戦国時代【神に選ばれた人間/能力者】達が存在し、その者達は【神に授かった業/能力】を使えた。

最上川太郎

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四、佐々成政【神業名:目結紋】

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 佐々家の家紋、目結(メユイ)紋。
 着物の染め方による模様からできた「目結」。
「一族の結束」「一致団結」という意味も込められているが、佐々家の【神業】の内容を知ると、その四角い穴全てから覗かれているような錯覚を覚える。

 佐々成政は幼い頃から信長に仕えていたが、信長には不信感というか、わだかまりのようなものをずっと抱いていた。
 成政は桶狭間の戦いの後、信長を暗殺しようとしている。
 信長から絶大な信頼を得ていたにも関わらずだ。
 しかし、成政と信長の関係を追っていくと、成政の気持ちも見えてくる。
 成政の中に信長に対するある種の想いが芽生えたのは、成政が【神業】を初めて使った信長の初陣の時だった。

 一五四七年、一月。
 信長の初陣、吉良大浜の戦い。
 信長十四歳。
 佐々成政十二歳。
 今川義元の尾張侵攻の情報を聞き、信秀は信長に初陣を命じた。
 今川家の兵力は二千。
 信秀が信長に持たせた兵力は五百。
 当時の家老であった平手政秀、林通勝らは信長の出陣に反対したが、信秀は信長の実力を図るため、五百を活かすも殺すも信長にまかせた。
 五百の兵をまかされた信長は今こそ成政の【神業】を使う時、と直感した。
 成政は自分が【神業】を宿している事実を主君である信長とその義弟である池田恒興にだけ伝えていた。
 自分を重宝してもらうためだ。
 成政は物心ついた時から【神業】を宿していた。
 覚醒した時期や理由は成政自身も覚えていない。
 記憶のない幼い頃に死に目にあったのだろう。
 成政の【神業:目結紋】とは千里眼だった。
 百キロ先までなら、鷹の目になったかのように、空を飛び回り、見たい場所が見下ろせる。
「成政」
 出陣の日。
 信長は池田恒興と佐々成政を呼び、成政に今川軍の様子を【目結紋】で見るように命じる。
「はっ」
 成政は命じられたまま【佐々家神業、目結紋】と唱える。
 成政の目が白目になる。
「今川軍はどのあたりにいる」
 成政には今川軍の行軍が手にとるように上空から見えていた。
「岡崎城の西一里あたりですね」
「速度は」
「徒歩速度です」
「その先にあるのは案祥城と刈谷城、半田城か」
「はっ」
 当時、織田信秀と松平広忠(松平元康の父)は安祥城を巡って熾烈な争いを繰り広げており、獲ったり獲られたりと泥沼のような戦を繰り返していた。
「どの方向に向かっている」
「南の方に向いているので半田城かと」
「よし、ご苦労」
 信長の声に成政は目をおさえる。
 そして、その場に崩れるように座りこんだ。
「恒興」
「はい」
「半田城の守りは弱い。どう思う?」
「案祥城の周りの支城から落としていこうという魂胆かと」
「俺もそう思う」
 この時、安祥城は織田家の領地だったため、今川家が安祥城を狙わないのであれば周囲の支城、砦から落としていく戦略だということは信長にも手に取るようにわかった。
「となると大浜と吉良の間あたりを通るな」
「はい」
「あのあたり一面は枯草で茂っていたな」
 信長は暇を見つけてはこの辺りを恒興と馬で走っていた。
「大浜と吉良の間にはどのぐらいで着くと思う?」
「ゆっくり進んだとして明日の夕刻ぐらいかと」
「では明日の早朝に出陣するか」
「大浜と吉良の間で迎え撃つと?」
「そうだ。大量の弓矢と火鉢の準備を頼む」
「はい」
 池田恒興は返事をするなり早々に詰所へと向かった。
 当時、火は火打ち石でつけるのが常だったが、それだと時間がかかるため火種を絶やさないように火鉢を持ち歩いていた。
 成政はテキパキと指示をこなす信長を憧憬の目で見ていた。
 成政にとってもこの戦が初陣になるのだが、この時はまだ信長に心酔していた。
 さほど年齢が変わらないのに、初陣で五百もの兵をまかされ、何一つ動揺していない。
 自分の【神業】も信長のためならいくらでも差し出す覚悟だった。

 翌日の朝。
 信長軍五百は大浜と吉良の中間地点目指して出陣した。
 那古野城から吉良大浜までは約五十キロ。
 当時の行軍速度は歩兵が普通に歩いて時速四キロ、駆け足で時速八キロと想定され、この時の信長は約五時間で五十キロを踏破したのだから時速十キロ、駆け足以上の速度で進んだことになる。
 この日、西から東にかけて強い風が吹いていた。
 その風が追い風となり、行軍速度も早まったのだろう。
 そして、この風は神風となり織田軍に味方することになる。
 信長がこの風も計算に入れていたかどうかは定かではない。
 しかし、自然が戦に与える影響力をこの戦で実感したことは確かだろう。
 信長軍は川を背面に背を低くして陣取った。
 信長軍の前面には枯草が一面に茂っている。
 夕方が近づいてくると今川軍二千が地平線に見えてきた。
 信長はギリギリまで今川軍が近づいてくるのを待ち、ここぞというタイミングで火矢を放った。
 五百の兵士が放つ火矢が夕日を背に、今川軍に襲い掛かる。
 今川軍は火矢を正面から食らい、一旦後退。
 火矢はそのまま枯草に燃え移り、風の影響で瞬時に燃え広がり、火の海となって今川軍に襲いかかった。
 信長は五十の騎馬隊で火の海に沈む今川軍に突撃した。
 今川軍から見て信長の姿は地獄の中から這い上がってきた鬼のようだった。
 信長隊は敵を斬りつけながら駆け、今川軍の陣形を崩すと、早々に退却した。
 信長の奇襲で今川軍は士気をなくし、岡崎城へと退却した。
 その日の夜、信長は那古野城に戻った。
 那古野城に戻った信長を信秀始め、家老達が褒めちぎった。
 兵士数だけで比べれば勝てる戦ではなかったが、信長軍は無傷の上、相手を退却せしめた。
 しかし、信長はこの勝利に佐々成政の【神業】が貢献していたことを誰にも言わなかった。
 成政にはそのことが納得できなかった。
 信長一人の力で勝てた戦ではない。と。
 信長は翌年に美濃国の斎藤道三の娘、帰蝶と結婚。
 この結婚で、信秀の後継者となる可能性が高まり、それらの成功に成政は嫉妬した。
 成政にはその後も役職が与えられることもなく、成政は桶狭間の戦いまで心にこう思っていた。
 信長、今のおまえがあるのは、おまえ一人の力ではない。

 桶狭間に話を戻そう。
 午前九時。
 一千の兵で熱田神宮を出た織田軍は鳴海城の北に位置する丹下砦を目指した。
 信長としては熱田勢に釘を刺したつもりだった。
 今川になびいていたとしても、自分の意気込みを見せたことで。あからさまに背後を攻撃することはないだろう。
 熱田勢の数は二百。
 それに千秋季忠は義を重んじる性格だ。
 熱田勢を軍勢に入れられず、三人の【神業】を増幅できなかったのは痛かったが、今川軍を倒すことができれば逆に大きな貸しとなる。
「殿」
 ふと佐々成政が信長に近づいてきた。
「どうした」
 信長の返事に、成政は南の方を指さした。
「煙が」
 成政の指差す方を見ると二本の煙が見えた。
 二本、つまり、二か所から煙があがっている。
「あの位置は」
「恐らく、鷲津砦、丸根砦、見ましょうか」
「いや、いい」
 成政が見ましょうか、と言ったのは【神業】で鷲津砦と丸根砦の様子を見ましょうか、ということであり、信長がそれを断ったのは見たところで何も変わらないと思ったからだ。
 二つの砦が落ちたことは既に早馬で聞いていたからさほどショックではない。
 砦そのものを焼かれているのだろう。
 それより二つの砦と鳴海城の間にある中島砦が無事かどうかが気になった。
 しかしまだ成政の【神業】を使うほどでもない。
 人にもよるが【神業】は気軽に使えるものではない。
 【神業】の使用には代償が存在する。
 先の章で述べた松平元康も池田恒興も【神業】の使用による代償は受けていた。
 松平元康の【神業】の代償は、運が奪われること。
 池田恒興の【神業】の代償は、呼吸が奪われること。
 そして、佐々成政の【神業】の代償は、視界を奪われること、だった。

 鳴海城の北に位置する丹下砦に入った織田軍は、丹下砦に在籍していた兵三百を吸収。
 ここに兵千三百となる。
 また、西の笠寺城からの援軍三百が到着し千六百。
 この笠寺城からの援軍を率いていたのが佐々成政の兄である佐々政次だった。
 この時政次は三十八歳。成政とは十四離れている。
 政次は信長の父、信秀の代から織田家に仕え、一五四二年に岡崎城の近くで勃発した織田家と今川家の戦い「小豆坂の戦い」で、今川軍を率いていた太原雪斎に一太刀浴びせるという戦功をあげ小豆坂七本槍に数えられた。
 小豆坂の戦いで政次は頬に傷を受け、今も頬には三日月形の傷が残っている。
 その傷が政次の勇壮さを際立たせている。
「成政」
 自分を呼ぶ声がして振り返ると政次が立っていた。
「兄上」
 成政は珍しく笑顔を見せる。
 普段、人に心を開かない成政だが、兄の政次にだけは心を許していた。
 成政にとって政次は幼い頃から面倒を見てくれた父のような存在であり、武芸を教えてくれた師範のような存在であり、兄という言葉だけでは言い表せなかった。
「元気だったか」
「はい」
 政次の問いに子供のような素直さで返事をする。
「どうだ、信長様の馬廻りは」
「毎日勉強になります」
 信長に対しては疑問に思う部分が多かったが、兄の政次は信秀、信長と織田家二代にわたり忠誠を尽くしている。不安にさせるような素振りは見せられない。
「そうか」
「兄上の調子は?」
「笠寺城をまかされてからはなにかと苦労が絶えないな」
 三日月形の傷をぽりぽりかきながら話す。
「一城の主は大層ご立派なことです」
「まぁ、そうだな、大変だが充実感も大きい」
「いずれはいくつかの城をまかされるのかと」
「ははは、そこまでの器ではないよ、俺は」
「いえ、兄上はそこまでの器です」
 成政は心の底からそう思っていた。
「ところで兄上、清蔵は元気ですか?」
 政次には清蔵という六歳になる子がいた。
 成政にとっては甥になる。
 今年の正月に笠寺に年始の挨拶に訪れた際に、一緒に独楽で遊んだ。
「元気だよ」
「また独楽で遊びたいです」
「清蔵も喜ぶよ」
 清蔵の無邪気な笑顔を思い出す。
「この戦が終わったら笠寺に寄ります」
「そうだな、家族のためにもこの戦いでも笠寺勢を率いて武功をあげねばな」
「私も殿の馬廻りとして武功を上げる所存です」
「そうか、頼もしいな」
 二人は久しぶりの会話を楽しむと、それぞれの持ち場に戻っていった。
 兄、政次の参戦に成政の士気は自分でも思っていないほど高まった。
 兄上がこの戦いに参加するなら心強い。
 なにせ兄上はあの太原雪斎とやり合った小豆坂七本槍の一人なのだから。
 
 丹下砦を出た織田軍は鳴海城の北を迂回するように善照寺砦へと向かった。
 善照寺砦は鳴海城の北東にあり、鳴海城からは山肌に隠れて見えない場所にあった。
 それだけに善照寺砦は戦の準備をするには絶好の場所だった。
 信長が善照寺砦に入ると各城から援軍が続々と駆け付け、ここに織田家において動員可能な全勢力が集結した。
末森城から三百。
古渡城から三百。
星崎城から三百。
善照寺砦に在籍していた三百。
合わせて二千八百となる。
小荷駄隊などは存在しない戦闘部隊だけで構成された二千八百だ。
時間は午前十時。
 信長は善照寺砦の物見櫓に佐々成政と池田恒興を呼んだ。
「さて、ここからだ」
 信長の言葉に成政と恒興がうなずく。
「成政」
「は」
「今川義元本隊の場所を見てくれ」
「は」
 兄のためにも、甥のためにもこの戦いは負けられない。
 【佐々家神業、目結紋】
 成政は信長のためというより、兄と甥のために【目結紋】を使い、自分の目を天空高く飛ばした。
 尾張から三河にかけての一面が見える。
 鳴海城から東海道沿いに東に目を飛ばしていくと、沓掛城から南西方向に向けて進軍していく今川軍が見えた。
 足軽隊を先頭に弓足軽、鉄砲足軽、旗持ち、馬廻り、そして神輿の上に乗っている武将。
 この武将こそが総大将の今川義元だろう。
 白色が所々に差し込まれた大鎧を着、黒の立烏帽子をかぶっている。
 手には銀色に輝く弓を持ち、その弦を退屈そうにもてあそんでいる。
「今川義元です」
「間違いないか」
「一人、輿に乗っています」
「どちらに向かっている」
「南西方向」
「鎌倉往還か」
「いえ」
「東海道か」
「恐らく、もしくは大高道に出るものかと」
「大高道……どう思う恒興」
「はい、恐らく大高城へ向かおうとしているものかと」
 恒興も南西の方に目を凝らしながら話す。
「こちらへの早馬同様、丸根砦、鷲津砦の陥落が義元の元へ伝わっているなら、なおさら大高城へ入るものかと。大高城には松平元康も入っているとの由、大高城を足掛かりとするのが常かと」
「うむ、俺も同意見だ、成政」
「は」
「今川義元本隊の数は」
「五千ほどかと」
「他の兵は」
「全体でおよそ二万五千の兵ですが、義元本隊五千の前後に伸び切っています」
「わかった、成政、最後にひとつ」
「は」
「中島砦周辺の地形を教えてくれ」
「は」
 成政は中島砦周辺の地形を信長に報告する。
「うむ、わかった、ご苦労」
 信長の言葉に成政は【目結紋】を閉じる。
 直後、目が見えなくなるため、しばらくはその場に座りこんだ。
「簗田」
 信長が誰にともなく話しかける。
「殿、やなだとは?」
 恒興が信長に聞こうとすると、信長の横にいつの間にか、旅商人の格好をした男がひざまずいていた。
 あの時と同じだ。
 清州城で熱田勢の動向を伝えてきた農民風の男が現れた時と。
 信長の手の者というこの男、やなだという名前なのか。
「今の情報聞いていたな」
「はっ」
「わかるな?」
「はっ」
 やなだと呼ばれている男は一言そう答えると、スッと姿を消した。
「恒興」
「は、はい」
 恒興は信長とやなだと呼ばれる男のやりとりを目の当たりにし、狐に包まれたような気持ちだった。
「【揚羽紋】の準備は万全か」
「はい」
「よし、ただ、その前に、目くらましが必要だな」
「目くらまし……ですか」
 恒興は信長の考えまでには及ばず、思わず言葉を復唱した。
「殿!」
 その時、伝令が物見櫓に現れた。
「どうした」
「熱田の千秋季忠様が兵を連れてお見えです!」
「ほう、これも、天命か」

 善照寺砦の門前に、千秋季忠と、熱田勢二百の兵が控えていた。
「どういう風の吹きまわしだ」
 信長は季忠に聞く。
 信長の横には池田恒興と佐々成政が控えていた。
 成政はまだ視力が回復していないため恒興の肩を借りていた。
「先ほどの僧侶、商人らのご無礼お許しください」
 季忠はその場にひざまずく。
 季忠に倣って熱田勢二百もひざまずいた。
「なぜさきほどついてこなかった」
「私一人ついていくことはできましたが、それでは殿の力にはなれません」
「ほう」
「そこで、私自ら、殿に忠誠を誓う二百を集め、馳せ参じたわけです」
「……信用できません」
 恒興がそっと信長に耳打ちする。
「……あれだけ拒んでいた熱田勢四百から二百を即座に集めることなど能うるでしょうか」
「……俺に考えがある」
 信長もぼそっと恒興に聞こえるぐらいの声量で返し、
「では、そなたらの忠誠心、見せてもらおうか」
 と熱田勢二百に聞こえるように言った。
「はっ、我ら熱田勢になんなりと下知を」
 季忠は一層頭を低くし答える。
「千秋季忠及び熱田勢二百には鳴海城攻めを命じる」
 信長の下知を聞き、恒興は信長の考えを察した。
 さきほど信長の言っていた目くらましだ。
 信長にとって熱田勢に命じた鳴海城攻めは囮だ。
 囮に今川軍が目をくらませているうちに、信長は義元本隊に近づくつもりだろう。
 そしてその考えは成政にも理解できた。
 かわいそうに。熱田勢は全滅する。
「はっ」
 千秋は愚直に信長の下知を受ける。
「佐々政次を呼べ」
 続いての信長の声に、成政は震えた。
 なぜ兄上を?
 馬廻り衆の一人が政次を連れてくる。
「殿、お呼びでしょうか」
 政次は千秋季忠の横にひざまずく
「政次、お前を鳴海城攻めの大将とする。千秋と共に鳴海城を攻めろ」
 成政は立ち眩みを覚えた。
 なぜ兄上を囮部隊の大将に?
「はっ」
 政次は勇ましく下知を受け取る。
 続いて信長は政次に何かしら話しているようだった。
 しかし、成政にとってはそれどころでなかった。
 だめだ、兄上、これは死に戦だ。
 成政は思わず信長に聞く。
「殿、なぜ兄上を」
 信長は成政の方を見ずに答えた。
「政次ならばあわよくばということもありうる」
 あわよくば?
 なんだそれは?
 そもそもあわよくばという言葉が出る自体、負け前提ではないか。
「それに奴は千秋とも知った仲だ」
 それは分かる。
 それは分かるが。
 それ以上の言葉は成政の口からは出なかった。
 いや、出せなかった。
 いくら成政とはいえ、兄の出陣に異を唱えることは、それ相応の理由がなければ難しい。
「準備を急げ!」
 信長の声と共に、千秋季忠、佐々政次、熱田勢二百は立ち上がり、政次の指示の元、隊列を組み始めた。
 だめだ。
 行ってはだめだ。
 成政はそう思いながらも信長の手前声が出せなかった。
 せめて兄上の姿だけでもこの目で。
 と思ったが視力が回復しない。
 隊列を組み終わった佐々政次、千秋季忠、熱田勢は鳴海城に順に向かっていく。
 成政の視界には、つい先ほど話した政次と、正月に会った時の清蔵の笑顔が浮かんでいた。
 兄上が死んだら残された清蔵はどうする。
 政次と清蔵の笑顔が視界から消えていく、と同時に視力が回復した。
 が、既に政次の姿はなかった。
 視界にあったのは、兄を平然と地獄へ送り出した男の横顔だった。
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