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二日目。。
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二日目。。
二日目の朝、起きると、ばーちゃんが朝ごはんを作っていた。朝から大量の焼き魚を大皿にどーん!と、そして、栗ご飯。組み合わせに驚くのが普通だが、我が家では確かに普通のことだった。
父が死んで、僕たちが家をでてからというもの、母とばーちゃんとじーちゃんだけ。
大皿にもられていた焼き魚は、個別に漬け物付きで盛られるよーになり、兄弟でいつも栗の取り合いだった祖母の栗ご飯は、母が沢山つくるな!と怒るので、ごろごろ栗の入ったあまーい栗ご飯となった。
ひさびさに食べた、栗を探さないと出てこない栗ご飯。あー。これだったか。大人になって舌がこえたのか、あまり美味しくなくなったおばーちゃんの栗ご飯。なにか足りないのは?ではなく、多かったのか。栗が。
あの時大嫌いだった焼き魚。大人になって余ると祖母が可哀想で食べるように尽くした。が、今日は健康万善のじーちゃんと、父にまかせよう。二人とも3匹ずつたべ、大皿の焼き魚も、全てたいらげられた。
「うまい!うまい!」の七色の声に、
ばーちゃんが
「んだべー、んだべー。」と
本当に喜んでいた。
朝食がおわると祖父と祖母は食べたそばから仲良く昼寝してした。昼寝と言うか朝寝だ。普段の二人の日課だった。母がそっと毛布を、かけた。
父が言った。
「ごめん。ギガが足りないから今日は孫は見れない。」
????????。
父の説明によると、あの世にもケータイの容量のギガのようなものがあって、いまこの空間は、あの世とこの世のちょうど真ん中らしい。
そして、ケータイがそれぞれ容量が違うのと同じように、父自体にも容量があり、ここに呼べるのは父が生前長い時間関わってきたもの順に容量が低く呼び出せる事、容量に関しては、日々のあの世の良いことをする努力で増えると父は説明した。
またも僕たちは、対して理解することもなく納得した。
父は、祖父とは、とてもとても仲がわるかったし、お互いぶつかりあって、幼い僕から見ても性格が違いすぎると思ったくらいだ。
だけど、ここには元気な祖父もいる。何故だろう?と、こそっと父にきいた。すると、
「じーさんは、ばーさんが心配であの世とこの世の堺にずっといた!ばーさんを呼んでいた!まぁ、そこにいれる期限は半年なんだが。ちょうど見つけたので、ここに呼ぼうと誘ったらついてきた」
なるほど。納得しかなかった。不思議だ。やはり、父は、父だけは、なぜか僕を納得させる。つまり、僕たちはあの世とこの世のちょうど真ん中にいる。あと6日だけ。
僕は叫んだ!
「早くどっかいこーー!!!!!」
時間が惜しくなった、惜しくて惜しくて、
「今日は、なにする?」
やり損ねた事、何でもしたくて。
僕は叫んだ。
余命宣告されてから、母を沖縄に連れて行きたいといって叶わなかった事、僕らの今後の人生をみたかったけど無理だなと嘆く父。
頭から離れなかった。早く、早くと焦った。それを悟られたのか、父が立ち上がり、
「今日はちーとバスケットをする。。」
と、父は言った。
どうやら妹とバスケをしたいらしい。
「みんなは敵だ!勝負だ!」
何を言ってるのかとおもった。バスケを小学校からやってきた妹。ぼくは小学校だけしかバスケをしていない、母は経験すらあるがいつのことか、弟にいたっては全くのど素人だ。
突然、バスケットボールがでてきた。昔、母がバスケットボール部だった頃、引退でもらったメッセージ付きのバスケットボール。これは父の母の部屋にかざられていた。
僕らは、公園に行った。バスケットゴールのある公園。
2対3の試合が始まった。
そこそこのハンデはあったものの、人数の違いなのか、いい勝負だ。
なんて楽しい。楽しんだ。
父が亡くなる頃、妹はまだ中学三年生だった。妹だけは母に連れられて、しょっちゅう病室に通っていた。
弱り行く父を見て、
「おねーだけ、ずるい。22年もおとーといて、ずるい。私はまだ16年しかいない。」
机におでをつけて、腕で覆い、泣いているのを隠したまま、こー言われたのも、覚えている。
妹は、父に
「バスケットだけは続けろ」と、呪文なような言葉を残され、ちゃんと高校卒業まで辞めなかった。
最近は、二人の子育てで忙しい妹。今だけは忘れてバスケットをしている。
ふと、父は今日も孫である妹の子供を、本当は呼べたけど、呼ばなかったのかなと思えたら笑えた。妹には、心底、甘い父の考えそうな事だ。
ピーピー!!!!!どこからともなく、ブザービートの音が聞こえ、試合終了。
僕らの完敗だった。楽しい、楽しい完敗だ。
昼ごはんに、マヨネーズ嫌いの母の、味の薄くて不味いはずの卵サンドイッチを食べたが、これが、動いたせいなのか、べらぼうに美味かった。
夕方家に帰ると、母の妹と、その旦那が来ていた。
とにかく頑固じーちゃんだった祖父。婿には厳しく、父と、母の妹の旦那さんのタカヒロはお互いの通じるものが多く、友達以上に仲良しだった。父と母が、
「たかひろー、たかひろー」と呼ぶので、僕たち兄弟も「たかひろ。」と呼んでいた。
「今日はみんなでのもう」
酒好きの父の考えそうな事だ。でも、たった1週間と思ったのか、母すらも、ハイテンションで、
「いーぇーい!いえーーい」と踊っていた。
こうして二日目が終わった。
二日目の朝、起きると、ばーちゃんが朝ごはんを作っていた。朝から大量の焼き魚を大皿にどーん!と、そして、栗ご飯。組み合わせに驚くのが普通だが、我が家では確かに普通のことだった。
父が死んで、僕たちが家をでてからというもの、母とばーちゃんとじーちゃんだけ。
大皿にもられていた焼き魚は、個別に漬け物付きで盛られるよーになり、兄弟でいつも栗の取り合いだった祖母の栗ご飯は、母が沢山つくるな!と怒るので、ごろごろ栗の入ったあまーい栗ご飯となった。
ひさびさに食べた、栗を探さないと出てこない栗ご飯。あー。これだったか。大人になって舌がこえたのか、あまり美味しくなくなったおばーちゃんの栗ご飯。なにか足りないのは?ではなく、多かったのか。栗が。
あの時大嫌いだった焼き魚。大人になって余ると祖母が可哀想で食べるように尽くした。が、今日は健康万善のじーちゃんと、父にまかせよう。二人とも3匹ずつたべ、大皿の焼き魚も、全てたいらげられた。
「うまい!うまい!」の七色の声に、
ばーちゃんが
「んだべー、んだべー。」と
本当に喜んでいた。
朝食がおわると祖父と祖母は食べたそばから仲良く昼寝してした。昼寝と言うか朝寝だ。普段の二人の日課だった。母がそっと毛布を、かけた。
父が言った。
「ごめん。ギガが足りないから今日は孫は見れない。」
????????。
父の説明によると、あの世にもケータイの容量のギガのようなものがあって、いまこの空間は、あの世とこの世のちょうど真ん中らしい。
そして、ケータイがそれぞれ容量が違うのと同じように、父自体にも容量があり、ここに呼べるのは父が生前長い時間関わってきたもの順に容量が低く呼び出せる事、容量に関しては、日々のあの世の良いことをする努力で増えると父は説明した。
またも僕たちは、対して理解することもなく納得した。
父は、祖父とは、とてもとても仲がわるかったし、お互いぶつかりあって、幼い僕から見ても性格が違いすぎると思ったくらいだ。
だけど、ここには元気な祖父もいる。何故だろう?と、こそっと父にきいた。すると、
「じーさんは、ばーさんが心配であの世とこの世の堺にずっといた!ばーさんを呼んでいた!まぁ、そこにいれる期限は半年なんだが。ちょうど見つけたので、ここに呼ぼうと誘ったらついてきた」
なるほど。納得しかなかった。不思議だ。やはり、父は、父だけは、なぜか僕を納得させる。つまり、僕たちはあの世とこの世のちょうど真ん中にいる。あと6日だけ。
僕は叫んだ!
「早くどっかいこーー!!!!!」
時間が惜しくなった、惜しくて惜しくて、
「今日は、なにする?」
やり損ねた事、何でもしたくて。
僕は叫んだ。
余命宣告されてから、母を沖縄に連れて行きたいといって叶わなかった事、僕らの今後の人生をみたかったけど無理だなと嘆く父。
頭から離れなかった。早く、早くと焦った。それを悟られたのか、父が立ち上がり、
「今日はちーとバスケットをする。。」
と、父は言った。
どうやら妹とバスケをしたいらしい。
「みんなは敵だ!勝負だ!」
何を言ってるのかとおもった。バスケを小学校からやってきた妹。ぼくは小学校だけしかバスケをしていない、母は経験すらあるがいつのことか、弟にいたっては全くのど素人だ。
突然、バスケットボールがでてきた。昔、母がバスケットボール部だった頃、引退でもらったメッセージ付きのバスケットボール。これは父の母の部屋にかざられていた。
僕らは、公園に行った。バスケットゴールのある公園。
2対3の試合が始まった。
そこそこのハンデはあったものの、人数の違いなのか、いい勝負だ。
なんて楽しい。楽しんだ。
父が亡くなる頃、妹はまだ中学三年生だった。妹だけは母に連れられて、しょっちゅう病室に通っていた。
弱り行く父を見て、
「おねーだけ、ずるい。22年もおとーといて、ずるい。私はまだ16年しかいない。」
机におでをつけて、腕で覆い、泣いているのを隠したまま、こー言われたのも、覚えている。
妹は、父に
「バスケットだけは続けろ」と、呪文なような言葉を残され、ちゃんと高校卒業まで辞めなかった。
最近は、二人の子育てで忙しい妹。今だけは忘れてバスケットをしている。
ふと、父は今日も孫である妹の子供を、本当は呼べたけど、呼ばなかったのかなと思えたら笑えた。妹には、心底、甘い父の考えそうな事だ。
ピーピー!!!!!どこからともなく、ブザービートの音が聞こえ、試合終了。
僕らの完敗だった。楽しい、楽しい完敗だ。
昼ごはんに、マヨネーズ嫌いの母の、味の薄くて不味いはずの卵サンドイッチを食べたが、これが、動いたせいなのか、べらぼうに美味かった。
夕方家に帰ると、母の妹と、その旦那が来ていた。
とにかく頑固じーちゃんだった祖父。婿には厳しく、父と、母の妹の旦那さんのタカヒロはお互いの通じるものが多く、友達以上に仲良しだった。父と母が、
「たかひろー、たかひろー」と呼ぶので、僕たち兄弟も「たかひろ。」と呼んでいた。
「今日はみんなでのもう」
酒好きの父の考えそうな事だ。でも、たった1週間と思ったのか、母すらも、ハイテンションで、
「いーぇーい!いえーーい」と踊っていた。
こうして二日目が終わった。
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