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父。。
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「お父さんが癌になった。」
母からの一通のメール。
午後の仕事が始まる少し前の事だった。だけどそのまんまの、いつもの日常を続ける事以外の選択肢も発想も僕にはなかった。秋晴れの穏やかな日差しが妙に切なかった。
仕事が終わり家に帰ったのは、夜の9時。
出迎えたのはいつもの母と、同じ日常。母もそれしか選択肢も発想も今の所はなかったのだろう。
みんなはいつも通り夕食をすでに食べ終えたあとだった。だから、いつも通り、僕用にラップされたおかずとご飯を食べた。いつもと違うのは、父が今日から入院していなかったこと。
今日から入院となれば、流石に伝えなくてはと、母は今日言ったのだろう。
僕の家族は
工場で働く父。
母。
祖父と祖母(母の両親)。祖父は工事の仕事。
19歳の弟コウキ。地元の市役所で働いている。
中学三年生の妹ナギサ。
そして、僕の7人家族で、とてつもなく田舎で暮らしてるいる。僕は21歳。地元のパチンコ屋さんで働いていた。ちなみに僕は女だ。
母がみんなを集めていった。
「お父さんの余命は3か月だって今日お医者さんに言われた」
予想以上に短かった。あっという間じゃないか!と思った。が、黙って聞いた。
みんなも、そうだった。
いつも父がやっていた家の仕事をみんなで協力してやった。雪かき、おばあちゃんの美容室への送迎。妹の学校への送迎。弱っていく父を見るのが嫌だったので、僕は病院には行かなかった。
父は、僕には厳しかった。僕が僕になったのは、父が男みたいに育てたからだと、僕は思っている。
だが、時にはつまらないギャグをいったり、田舎のヤンキーみたいな父が、僕はなぜか嫌いじゃなかった。僕は、父にほぼ怒られた記憶しかないのに、なぜそう思えたのかわからないが、一つ思い当たるのは。兄弟で一番怒られたけど、一番褒められた気がする。
可愛がられたのは一番下の妹で、
期待されていたのは弟だった。
正月がおわって、二月が来た頃、余命宣告から、3か月がたった。
父はまだ生きていた。
3月。僕は22歳の誕生日になった。
父からメールが届いた。
今思えば、そのメールをなんで永久保存にしなかったんだろうと、今は思う。内容は覚えていないが、確かなのは戦隊ゴレンジャーの赤の動く絵文字が沢山並んでいた。
4月。妹ナギサが高校へ入学した。
入学式へがりがりの状態で父はきた。周りが父を憐れむ顔でみてた。そう妹が教えてくれた。
そして間も無くして。
2010年4月17日。46歳で父は亡くなった。本当にデブだった父は最後ガリガリになって亡くなった。
みんなで泣いた。兄弟3人で、横一列に正座して家に運ばれた父の隣にすわり、父の最後の顔を見に近所の人や、自分達の友達、親戚の人、沢山沢山の人がきたが、ずっと3人で泣いていた。
あの時程泣いた事は無いだろう。涙はこんなに出るのかとあの時思った。
母からの一通のメール。
午後の仕事が始まる少し前の事だった。だけどそのまんまの、いつもの日常を続ける事以外の選択肢も発想も僕にはなかった。秋晴れの穏やかな日差しが妙に切なかった。
仕事が終わり家に帰ったのは、夜の9時。
出迎えたのはいつもの母と、同じ日常。母もそれしか選択肢も発想も今の所はなかったのだろう。
みんなはいつも通り夕食をすでに食べ終えたあとだった。だから、いつも通り、僕用にラップされたおかずとご飯を食べた。いつもと違うのは、父が今日から入院していなかったこと。
今日から入院となれば、流石に伝えなくてはと、母は今日言ったのだろう。
僕の家族は
工場で働く父。
母。
祖父と祖母(母の両親)。祖父は工事の仕事。
19歳の弟コウキ。地元の市役所で働いている。
中学三年生の妹ナギサ。
そして、僕の7人家族で、とてつもなく田舎で暮らしてるいる。僕は21歳。地元のパチンコ屋さんで働いていた。ちなみに僕は女だ。
母がみんなを集めていった。
「お父さんの余命は3か月だって今日お医者さんに言われた」
予想以上に短かった。あっという間じゃないか!と思った。が、黙って聞いた。
みんなも、そうだった。
いつも父がやっていた家の仕事をみんなで協力してやった。雪かき、おばあちゃんの美容室への送迎。妹の学校への送迎。弱っていく父を見るのが嫌だったので、僕は病院には行かなかった。
父は、僕には厳しかった。僕が僕になったのは、父が男みたいに育てたからだと、僕は思っている。
だが、時にはつまらないギャグをいったり、田舎のヤンキーみたいな父が、僕はなぜか嫌いじゃなかった。僕は、父にほぼ怒られた記憶しかないのに、なぜそう思えたのかわからないが、一つ思い当たるのは。兄弟で一番怒られたけど、一番褒められた気がする。
可愛がられたのは一番下の妹で、
期待されていたのは弟だった。
正月がおわって、二月が来た頃、余命宣告から、3か月がたった。
父はまだ生きていた。
3月。僕は22歳の誕生日になった。
父からメールが届いた。
今思えば、そのメールをなんで永久保存にしなかったんだろうと、今は思う。内容は覚えていないが、確かなのは戦隊ゴレンジャーの赤の動く絵文字が沢山並んでいた。
4月。妹ナギサが高校へ入学した。
入学式へがりがりの状態で父はきた。周りが父を憐れむ顔でみてた。そう妹が教えてくれた。
そして間も無くして。
2010年4月17日。46歳で父は亡くなった。本当にデブだった父は最後ガリガリになって亡くなった。
みんなで泣いた。兄弟3人で、横一列に正座して家に運ばれた父の隣にすわり、父の最後の顔を見に近所の人や、自分達の友達、親戚の人、沢山沢山の人がきたが、ずっと3人で泣いていた。
あの時程泣いた事は無いだろう。涙はこんなに出るのかとあの時思った。
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