くてテカテカした奴……ゴキブリだ。いや、下手したらそれ以外の害虫も最近見てないような……
モンスターに捕食でもされているのだろうか?
「ねぇ、なんか、頭が冴えてきたんだけど?どうしたらいいの?」
「えっと、何か上げたい能力を思い浮かべてみて!」
僕は咄嗟にアドバイスをした。するとお母さんは、えーっと、えーっと、と悩み、そして叫ぶ。
「美貌!」
“魅力”にステータスを振るとは……まさかである。でも、お母さんらしい。
「え?スライム倒したけど、お金は出ないの?」
お母さんは浅い知識で僕に訊ねてきた。
「そのモンスターがいる世界だと……たぶん、モンスターを倒した時の素材を売ってお金にしてるんだと思う」
僕は憶測を述べて、キッチンを見に行く。そして、壁に付着したネバネバの物質を指さして言葉を連ねた。
「ほら、これとか、スライムを倒した時に飛び散った素材」
「えー……」
お母さんは不快な顔をして、「そんなのいらない」と吐き捨てた。
あれ?なんか、少しだけお母さんの雰囲気が違う……魅力を上げたからかな?まぁ、お母さんだしどうでもいいけど。
「あとで掃除しなきゃ……」とお母さんはネバネバを避けながらまな板の前に戻る。そして、包丁を洗い始めた。
「お父さんは?」
僕がそう聞くと、お母さんは「んー?」と声を出し、カレーの鍋を気にしながら口を開く。
「ちょっと前に仕事から帰ってきて、装備整えて出てった。晩飯までには帰るって」
お父さんはこういうの好きだからなぁ。
「他に何か言ってた?」
その質問に、お母さんはこう答えた。
「ひと狩り行ってくる。ってさ」
完全にこの世界に馴染んでやがる……羨ましい限りだ。
まぁ、他の家がどんなもんなのか、知らないし興味もないけど。
玄関の扉前まで差し掛かると、フワッとカレーの匂いが漂ってきた。食欲をそそられる。僕が扉に手をかけると、突然お母さんの悲鳴が聞こえてきた。
「お母さん!」
慌てて中に入ると、エプロン姿の母がキッチンから飛び出てきた。そして、僕に言う。
「どうしよう?レベル上がっちゃった」
「は?」
「さっき、スライムが出てきて、包丁振り回したら偶然倒しちゃったの、そしたらレベルが……」
家の中にもスライムが現れるとは……でも異世界からモンスターが現れ出してから、奴等を見なくなった気がする。そう、黒くてテカテカした奴……ゴキブリだ。いや、下手したらそれ以外の害虫も最近見てないような……
モンスターに捕食でもされているのだろうか?
「ねぇ、なんか、頭が冴えてきたんだけど?どうしたらいいの?」
「えっと、何か上げたい能力を思い浮かべてみて!」
僕は咄嗟にアドバイスをした。するとお母さんは、えーっと、えーっと、と悩み、そして叫ぶ。
「美貌!」
“魅力”にステータスを振るとは……まさかである。でも、お母さんらしい。
「え?スライム倒したけど、お金は出ないの?」
お母さんは浅い知識で僕に訊ねてきた。
「そのモンスターがいる世界だと……たぶん、モンスターを倒した時の素材を売ってお金にしてるんだと思う」
僕は憶測を述べて、キッチンを見に行く。そして、壁に付着したネバネバの物質を指さして言葉を連ねた。
「ほら、これとか、スライムを倒した時に飛び散った素材」
「えー……」
お母さんは不快な顔をして、「そんなのいらない」と吐き捨てた。
あれ?なんか、少しだけお母さんの雰囲気が違う……魅力を上げたからかな?まぁ、お母さんだしどうでもいいけど。
「あとで掃除しなきゃ……」とお母さんはネバネバを避けながらまな板の前に戻る。そして、包丁を洗い始めた。
「お父さんは?」
僕がそう聞くと、お母さんは「んー?」と声を出し、カレーの鍋を気にしながら口を開く。
「ちょっと前に仕事から帰ってきて、装備整えて出てった。晩飯までには帰るって」
お父さんはこういうの好きだからなぁ。
「他に何か言ってた?」
その質問に、お母さんはこう答えた。
「ひと狩り行ってくる。ってさ」
完全にこの世界に馴染んでやがる……羨ましい限りだ。
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