すすめ!ゆーだい!

旱川

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第2話 ひっぱれ!ゆーだい!

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次の日も、ゆーだいとUaaS452は、ナガイモツェントルからカルトグラードへと至る、シベリアの湿地帯を走り続けていた。雨が降り、郊外の道は更に悪路になっていた。杉の木が生い茂り、道が細くなったところで、突然、前方に停まっている車を発見した。それは、LaaDA2102であった。
LaaDA2102は何の変哲もないソビエトの代表的ステーションワゴンであったが、残念なことにフロントデフがついていなか2駆だったのだ。

LaaDAは泥にはまり、前にも後ろに進むこともできずに立ち往生しているようだった。

「これは、助けなければ」とゆーだいは心に決め、UaaS452を停めてヴォルガに近づいた。運転手は、泥にはまってしまっている車を見つめていた。ゆーだいが近づくと、運転手は喜んで声を上げた。

「おお、助かる! 助かる!」

運転手は、若い男性で、あまり運転には慣れていないようだったが、それは、新米であるゆーだいも同じことだった。
ゆーだいが、

「ワイヤーかけて引っ張っから、引っ張ったらアクセル踏んで!」

というと、運転手は感謝の気持ちでうなずき、LaaDAに乗り込んだ。

ゆーだいは、LaaDAを引っ張り出すために、LaaDAのリアにあったフックと自分の452のフロントバンパーをワイヤーでつないだ。

しかし、LaaDAは思ったより深くはまっていた上に、ゆーだいの452も不安定な地面の上で引っ張っていた為に全く上がる気配はなかった。



ゆーだいが勢いをつけて、LaaDAを引っ張る!
そしてLaaDAのフックがちぎれる!
勢いあまって吹っ飛ぶ452。

ああ悲しかな。なぜそんな場所で他車を牽引しているのか、窪みに足を取られた452は、横転してしまった。

窓から身を乗り出していたゆーだいは、どうしようもなく車の下敷きになってしまった。

その時だった。

遠くからエンジンの音が聞こえてきた。この圧縮比16のせき込むような音はあの国民的トラクターだ!

少し暗くなり始めたところにやってきたのは、空色の角ばったトラクター、MBTZ-80だった。

MBTZ-80なら、このていどの泥濘を軽々と走り抜けることができるため、ゆーだいは救助を依頼することに決めた。

MBTZ-80の運転手は、元気な青年で、サトカと名乗った。

サトカはBTZ-80を駆って、安定した地盤を選んで
LaaDAにワイヤーをかけ
トランスファーはロー
ギアもローで
ゆっくりと確実にLaaDAを引き上げた。

ゆーだいは、車の下敷きになりながら、救助作業の進行を見て、感謝の気持ちでいっぱいになった。

次にサトカは、ゆーだいの452を起こそうとしたが、ゆーだいの素晴らしい運転技術により深くはまった452はなかなか起き上がらず、場所が悪く泥濘でタイヤが空転するだけだった。

仕方がなく、サトカは一旦バックで452の近くまでバックし、ワイヤーをたるませ、そこから思いっきり加速した。

ギアは8速だ!

ワイヤーがピンと張る!
MBTZがウイリーする!
そしてUaaSは飛び起きる!

やっとのことでゆーだいのUaaS452は窪みから起き上がったのだった。

作業が終り、ゆーだいとLaaDAの運転手は感謝の言葉を述べると、MBTZ-80の運転手は、ニコッと笑いかけた。

「いいよいいよ。刺さった時はお互い様だから。助けられる人が助ければいいし、今回はたまたま俺が通りかかっただけだから」

MBTZ-80に救出されたゆーだいの452は、ついに目的地に到着した。今回は約束の時間に遅れてしまったために長芋ジュースを飲むことができなかった。

何度ものスタックを経験したゆーだいは、ボロボロになった自分の車を見つめ、もっと頑丈で悪路に強くなるように改造しようと心に決め、次の配送までに、車を改造しようと思い、カルトグラードの自動車パーツ店に向かった。
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