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11 浅慮
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所峰先生の判断で冒険部は撤退する事となった。皆は肩を落としながら校舎へ向かい歩き出す。僕も皆の後ろを付いて行く。僕のせいで冒険部は敗北してしまったのだろうか?心の中がざわざわとする。あぁ、これが悔しいという感情なのだろう。
今まで、そうだ、僕は、客観的に物事を見てきた。俯瞰で誰かの行動を見て、それに対してツッコミを入れて見守る。何だか知らないが上手くいく主人公のような……そんな立ち位置にいると思い込んでいたが、今回当事者になって思い知らされた。
皆一生懸命だ。頑張ってる。馬鹿をしているように見えるけど、そこには目標を達成したいという想いがある。僕のお父さんもそうだ。なのに僕は……
「落ち込んでんの?」
皆と同じように肩を落とす僕に花林が声をかけてきた。
「え?まぁ……」
と、僕は正直な気持ちを口にする。
「だって、僕のせいで……」
「気にする事ないよ」
「でも、下手したら隆太くんが大怪我を……」
「それはまぁ……でも、無事で良かったじゃん」
「うん……」
僕は俯き足を止める。
「あれーー?勇次、泣きそうになってるの?」
花林は僕の顔を覗き見てケラケラと笑う。
「別にそんなんじゃないっての」
僕は再び前を見て、校舎へ入っていく皆の背中を見た。しかし……と、コカトリスの方をチラっと見る。コカトリスはどうして追撃してこないのだろう?自分に危害を加えてきた相手を排除しようとしないのは何故だろう?
コカトリスは今も目を瞑り、その場に腹を付けて座っている。あの体勢ってまさか……と僕は思い、花林に言う。
「なぁ、花林、もしかしてだけど……あのコカトリスって、卵を温めてるんじゃないかな?」
「え?」と花林は僕の方を見て、次にコカトリスに目をやる。「まさか……いや、でも、あり得るか?」
モンスターの生態や身体の構造がどのようなものかは知らないが、自分たちと近い存在なのだとしたら、無いとは言い切れない。モンスターがどのような原理でこの世界に転生されてくるのか知らないが、あのコカトリスは卵を温めている時に転生され、そして引き続き卵を温めているのではないか?
明らかに人に危害を加えそうな見た目で……まぁ実際に危害は与えられていて、倒した方が良いように思える存在だが、本当にそれだけが解決方法だろうか?
僕は急いで校舎内に入る。花林も僕のあとを追ってきて、僕が雲野さんに声をかけるところを見ていた。
「雲野さん!すいません!ちょっと……!」
すると、他の冒険部員も僕の方を向く。
「どうした?勇次くん。もう、さっきの事は気にしなくていい。それより、国が何もしてくれなかった場合……奴をどう倒すかを考えよう」
雲野さんがそう言うと、羽田さんも口を開く。
「その通りだ。終わった事よりこれからの事を考えるんだ」
「それなんですけど……」と僕は言い、さっきの憶測を述べる。
「もしかしたら、あのコカトリスは卵を温めてるんじゃないでしょうか?」
その言葉に隆太くんが「卵?」と聞き返す。「勇次、卵、見たの?」
「いや、見てないけど……でも、いくら攻撃してもあの場所から動かないし、さっきまで危害を加えてきた僕たちの事も追ってこない。それって、卵を守るためにあの場所から動かないのかな……って」
「ほほぉ」と所峰先生は声を出す。「で、だから、どうするつもりじゃ?」
その問いかけに、雲野さんが言葉を発する。
「まさか、その卵を囮に使って不意打ちを喰らわせようというのか?なんと卑怯な……」
「勇次、ゲスい事を考えるな」
いや、コカトリスを殺そうとしていた人達が何を言ってるんだ……まぁいいや、と僕は自分の意見を話す。
「そうじゃないです。その……卵が孵るまで、そっとしておきませんか?」
その提案に、羽田さんが答える。
「だが、あんな所に居座られたら邪魔だろ」
「邪魔ですけど……僕たちはいくらでも融通が利くかと……別に、あそこに居るからって帰れないわけでもないし……」
そう言うと、羽田さんは「確かに……」と頷く。そして、雲野さんの方を見る。
「どうします?雲野さん」
雲野さんは羽田さんの問いかけに、「そうだな……」と考える。
「様子を見るとしよう。勇次くんの言うように、卵を温めているのなら……卵が孵ったあとにあの場所を退くかもしれない。しかし、国がもしも本気でコカトリスを討伐に来るのなら……俺たちは国の判断に従う。仮に国の連中が来る前にコカトリスがこちらに危害を加えてくるようなら、俺たちは全力で戦う」
雲野さんはそう判断して、廊下を歩く。真理さんが僕の方を見て、「浅慮」と言った。どういう意味だろう?と考えていると、「考えが甘いって言う意味じゃ」と所峰先生が教えてくれた。
考えが甘い?本当にそうだろうか?いや、そんな事はない。モンスターだって生きているんだから……簡単に殺すなんて考えるほうが甘いのではないか……?
僕は何だか納得できないまま、隆太くんに寄り添い自分の教室へ向かった。
「私は勇次の考え、嫌いじゃないよ」
花林が僕の表情で何かを察してフォローしてくれる。少しムっとしてたのかな?自分ではわからないものだ……
まぁいいや。何にせよ、冒険部が討伐に出ようとしなくなって良かった。これ以上向かっていけば、きっと誰かが大怪我をする。これでいいのだ。これで。
今まで、そうだ、僕は、客観的に物事を見てきた。俯瞰で誰かの行動を見て、それに対してツッコミを入れて見守る。何だか知らないが上手くいく主人公のような……そんな立ち位置にいると思い込んでいたが、今回当事者になって思い知らされた。
皆一生懸命だ。頑張ってる。馬鹿をしているように見えるけど、そこには目標を達成したいという想いがある。僕のお父さんもそうだ。なのに僕は……
「落ち込んでんの?」
皆と同じように肩を落とす僕に花林が声をかけてきた。
「え?まぁ……」
と、僕は正直な気持ちを口にする。
「だって、僕のせいで……」
「気にする事ないよ」
「でも、下手したら隆太くんが大怪我を……」
「それはまぁ……でも、無事で良かったじゃん」
「うん……」
僕は俯き足を止める。
「あれーー?勇次、泣きそうになってるの?」
花林は僕の顔を覗き見てケラケラと笑う。
「別にそんなんじゃないっての」
僕は再び前を見て、校舎へ入っていく皆の背中を見た。しかし……と、コカトリスの方をチラっと見る。コカトリスはどうして追撃してこないのだろう?自分に危害を加えてきた相手を排除しようとしないのは何故だろう?
コカトリスは今も目を瞑り、その場に腹を付けて座っている。あの体勢ってまさか……と僕は思い、花林に言う。
「なぁ、花林、もしかしてだけど……あのコカトリスって、卵を温めてるんじゃないかな?」
「え?」と花林は僕の方を見て、次にコカトリスに目をやる。「まさか……いや、でも、あり得るか?」
モンスターの生態や身体の構造がどのようなものかは知らないが、自分たちと近い存在なのだとしたら、無いとは言い切れない。モンスターがどのような原理でこの世界に転生されてくるのか知らないが、あのコカトリスは卵を温めている時に転生され、そして引き続き卵を温めているのではないか?
明らかに人に危害を加えそうな見た目で……まぁ実際に危害は与えられていて、倒した方が良いように思える存在だが、本当にそれだけが解決方法だろうか?
僕は急いで校舎内に入る。花林も僕のあとを追ってきて、僕が雲野さんに声をかけるところを見ていた。
「雲野さん!すいません!ちょっと……!」
すると、他の冒険部員も僕の方を向く。
「どうした?勇次くん。もう、さっきの事は気にしなくていい。それより、国が何もしてくれなかった場合……奴をどう倒すかを考えよう」
雲野さんがそう言うと、羽田さんも口を開く。
「その通りだ。終わった事よりこれからの事を考えるんだ」
「それなんですけど……」と僕は言い、さっきの憶測を述べる。
「もしかしたら、あのコカトリスは卵を温めてるんじゃないでしょうか?」
その言葉に隆太くんが「卵?」と聞き返す。「勇次、卵、見たの?」
「いや、見てないけど……でも、いくら攻撃してもあの場所から動かないし、さっきまで危害を加えてきた僕たちの事も追ってこない。それって、卵を守るためにあの場所から動かないのかな……って」
「ほほぉ」と所峰先生は声を出す。「で、だから、どうするつもりじゃ?」
その問いかけに、雲野さんが言葉を発する。
「まさか、その卵を囮に使って不意打ちを喰らわせようというのか?なんと卑怯な……」
「勇次、ゲスい事を考えるな」
いや、コカトリスを殺そうとしていた人達が何を言ってるんだ……まぁいいや、と僕は自分の意見を話す。
「そうじゃないです。その……卵が孵るまで、そっとしておきませんか?」
その提案に、羽田さんが答える。
「だが、あんな所に居座られたら邪魔だろ」
「邪魔ですけど……僕たちはいくらでも融通が利くかと……別に、あそこに居るからって帰れないわけでもないし……」
そう言うと、羽田さんは「確かに……」と頷く。そして、雲野さんの方を見る。
「どうします?雲野さん」
雲野さんは羽田さんの問いかけに、「そうだな……」と考える。
「様子を見るとしよう。勇次くんの言うように、卵を温めているのなら……卵が孵ったあとにあの場所を退くかもしれない。しかし、国がもしも本気でコカトリスを討伐に来るのなら……俺たちは国の判断に従う。仮に国の連中が来る前にコカトリスがこちらに危害を加えてくるようなら、俺たちは全力で戦う」
雲野さんはそう判断して、廊下を歩く。真理さんが僕の方を見て、「浅慮」と言った。どういう意味だろう?と考えていると、「考えが甘いって言う意味じゃ」と所峰先生が教えてくれた。
考えが甘い?本当にそうだろうか?いや、そんな事はない。モンスターだって生きているんだから……簡単に殺すなんて考えるほうが甘いのではないか……?
僕は何だか納得できないまま、隆太くんに寄り添い自分の教室へ向かった。
「私は勇次の考え、嫌いじゃないよ」
花林が僕の表情で何かを察してフォローしてくれる。少しムっとしてたのかな?自分ではわからないものだ……
まぁいいや。何にせよ、冒険部が討伐に出ようとしなくなって良かった。これ以上向かっていけば、きっと誰かが大怪我をする。これでいいのだ。これで。
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