異世界からめちゃくちゃモンスターが転生されてくるんだけど、いい加減誰かなんとかしてください

ゆみのり

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3 リザードの尻尾を玄関の傘立ての横に置く

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 晩飯までもうしばらく時間があったので、僕はリビングでテレビを見る事にした。テレビをつけると、夕方のニュースが流れており、ニュースキャスターの男性が原稿を読み上げて、今日あった出来事を教えてくれていた。

 どこそこで巨大なサイクロプスが現れて、誰それが倒しただとか、ゴブリンの肉を食べた人が食中毒で亡くなったとか……外国ではドラゴンが現れて、ミサイルで倒しただとか……モンスターの素材を闇取引していた誰それが捕まったとか……とにかく異世界から現れたモンスターに関する情報が多い。もうウンザリである。

 こうなる前の世界の、芸能人の不倫だとか、SNSで失言しての炎上騒ぎとか、ほんとどうでもいいような情報が懐かしい。もうそういうのはあまり見なくなった。皆、モンスターに興味津々なのだ。

 僕はテレビを消して時間を見る。そろそろお父さんが帰ってくるかも?と思っていると、ちょうど玄関の扉が開く音がして、「ただいま~」とお父さんの声がした。

 お母さんはパタパタと玄関まで歩いて行き、「おかえりなさい」と声をかける。僕もお母さんの後ろからお父さんを出迎えてた。

「お、今日はカレーか」

 そう言ったお父さんの手にはトカゲの尻尾みたいなのが握られている。気持ち悪い……

「お父さん、何それ?」

 僕が怪訝な顔をして聞くと、お父さんはそれを高らかに掲げて言う。

「リザード、倒してきた!まぁ、大きなトカゲだな。んで、レベルが上がったから、知力にステータス振っておいた」

「もう」とお母さんはあきれ顔で言う。「そんなもの、捨ててきてよ。気持ち悪い」

「いやいや、これは戦利品だ!倒した証だ!それに、今はモンスターの素材を取引するのは禁止されてるけど、いつかこれがお金になる日が来る!だから今のうちに集めておけばいいのさ」

 確かにこの異世界からモンスターが転生されてくる現象がずっと続けば、そういう日もくるだろうな。そうなると、モンスター討伐を本業にして、会社で働かなくなる人が増えそうな気がするけど……

「お父さん」と僕は少し気になった事を訊ねる。「いつも知力にステータス振ってるけど、なんで?」

 その質問に、お父さんは答える。

「頭が悪いからだ!」

 その返答を聞いて、まぁ、そうだろうなと思った。その答え方が知力の低さを物語っているような気がするが、言わないでおこう。失礼すぎる。

「知力上げて、どうしたいの?」

 僕が聞きたかったのはこっちだ。お父さんは会社で営業職に就いているが、きっと知力を上げて仕事に活かそうとしているんだろうなぁと僕は思っていた。だけど、お父さんの返答を聞いて驚く。

「魔法、使ってみたい!」

 ダメだこの人……ゴリゴリの戦士系なのに……そんなの使えるわけないじゃないか。お母さんも呆れた顔をしている。まぁいいや、とお父さんとのやり取りに疲れた僕は、ダイニングの方を見て言う。

「お父さん、早くカレー食べよ」

「そうだな。お腹ペコペコだ」

 お父さんがそのままの恰好でダイニングに向かおうとすると、お母さんが止める。

「まず、手を洗ってきなさい。それと、その気持ち悪いの、家の中に上げないで」

「はい……」

 お父さんはシュンとしながら、リザードの尻尾を玄関の傘立ての横に置く。そして、お母さんの顔を見て、何かに気付く。

「あれ?母さん、もしかして魅力上げた?前より凄く魅力的になってる!」

 その途端、お母さんは顔を赤らめて身体をくねらせる。

「わかる~?実はレベル上がっちゃって~」

「やっぱりか~!全然雰囲気違うもん!どうしよう?!俺、今日は夜の冒険しちゃおっかな!」

 あぁもう、子供の前で何言ってんだこの人達……早くカレー食べたい……
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