4 / 9
4
しおりを挟む
あれはいつの記憶だろう。
『痛いの、痛いの、とんでけー』
あいつがそんなこと言って僕の胸に手を当ててたっけ。辛そうな顔してるからってさ。それがあまりにも子供っぽいおまじないだから笑っちゃって、そしたら『笑ったな』ってあいつは喜んで……。
あれは誰だったっけ。
黒く塗りつぶされたみたいに、名前と顔だけがさっぱり思い出せなかった。
確か、あいつは客で僕は男娼。
でも、あいつが僕を抱いたのは一度きり。次に店に来た時から、行為はしなくていいから話し相手になってくれ、なんて言う変な奴だった。
『周ほど綺麗な人を見たことがないんだ』
会うたびにそんなことを言って僕を口説いて、あいつはただただ嬉しそうに僕を眺めてた。僕をまるで子供みたいに胡坐の上に座らせて、背中から優しく抱きしめ、それから僕の手を掬い上げて甲にくちづけを落とす。それが癖のようになっていた。
大切になんてされたことがなかった僕は面白いぐらい簡単に恋に落ちて、あいつが来るのを今か今かと待ち侘びるようになった。他の客を取るときも落ち着かず、対応の悪さに折檻を受けたこともあった。
だって、あいつ以外に触られるのが気持ち悪かったんだからしょうがない。
でも、あいつに対しては素直になれなくて、いつもつっけんどんになってしまっていた。
『身請けしたい』
そう言いだしたのはあいつが通い始めてから一年が経った頃。
僕は嬉しすぎてどう反応していいかわからず、いつものように冷たくあしらってしまった。
『決して悪いようにはしないから、受けてくれると嬉しい』
身請け話は僕の意志なんて関係なく、お金さえ出せば楼主が進める。だから、僕に訊く必要なんてないだろ、なんて言って照れを隠した。あいつは苦笑いしながらも、次に来る時に身請け金を持ってくるから、って帰っていった。
あいつを見送った後、僕は身請けされることになったと楼内の皆に言いふらした。幸せの絶頂に立っている気分だった。どんないい暮らしができるんだろうって妄想もしたけど、あいつと一緒にいれることが何よりも嬉しかった。
でも、それから一月経っても二月経ってもあいつは来なかった。楼主も驚いていたけど、僕は驚くなんてものじゃ済まなかった。
『見捨てられてカワイソー』
『我に返ったんじゃない? あんな態度ばっかりとってるから』
そんなことを言ってくる奴らを顔が変形するほど殴り続けてしまうくらいに、自分の惨めさに打ちのめされていた。
結局そいつらの分まで働かないといけなくなって、毎日毎日客を数人相手して。その度に思い出すのはあいつに一度抱かれた時のことばかり。どうして素直に嬉しいと言えなかったのか、あの時一つでも頷いておけば、今はあいつと一緒にいれたのか。なんて後悔ばかりが胸を占めていた。
馴染み客が何人もできたけど、心に空いた穴は埋められることはなかった。もう、あいつに触れられることはない。背中から抱きしめられることも、手の甲にキスされることも、顔を見ることさえもできないのだから。
そして冬が終わる頃、生きている意味を見つけられず、僕は自ら――……
こめかみに涙が伝う。
懐かしくて虚しい記憶。乾いた笑いがこぼれた。
輪廻なんて信じたこともなかったし、あれから幾多の『周』という人生を繰り返してきたなんて、そんなこと思い出したくもなかった。しかも、何の因果か、僕は毎回生き方を失敗して、自分を死に追いやってしまう運命にあるらしい。
ただ、今回は輪廻の輪に戻ることなく、ユノスの中に入ってしまったみたいだけど。
いつもとは違うとはいえ、ほとんど終了を言い渡されている人生には変わりない。ここまで恵まれてないなんて疫病神でもついてるのかもしれない。
瞼を開ければ、朝見た天井が目に入る。教室で意識を失ったことを思い出しつつ、病院にとんぼ返りしたのだと悟った。あの頭の痛さはすっかりなくなっていて、前世の記憶が蘇った所為だったんだなって妙に納得がいった。
「……はぁ、こんなの見せなくたって……」
混乱しているのも確かだけど、それよりも気持ちが滅入ってしまう。溜め息を吐いて起き上がると、目に入ったのは壁際のソファで寝息を立てるエリオだった。
「エリオ……あいつに似てるんだ……」
思い出すきっかけになったのは間違いない。
何だか無性に寂しくて、僕はベッドから降りてエリオの側に立った。それから、掛けてあったブランケットを躊躇なく剥ぎ取った。
「……んむー、……あぇっ!?」
寒さにぶるりと体を震わせたエリオが目を見開いて飛び起きた。その顔に満足して、僕はにっこりと笑ってやった。
「おはよう、エリオ」
「おは、よ……――ってか、体大丈夫か!?」
大慌てで立ち上がると、凝りもせずペタペタと触ってくる。ただ、あいつを思い出したからか全く嫌悪感はなく、反対に久しぶりに触られているような気になってなんだか嬉しくて……
「もう、しつこい!」
「あ、わり……」
酷く恥ずかしくて、それを誤魔化すのにエリオの手を払い除けてしまった。エリオが申し訳無さそうに頭を掻くのを見て、何度自分は同じことを繰り返すんだろうと途端に怖くなる。
「だ、大丈夫だから。あんまり触られるの慣れてないだけで……、だから別に嫌とかじゃ……」
僕が言い訳がましく言うと、エリオはパチパチと瞬きしてから破顔した。
「知ってる。でも、嬉しすぎて触りすぎる俺も悪いし」
「嬉しい? ……僕を自分のモノにできたこと?」
「んーまぁ、そんなとこ。――さて、悪いところはなさそうだし、一回診てもらって、寮に戻りますか。ゆっくり休まなきゃだしな」
「やっと病院から出れるんだから、どこか寄りたいんだけど」
「ダーメ。さっきもぶっ倒れたくせに何言ってんだよ」
「……けち」
「けち!? ……けちって」
「折角エリオとデート、って思ったのに」
「……おまえなぁ、そういうかわいいこと……」
唇を尖らせていると、ふぅ、と深く息を吐き出しつつエリオが頭を抱えた。
「口先だけとは言え、そういうのは軽々しく口にしないこと。俺の理性をこれ以上揺らがせるなよ」
「えー、いいんだよ、我慢しなくて。僕はエリオのモノなんだから」
「こら、そういうとこ。俺のモノだったら、なおさら自分のこと大事にしてくれないと」
「はいはい。マジメ君」
嫌がってないんだから襲っちゃえばいいのに、って思うけどエリオには無理そう。僕の貞操観念がおかしいのかもしれないけど、そこは男らしくどしっと構えていて欲しいっていうか、こんなところまであいつと似なくていいのに。
そこそこ整っている顔を見つめていると、エリオが微笑む。途端にとくとくと僕の胸が音を立てた。ほら、と手を差し出されて手を繋ぐ。僕があいつと送りたかった何気ない日常のワンシーンがここにあって、どこかむず痒かった。
『痛いの、痛いの、とんでけー』
あいつがそんなこと言って僕の胸に手を当ててたっけ。辛そうな顔してるからってさ。それがあまりにも子供っぽいおまじないだから笑っちゃって、そしたら『笑ったな』ってあいつは喜んで……。
あれは誰だったっけ。
黒く塗りつぶされたみたいに、名前と顔だけがさっぱり思い出せなかった。
確か、あいつは客で僕は男娼。
でも、あいつが僕を抱いたのは一度きり。次に店に来た時から、行為はしなくていいから話し相手になってくれ、なんて言う変な奴だった。
『周ほど綺麗な人を見たことがないんだ』
会うたびにそんなことを言って僕を口説いて、あいつはただただ嬉しそうに僕を眺めてた。僕をまるで子供みたいに胡坐の上に座らせて、背中から優しく抱きしめ、それから僕の手を掬い上げて甲にくちづけを落とす。それが癖のようになっていた。
大切になんてされたことがなかった僕は面白いぐらい簡単に恋に落ちて、あいつが来るのを今か今かと待ち侘びるようになった。他の客を取るときも落ち着かず、対応の悪さに折檻を受けたこともあった。
だって、あいつ以外に触られるのが気持ち悪かったんだからしょうがない。
でも、あいつに対しては素直になれなくて、いつもつっけんどんになってしまっていた。
『身請けしたい』
そう言いだしたのはあいつが通い始めてから一年が経った頃。
僕は嬉しすぎてどう反応していいかわからず、いつものように冷たくあしらってしまった。
『決して悪いようにはしないから、受けてくれると嬉しい』
身請け話は僕の意志なんて関係なく、お金さえ出せば楼主が進める。だから、僕に訊く必要なんてないだろ、なんて言って照れを隠した。あいつは苦笑いしながらも、次に来る時に身請け金を持ってくるから、って帰っていった。
あいつを見送った後、僕は身請けされることになったと楼内の皆に言いふらした。幸せの絶頂に立っている気分だった。どんないい暮らしができるんだろうって妄想もしたけど、あいつと一緒にいれることが何よりも嬉しかった。
でも、それから一月経っても二月経ってもあいつは来なかった。楼主も驚いていたけど、僕は驚くなんてものじゃ済まなかった。
『見捨てられてカワイソー』
『我に返ったんじゃない? あんな態度ばっかりとってるから』
そんなことを言ってくる奴らを顔が変形するほど殴り続けてしまうくらいに、自分の惨めさに打ちのめされていた。
結局そいつらの分まで働かないといけなくなって、毎日毎日客を数人相手して。その度に思い出すのはあいつに一度抱かれた時のことばかり。どうして素直に嬉しいと言えなかったのか、あの時一つでも頷いておけば、今はあいつと一緒にいれたのか。なんて後悔ばかりが胸を占めていた。
馴染み客が何人もできたけど、心に空いた穴は埋められることはなかった。もう、あいつに触れられることはない。背中から抱きしめられることも、手の甲にキスされることも、顔を見ることさえもできないのだから。
そして冬が終わる頃、生きている意味を見つけられず、僕は自ら――……
こめかみに涙が伝う。
懐かしくて虚しい記憶。乾いた笑いがこぼれた。
輪廻なんて信じたこともなかったし、あれから幾多の『周』という人生を繰り返してきたなんて、そんなこと思い出したくもなかった。しかも、何の因果か、僕は毎回生き方を失敗して、自分を死に追いやってしまう運命にあるらしい。
ただ、今回は輪廻の輪に戻ることなく、ユノスの中に入ってしまったみたいだけど。
いつもとは違うとはいえ、ほとんど終了を言い渡されている人生には変わりない。ここまで恵まれてないなんて疫病神でもついてるのかもしれない。
瞼を開ければ、朝見た天井が目に入る。教室で意識を失ったことを思い出しつつ、病院にとんぼ返りしたのだと悟った。あの頭の痛さはすっかりなくなっていて、前世の記憶が蘇った所為だったんだなって妙に納得がいった。
「……はぁ、こんなの見せなくたって……」
混乱しているのも確かだけど、それよりも気持ちが滅入ってしまう。溜め息を吐いて起き上がると、目に入ったのは壁際のソファで寝息を立てるエリオだった。
「エリオ……あいつに似てるんだ……」
思い出すきっかけになったのは間違いない。
何だか無性に寂しくて、僕はベッドから降りてエリオの側に立った。それから、掛けてあったブランケットを躊躇なく剥ぎ取った。
「……んむー、……あぇっ!?」
寒さにぶるりと体を震わせたエリオが目を見開いて飛び起きた。その顔に満足して、僕はにっこりと笑ってやった。
「おはよう、エリオ」
「おは、よ……――ってか、体大丈夫か!?」
大慌てで立ち上がると、凝りもせずペタペタと触ってくる。ただ、あいつを思い出したからか全く嫌悪感はなく、反対に久しぶりに触られているような気になってなんだか嬉しくて……
「もう、しつこい!」
「あ、わり……」
酷く恥ずかしくて、それを誤魔化すのにエリオの手を払い除けてしまった。エリオが申し訳無さそうに頭を掻くのを見て、何度自分は同じことを繰り返すんだろうと途端に怖くなる。
「だ、大丈夫だから。あんまり触られるの慣れてないだけで……、だから別に嫌とかじゃ……」
僕が言い訳がましく言うと、エリオはパチパチと瞬きしてから破顔した。
「知ってる。でも、嬉しすぎて触りすぎる俺も悪いし」
「嬉しい? ……僕を自分のモノにできたこと?」
「んーまぁ、そんなとこ。――さて、悪いところはなさそうだし、一回診てもらって、寮に戻りますか。ゆっくり休まなきゃだしな」
「やっと病院から出れるんだから、どこか寄りたいんだけど」
「ダーメ。さっきもぶっ倒れたくせに何言ってんだよ」
「……けち」
「けち!? ……けちって」
「折角エリオとデート、って思ったのに」
「……おまえなぁ、そういうかわいいこと……」
唇を尖らせていると、ふぅ、と深く息を吐き出しつつエリオが頭を抱えた。
「口先だけとは言え、そういうのは軽々しく口にしないこと。俺の理性をこれ以上揺らがせるなよ」
「えー、いいんだよ、我慢しなくて。僕はエリオのモノなんだから」
「こら、そういうとこ。俺のモノだったら、なおさら自分のこと大事にしてくれないと」
「はいはい。マジメ君」
嫌がってないんだから襲っちゃえばいいのに、って思うけどエリオには無理そう。僕の貞操観念がおかしいのかもしれないけど、そこは男らしくどしっと構えていて欲しいっていうか、こんなところまであいつと似なくていいのに。
そこそこ整っている顔を見つめていると、エリオが微笑む。途端にとくとくと僕の胸が音を立てた。ほら、と手を差し出されて手を繋ぐ。僕があいつと送りたかった何気ない日常のワンシーンがここにあって、どこかむず痒かった。
104
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
オメガのブルーノは第一王子様に愛されたくない
あさざきゆずき
BL
悪事を働く侯爵家に生まれてしまった。両親からスパイ活動を行うよう命じられてしまい、逆らうこともできない。僕は第一王子に接近したものの、騙している罪悪感でいっぱいだった。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
隠れオメガの整備士は自由になりたい。なのに暴走する最強騎士を身体を張って止めたら、運命の番だとバレて過保護な専属契約を結ばされました
水凪しおん
BL
※オメガバース設定。激しい戦闘描写や、執着攻めによるマーキング描写、軽度の性的な接触の描写がありますので、15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
汚染された惑星を浄化する生体兵器『機装(ギア)』。
その搭乗者は優れた能力を持つ『アルファ』に限られ、彼らの精神を安定させる鎮静剤として『オメガ』が存在する世界。
整備士のエリアンは、オメガであることを隠し、ベータと偽って軍の最前線で働いていた。
オメガは道具のように扱われるこの社会で、自由を守るための必死の嘘だった。
だがある日、軍最強のエリートパイロット・クレイドの機装が暴走する事故に遭遇する。
死を覚悟して止めに入ったエリアンだったが、暴走する機体はなぜか彼にだけ反応し、沈静化した。
それは、隠していたオメガのフェロモンが、クレイドと強烈な『共鳴』を起こした瞬間だった。
「見つけた。俺の対になる存在を」
正体がバレたと戦慄するエリアンに対し、冷徹なはずのクレイドが向けたのは、処罰ではなく執着に満ちた熱い視線で……?
孤独なエリート騎士×身分を隠した健気な整備士。
星の命運と本能が交錯する、近未来SFオメガバース!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる