ハーレムでハブられてるけど、一番愛してる自信ある!

珈琲きの子

文字の大きさ
11 / 32
第一章

11

しおりを挟む
  そんなある日の夜、勇者様の部屋で荷物の整理をしていると、

「ガキはあっち行ってろ」

 と、聖女様の腰を抱きながら戻ってきた勇者様に部屋を追い出された。
 勇者様はついに女性陣とそういう関係を築き始めたらしい。野宿の時は流石になかったけれど、町の宿に泊まれるときは女性陣が交替で勇者様と一夜を過ごしていた。
 勇者様と一晩を共にするたびに、女性陣は勇者様に骨抜きにされていく。まさか、あそこの大きさもテクニックも『ちーと』か!? 『ちーと』なのか!?
 もちろん僕が夜呼ばれることはない。なんとも思わない。うん何とも思わない。大丈夫。
 ただ、勇者様のイケメンな寝顔が見れなくなったのが悲しいだけ。最近勇者様の顔が好きだって、自分で気付いたところ。


 旅にも慣れ、それにつれ敵を倒すことにも躊躇がなくなってきた勇者様。そうなってくると、とんでもなく強くて、魔物には敵なしといった感じだった。さすがに魔王の直属のしもべである魔族には苦戦することもあるけれど。

 魔王領地に近づくにつれ、敵の強さがインフレするのに、こっちのレベルは上がりにくくなっている。とはいっても勇者様御一行は皆レベル500の大台に乗ろうとしている。大台って言うけど、上限がどこかもわからないから大台といえるのかは不明。こんなにレベル上がるとも思ってなかった…。
 現在の状況は勇者様ご一行にはそんなに苦しくないかもしれないけれど、薬草採取依頼でちまちま経験値を貰うことを覚えて、やっとレベル80になったばかりの僕には死活問題。
 敵の攻撃が一回でも当たれば、即死だと思う。なにこのクソゲー。

 まあ、そんなことにはならないように、攻撃を一回だけ無効化してくれる結界石を大人買いして常備してるし、勇者様がタイミングよく僕にぶつかってきたり、蹴飛ばしてきたり、魔法で吹き飛ばしてきたりするから、何とか当たらずには済んでる。女性陣から舌打ちが聞こえてくるけど。
 勇者様の攻撃は手加減されてるのか、敵の攻撃よりかはマシとは言え、瀕死状態にはなる。だから僕の標準装備は、右手に結界石、左手にエクスポーションである。扱いの酷さは相変わらずだ。
 もしかして、勇者様が助けてくれてるのかと思って一度、ありがとうございます、ってお礼したら、『マゾかよ? きめぇ』って言われた。意味は分からなかったけど、軽く傷ついたから、もうお礼はそれっきりだ。
 助けてるわけじゃなく、ちょうどそこに僕がいるだけらしい。自意識過剰だった自分が恥ずかしい。それでも生き永らえてるのは勇者様のお蔭だから、勇者様の事を憎めない。僕は少しのお礼を込めて、助けてもらった翌日の朝食は勇者様の大好物で埋め尽くしている。
 
 けれど、最近あまり嬉しくないことに気付かされた。どうやら僕は心臓に病を患ってしまっているようなのだ。
 旅に出てからちょこちょこと症状が出ていたけれど、今はほぼ毎日胸を締め付けられるような感覚とか、動悸がする。

 朝起こした時の寝ぼけた勇者様を見ると動悸が激しくなって呼吸が苦しくなるし、勇者様が井戸で顔を洗った後、僕に手を差し出してタオルを求めてきた時は、締め付けられる痛みに胸を押えた。極めつけは、夜部屋を追い出された後、自分の部屋で一人でいるとき、あまりの胸の苦しさに泣いてしまった。
 魔王討伐まではもってほしい。僕の心臓。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

地下酒場ナンバーワンの僕のお仕事

カシナシ
BL
地下にある紹介制の酒場で、僕は働いている。 お触りされ放題の給仕係の美少年と、悪戯の過ぎる残念なイケメンたち。 果たしてハルトの貞操は守られるのか?

同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが

カシナシ
BL
聞いてくれ。 騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。 最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。 とうとう直接指摘することにしたけど……? 距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け 短編ラブコメです。ふわふわにライトです。 頭空っぽにしてお楽しみください。

支配者に囚われる

藍沢真啓/庚あき
BL
大学で講師を勤める総は、長年飲んでいた強い抑制剤をやめ、初めて訪れたヒートを解消する為に、ヒートオメガ専用のデリヘルを利用する。 そこのキャストである龍蘭に次第に惹かれた総は、一年後のヒートの時、今回限りで契約を終了しようと彼に告げたが── ※オメガバースシリーズですが、こちらだけでも楽しめると思い

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが

空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。 「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!  人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。  魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」 どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。 人生は楽しまないと勿体ない!! ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

処理中です...