3 / 11
3 リザードの尻尾を玄関の傘立ての横に置く
しおりを挟む
晩飯までもうしばらく時間があったので、僕はリビングでテレビを見る事にした。テレビをつけると、夕方のニュースが流れており、ニュースキャスターの男性が原稿を読み上げて、今日あった出来事を教えてくれていた。
どこそこで巨大なサイクロプスが現れて、誰それが倒しただとか、ゴブリンの肉を食べた人が食中毒で亡くなったとか……外国ではドラゴンが現れて、ミサイルで倒しただとか……モンスターの素材を闇取引していた誰それが捕まったとか……とにかく異世界から現れたモンスターに関する情報が多い。もうウンザリである。
こうなる前の世界の、芸能人の不倫だとか、SNSで失言しての炎上騒ぎとか、ほんとどうでもいいような情報が懐かしい。もうそういうのはあまり見なくなった。皆、モンスターに興味津々なのだ。
僕はテレビを消して時間を見る。そろそろお父さんが帰ってくるかも?と思っていると、ちょうど玄関の扉が開く音がして、「ただいま~」とお父さんの声がした。
お母さんはパタパタと玄関まで歩いて行き、「おかえりなさい」と声をかける。僕もお母さんの後ろからお父さんを出迎えてた。
「お、今日はカレーか」
そう言ったお父さんの手にはトカゲの尻尾みたいなのが握られている。気持ち悪い……
「お父さん、何それ?」
僕が怪訝な顔をして聞くと、お父さんはそれを高らかに掲げて言う。
「リザード、倒してきた!まぁ、大きなトカゲだな。んで、レベルが上がったから、知力にステータス振っておいた」
「もう」とお母さんはあきれ顔で言う。「そんなもの、捨ててきてよ。気持ち悪い」
「いやいや、これは戦利品だ!倒した証だ!それに、今はモンスターの素材を取引するのは禁止されてるけど、いつかこれがお金になる日が来る!だから今のうちに集めておけばいいのさ」
確かにこの異世界からモンスターが転生されてくる現象がずっと続けば、そういう日もくるだろうな。そうなると、モンスター討伐を本業にして、会社で働かなくなる人が増えそうな気がするけど……
「お父さん」と僕は少し気になった事を訊ねる。「いつも知力にステータス振ってるけど、なんで?」
その質問に、お父さんは答える。
「頭が悪いからだ!」
その返答を聞いて、まぁ、そうだろうなと思った。その答え方が知力の低さを物語っているような気がするが、言わないでおこう。失礼すぎる。
「知力上げて、どうしたいの?」
僕が聞きたかったのはこっちだ。お父さんは会社で営業職に就いているが、きっと知力を上げて仕事に活かそうとしているんだろうなぁと僕は思っていた。だけど、お父さんの返答を聞いて驚く。
「魔法、使ってみたい!」
ダメだこの人……ゴリゴリの戦士系なのに……そんなの使えるわけないじゃないか。お母さんも呆れた顔をしている。まぁいいや、とお父さんとのやり取りに疲れた僕は、ダイニングの方を見て言う。
「お父さん、早くカレー食べよ」
「そうだな。お腹ペコペコだ」
お父さんがそのままの恰好でダイニングに向かおうとすると、お母さんが止める。
「まず、手を洗ってきなさい。それと、その気持ち悪いの、家の中に上げないで」
「はい……」
お父さんはシュンとしながら、リザードの尻尾を玄関の傘立ての横に置く。そして、お母さんの顔を見て、何かに気付く。
「あれ?母さん、もしかして魅力上げた?前より凄く魅力的になってる!」
その途端、お母さんは顔を赤らめて身体をくねらせる。
「わかる~?実はレベル上がっちゃって~」
「やっぱりか~!全然雰囲気違うもん!どうしよう?!俺、今日は夜の冒険しちゃおっかな!」
あぁもう、子供の前で何言ってんだこの人達……早くカレー食べたい……
どこそこで巨大なサイクロプスが現れて、誰それが倒しただとか、ゴブリンの肉を食べた人が食中毒で亡くなったとか……外国ではドラゴンが現れて、ミサイルで倒しただとか……モンスターの素材を闇取引していた誰それが捕まったとか……とにかく異世界から現れたモンスターに関する情報が多い。もうウンザリである。
こうなる前の世界の、芸能人の不倫だとか、SNSで失言しての炎上騒ぎとか、ほんとどうでもいいような情報が懐かしい。もうそういうのはあまり見なくなった。皆、モンスターに興味津々なのだ。
僕はテレビを消して時間を見る。そろそろお父さんが帰ってくるかも?と思っていると、ちょうど玄関の扉が開く音がして、「ただいま~」とお父さんの声がした。
お母さんはパタパタと玄関まで歩いて行き、「おかえりなさい」と声をかける。僕もお母さんの後ろからお父さんを出迎えてた。
「お、今日はカレーか」
そう言ったお父さんの手にはトカゲの尻尾みたいなのが握られている。気持ち悪い……
「お父さん、何それ?」
僕が怪訝な顔をして聞くと、お父さんはそれを高らかに掲げて言う。
「リザード、倒してきた!まぁ、大きなトカゲだな。んで、レベルが上がったから、知力にステータス振っておいた」
「もう」とお母さんはあきれ顔で言う。「そんなもの、捨ててきてよ。気持ち悪い」
「いやいや、これは戦利品だ!倒した証だ!それに、今はモンスターの素材を取引するのは禁止されてるけど、いつかこれがお金になる日が来る!だから今のうちに集めておけばいいのさ」
確かにこの異世界からモンスターが転生されてくる現象がずっと続けば、そういう日もくるだろうな。そうなると、モンスター討伐を本業にして、会社で働かなくなる人が増えそうな気がするけど……
「お父さん」と僕は少し気になった事を訊ねる。「いつも知力にステータス振ってるけど、なんで?」
その質問に、お父さんは答える。
「頭が悪いからだ!」
その返答を聞いて、まぁ、そうだろうなと思った。その答え方が知力の低さを物語っているような気がするが、言わないでおこう。失礼すぎる。
「知力上げて、どうしたいの?」
僕が聞きたかったのはこっちだ。お父さんは会社で営業職に就いているが、きっと知力を上げて仕事に活かそうとしているんだろうなぁと僕は思っていた。だけど、お父さんの返答を聞いて驚く。
「魔法、使ってみたい!」
ダメだこの人……ゴリゴリの戦士系なのに……そんなの使えるわけないじゃないか。お母さんも呆れた顔をしている。まぁいいや、とお父さんとのやり取りに疲れた僕は、ダイニングの方を見て言う。
「お父さん、早くカレー食べよ」
「そうだな。お腹ペコペコだ」
お父さんがそのままの恰好でダイニングに向かおうとすると、お母さんが止める。
「まず、手を洗ってきなさい。それと、その気持ち悪いの、家の中に上げないで」
「はい……」
お父さんはシュンとしながら、リザードの尻尾を玄関の傘立ての横に置く。そして、お母さんの顔を見て、何かに気付く。
「あれ?母さん、もしかして魅力上げた?前より凄く魅力的になってる!」
その途端、お母さんは顔を赤らめて身体をくねらせる。
「わかる~?実はレベル上がっちゃって~」
「やっぱりか~!全然雰囲気違うもん!どうしよう?!俺、今日は夜の冒険しちゃおっかな!」
あぁもう、子供の前で何言ってんだこの人達……早くカレー食べたい……
0
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる