人間になりたい妖精さんは機械仕掛けの騎士〈ギアット〉で世界を旅する。

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クライツの日記1

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 俺はクライツ。自分の名前しか覚えてないが、どうやら周りにいる妖精たちは俺を『母の仔』という存在と認識しているみたいだ。よくわからん。だが、俺専用の家(小屋?)があるのは気に入った。今日からココが俺の拠点に決まった。一応寝具は備え付けてあるみたいだ。とりあえず今日は寝ることにする。
最後に今日の日付……。

聞いた話だと、新神暦507年のミの月らしい。
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新神暦507年リの月

この村、妙に発展していると思ったら先代の母の仔達が色々と技術提供していたみたいだ。というのも、元々この家にあった本を読んでみたらそう書いてあった。日記をつけるあたり、みんな俺とおんなじ思考だなきっと。けど、先代の母の仔達は働き者だったんだな。俺には技術提供なんて無理だし、そんなに頭も良くないから仕方ない。

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新神暦507年リの月

やることもなく、食っては寝てを繰り返して数日が経ったときだった。唐突に頭痛が起きたかと思うと、頭の中で「人になれ」なんて声が聞こえてきた。最初は幻聴かと思ったが、定期的に聞こえてくる。最初以降は頭痛はないが、とても鬱陶しい。今日は寝れそうにない。

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新神暦507年リの月

いつでもどこでも頭の中で聞こえてきたあの声は、ある時を境に聞こえなくなった。いや、原因はわかっている。
俺は聞こえてくる声にうんざりしていた時、つい「人になるから黙れ」と一言漏らした。それが効いたのか、それ以降は聞こえなくなった。だがーーなんとも言えない不安を感じる。……どうすれば、人に成れるんだ? 何をすれば、人に近づける? ……あぁ、ダメだ。思考がおかしい。今日は寝よう。

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新神暦508年ロの月

とりあえず俺は先代たちのように技術提供を始めようとしたが、俺には何も『ない』と言うことに気づいた。焦った。焦ったが、冷静に考えた。村にあるのは出来がいい魔具と、魔法。そして狩りと服飾の技術。これらは先代たちが伝えたもののようだった。ならば俺がするべきことは? ーーそんなもの決まっている。今村にないモノだ。今後はそれを目標に過ごしてみよう。

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新神暦508年 ロの月

 ダメだ。どうすれば俺は村の役に立てる。最近村の妖精たちが俺のことを心配そうな目で見てくる。やめろ、そんな目で俺を見ないでくれ。俺だって、悩んでいるんだ。だけど、頭が悪い俺が何をすればいい?何が足りない。何が……。
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新神暦508年 ロの月

 俺は『私』と口調を改める事にした。そっちの方がなんだかそれっぽいからだ。まぁ、進歩はない。……いつも飯を届けてくれる妖精の娘には頭が上がらない。俺が私と口調を改めたら、笑われた。それだけで、救われた気がした。
今後も頑張ろう。私は、人間にならなければならないのだから。

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新神暦508年 ソムの月

私は人族となにやら奇妙な魔具を見つけた。人族はまだ息がある。いつもより深い場所まできた甲斐はあったのだろうか。家に連れ帰って治療をしようと思ったが、体の大きさが違うため運べない。しょうがなく人族が倒れていた近くに簡易的な小屋を作ってそこに寝かした。あそこまで体が大きいと、寝床もしっかりと用意しないとな。とりあえず今日は治療のための薬と食料を運んでから、私も就寝しよう。

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新神暦508年ソムの月

 人族は数日で意識が戻った。最初のうちは私を警戒していたが、すぐに打ち解けた。私が手当てをし、食料を持ってきているのを知ったからだ。争いがなくて良かった。言葉が通じてよかった。
とりあえず病み上がりの彼には悪いと思った私はいつも通り食料と傷薬、そして追加の服など(大きさで苦労した)を用意して帰った。まだ彼は動けないようだった。

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新神暦508年ソムの月

 徐々に彼は回復していった。いや、彼の名前はロンドと言うらしい。同時に私も名乗った。

 彼が所持している巨大な魔具のことを尋ねると、名は機械仕掛けの騎士ギアットと言うらしい。今は壊れているらしいが、見た目は硬そうな人型の魔具だ。腰には剣らしきものがついていた。その事についても聞くと、驚いた事にコレに乗って戦う魔具ときた。その説明を聞いた時私は…………とても高揚した。
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