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病院にて
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まったくもって、どうして病院というものは待ち時間が長いのだろうか。その待ち時間を楽しみにやってくる老人にも疑問を感じる。
本当に苦しくて困っているなら別だが、待合室がただのお喋り広場としての認識は待たされる人間にとっては本当に疲れる。
僕、春田大介が病院にいるのは、お母さんの付き添いでいるだけで、特に自分が病気や怪我をしたわけではない。
昨日の夜、お母さんが風呂場で転倒して腰を打った。お母さんが若ければそれほど心配することもないけど、60後半ともなるとちょっと心配だ。だから僕は、お母さんを整形外科へ連れてきた。
朝早く来たというのに、10人以上もすでに待合室にいる。テレビを見ながら他人同士が世間話に花を咲かせていた。
半円形に椅子が置かれており、真ん中に3人ぐらい座れる長椅子があった。僕とお母さんは半円形の端っこに座り名前を呼ばれるのを待っている。
すると、真ん中の椅子に老婆が座りスマホを弄りだした。最近の老人もスマホを使えるとは、時代は進んでいる。
老婆のスマホの画面を興味本位で見ると、老婆はスマホで誰かとメールをしていた。いや、人のメールを見るのはどうかしているが、チラッと見えた内容に僕の目は釘付けとなった。
『計画は?』
計画?なんの計画だろう?
その内容は相手から送られてきたもので、老婆は返信を打っている。まさか、人に見られているとは知らないのだろう。隠すことなく文章を打ち、僕はそれを横目で確認する。
『順調。お昼のニュースが楽しみですね』
いったい何をやらかすつもりだ?ニュース?何かニュースになることをするのか?
僕は老婆の身なりを改めて確認する。ニット帽を被り、茶色のボロい服を着ている。横に置かれた口の開いたバッグからは、なにかの機械の線が見えていた。
何だろう?あれ?
気になった僕は、トイレに行くふりをして立ち上がり、中を見た。すると、長方形の黒い箱からその線が出ている。箱にはタイマーが付いており、爆弾というものが頭に過ぎった。
おいおいまさか……爆弾テロでもするつもりか?いや、こんなところでやったら、何人の犠牲者が出ると思っているんだ?いや、それが目的か?
僕はトイレに入り、時間を置いてから外に出る。そして待合室に戻り、老婆の横を通り、再びバッグの中を見た。爆弾はまだ入っている。
いったいこれは何だろう?と思いつつ、僕はお母さんの隣に座った。ソワソワしながらお母さんの名前を呼ばれるのを待っていると、誰かの名前が呼ばれた。
すると、老婆が立ち上がり、バッグを持ったまま診察室へ入っていく。診察室の扉が閉まり、しばらくしてから何やら人の叫び声がして、その刹那、建物を揺らす程の爆発が診察室を起点に発生した。
黒煙が瞬く間に待合室に広がり、悲鳴が聞こえ、それが連鎖的に広がっていく。僕は驚いているお母さんの手を握り、玄関へと向かうが、同じ思考の人達がそこに押し寄せ、ぶつかり合っていた。
こりゃまずいと思った僕は、冷静にならなければと「みんな!落ち着いて!」と声を張り上げた。
いやはや、まさかこのあと自分がヒーローになろうとは……思っていなかった。
ってところで看護師さんに名前を呼ばれ、僕とお母さんは席を立ち上がった。
爆弾を持った老婆などはおらず、今日も平和だ。
妄想終わり
本当に苦しくて困っているなら別だが、待合室がただのお喋り広場としての認識は待たされる人間にとっては本当に疲れる。
僕、春田大介が病院にいるのは、お母さんの付き添いでいるだけで、特に自分が病気や怪我をしたわけではない。
昨日の夜、お母さんが風呂場で転倒して腰を打った。お母さんが若ければそれほど心配することもないけど、60後半ともなるとちょっと心配だ。だから僕は、お母さんを整形外科へ連れてきた。
朝早く来たというのに、10人以上もすでに待合室にいる。テレビを見ながら他人同士が世間話に花を咲かせていた。
半円形に椅子が置かれており、真ん中に3人ぐらい座れる長椅子があった。僕とお母さんは半円形の端っこに座り名前を呼ばれるのを待っている。
すると、真ん中の椅子に老婆が座りスマホを弄りだした。最近の老人もスマホを使えるとは、時代は進んでいる。
老婆のスマホの画面を興味本位で見ると、老婆はスマホで誰かとメールをしていた。いや、人のメールを見るのはどうかしているが、チラッと見えた内容に僕の目は釘付けとなった。
『計画は?』
計画?なんの計画だろう?
その内容は相手から送られてきたもので、老婆は返信を打っている。まさか、人に見られているとは知らないのだろう。隠すことなく文章を打ち、僕はそれを横目で確認する。
『順調。お昼のニュースが楽しみですね』
いったい何をやらかすつもりだ?ニュース?何かニュースになることをするのか?
僕は老婆の身なりを改めて確認する。ニット帽を被り、茶色のボロい服を着ている。横に置かれた口の開いたバッグからは、なにかの機械の線が見えていた。
何だろう?あれ?
気になった僕は、トイレに行くふりをして立ち上がり、中を見た。すると、長方形の黒い箱からその線が出ている。箱にはタイマーが付いており、爆弾というものが頭に過ぎった。
おいおいまさか……爆弾テロでもするつもりか?いや、こんなところでやったら、何人の犠牲者が出ると思っているんだ?いや、それが目的か?
僕はトイレに入り、時間を置いてから外に出る。そして待合室に戻り、老婆の横を通り、再びバッグの中を見た。爆弾はまだ入っている。
いったいこれは何だろう?と思いつつ、僕はお母さんの隣に座った。ソワソワしながらお母さんの名前を呼ばれるのを待っていると、誰かの名前が呼ばれた。
すると、老婆が立ち上がり、バッグを持ったまま診察室へ入っていく。診察室の扉が閉まり、しばらくしてから何やら人の叫び声がして、その刹那、建物を揺らす程の爆発が診察室を起点に発生した。
黒煙が瞬く間に待合室に広がり、悲鳴が聞こえ、それが連鎖的に広がっていく。僕は驚いているお母さんの手を握り、玄関へと向かうが、同じ思考の人達がそこに押し寄せ、ぶつかり合っていた。
こりゃまずいと思った僕は、冷静にならなければと「みんな!落ち着いて!」と声を張り上げた。
いやはや、まさかこのあと自分がヒーローになろうとは……思っていなかった。
ってところで看護師さんに名前を呼ばれ、僕とお母さんは席を立ち上がった。
爆弾を持った老婆などはおらず、今日も平和だ。
妄想終わり
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