やりすぎハイスペックな俺が行く 異世界チートな旅路

とやっき

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1章 異世界の魔王 一つ目の危機

23話 好かれたぜ メルフィナ

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「あれ、生きてる? あたし、魔王に負けたんじゃ?」

 ハルティナが目を覚ましたようだ。

「姉さん! 怪我はないですか?」

「め、メル。どこも問題ないよ・・・ん?」

 ハルティナは、ある違和感に気づいた。

 違和感の正体は、メルフィナがいつも身に纏っている精霊が見えない、つまりメルフィナが精霊術を解除していること。


 メルフィナは自分の病を抑えるために、常に精霊と同化していた。

 それでも日に日に病は悪化していき、寿命は残すところ、あと半年というところまで迫っていたはずだ。

 そんな状況下で、精霊との同化を解くなんて自殺行為だ。
 ハルティナはアタフタと取り乱しながら、メルフィナの身を案じる言葉を発する。

「メル! 自殺する気なの!? 辛いのは分かるよ、分かるけど、お姉ちゃんは少しでもメルに長生きして欲しいのよ! だからお願いだからこんなことしないで・・・」

 ハルティナ目から、わずかだが涙が流れ落ちる。

 メルフィナはニヤニヤしながら、ハルティナの様子を見ていた。

「ふふん、姉さん。私の病気、実は治っちゃいました! カイ様が治してくださったんですよ!」

 見事なドヤ顔を披露するメルフィナと、信じられないと絶句するハルティナ。

「か、カイってあの、人間の魔王様よね? ほんとなの? ほんとにほんと?」

「本当ですよ、姉さん。もう大丈夫なんです。今、どこも痛くないんですよ」

 ハルティナはメルフィナに抱きついて、その目から滂沱ぼうだの涙を流した。

 メルフィナはハルティナの頭をヨシヨシとで始めた。


 どっちが姉なんだ、と心の中でツッコミを入れる俺。
 さて、出番が全然来ないし、話を早く進めたい。

 メルフィナとは事務的な話は(セラファルに手伝ってもらって)済ませた。

 ハルティナには、今後も領主としてこの地を任せたいから、そのお願いをする予定だ。

「ハルティナ、ちょっと話がある。水を差すようで悪いが、早く泣き止んで欲しい」

「魔王様ぁぁぁ! ありがとうございます! ありがとうございます!」

 ハルティナが今度は俺に抱きついてきた。

 嬉しいんだけど、やめてくれ。

 セラファルとウルリルが・・・今回は仕方なさそうな目をしている。

 なんか、助かったな。


「ぐすっ、魔王様。何とお礼を言ったらいいんでしょうか。かくなる上はこの体を使って、あたしの初夜を捧げ・・・」

「やめい」

 すかさず頭にチョップを打ち込む。

 感動が台無しじゃないか。


「いたた。申し訳ありません。それで、あたしに話って何でしょうか? 難しい話は全部メルフィナに任せたはずなんですが」

 なるほど。そういえば脳筋だったな、こいつ。

 だが筋は通さないといけないから、彼女の意思を聞かないとな。


「この領地を、引き続き任せてもいいだろうか?」

「え、逆に良いんですか? あたしは魔王様にきばを向けたんですよ? 反逆者と言われてもおかしくないのに」

「良いもなにも、元からハルティナの領地だろ? 奪う気はないし、逆に治めてもらわないと困るからな」

 代理の者なんていないし、これだけの実力がある者を探すのは、それはもう大変だろう。

 それにハルティナは意外と人望が厚い。

 領民への物腰が柔らかいようで、親しみやすい領主様と言われていたのを、セラファルと町で確認済みだ。

 彼女の評価は十分すぎるほど高かったのだ。戦闘好きなだけではないということだ。

「あ、ありがとうございます! これからは魔王カイ様のためにあたしの身を捧げ・・・じゃなかった。領民共々、尽くしてまいります! あたし、いっぱい頑張ります!」

 ん?
 まあよし、これで一安心だ。

 これで心置きなく、次の領に向かうことができる。


「あ、姉さん。私はカイ様について行きますね」

「は?」「ふぇ?」


 俺とハルティナの間抜けな声が部屋に響いた。

「メルフィナ? そんな話は無かっただろ?」
「ああ、ついにメルが姉離れしちゃうのね。お姉ちゃん寂しいよ」

「姉さん。私はカイ様の側室になれるように頑張りますね」

 そ、そく、え?

「頑張ってね。でも正妻目指しちゃったほうがいいわよ!」

「そうですね。できる限りアプローチします!」

「メルが正妻になったら、あたしをお妾さんに推してくれないかな?」

「仕方ないですね。姉さんなら構いませんよ。それまで少しは女を磨いてくださいね」

「うん! 頑張っちゃうから!」

「お前ら、何を勝手に決めてんだ」

 ハルティナとメルフィナの両方にチョップしておいた。

 話が飛躍し過ぎだろ。


「まぁメルフィナが同行するのは別にいいけど、変なことするんじゃないぞ」

「はい! 宜しくお願いします、カイ様」

 メルフィナは強そうだし、頭も良さそうだ。なかなかいい戦力になってくれるだろう。

 もし何か変なことをしてきたら、セラファルガードが入るに違いない。
 そこはセラファルを信じよう。

「セラファルさん、ライバルが増えましたね。これからどうしましょうか?」
「ウルリルさん、あとでメルフィナさんとお話する必要がありますね」

 早速セラファルガードが、入りそうだ。

 安心安全のセラファルガード。
 これはセ○ムも顔負けだろう。

 ちなみにリーサは我関せずといった表情をしている。
 エミュはさっきからずっと眠っている。さすがは猫。よく寝るなー。
 起きたら目一杯撫でてしまおう。


「もう話は終わったですかい? 次の目的地は、東の領地ですぜ」

 痺れを切らしたラーグルさんが、次の目的地を教えてくれた。


 東領 アンチャウス領。

 領主は、ゼスタ・アンチャウス。
 魔王国の四名の領主の中で、一番強いと噂されている魔族だ。

 北の領主のハルティナが従った今、南の領の領主は死亡しているため、最後の難関は南の領地を治める彼となるだろう。
 ちなみに西の領主はゼルドスさんだから問題ない。


 アンチャウスは人間の国を勝手に襲ったらしいからな。
 ちょっとくらい痛い目を見てもらうことになりそうだ。


 待ってろよ、ゼスタ・アンチャウス!


 メルフィナが新たな仲間に加わり、一行は目的地である東領へと馬車で進んで行く。

 その途中には、もちろん霊域が存在しているのであった。





 その頃、フィスタシア王国の湖で、声を荒げる人物がいた。

「なんじゃこの封印は!? まさか聖騎士共め、30年もかけて結界を地道に、より強力なものにしよったのか!?」

「申し訳ありません、教皇様。これではすぐに封印を解くことは不可能でございます。暫しお時間を頂きたく思います」

 アドルフォは、複雑な結界封印を何度も何度も舌打ちをした。

 だが無駄な行動をしたところで、結界が無くなることはない。
 アドルフォは部下の魔術師を総動員して、封印の解放を急がせることにした。

「聖騎士に解かせようにも聖騎士は全部殺してしまった。ええい、このままでは魔王様に捧げる生贄が・・・魔王様、申し訳ございません!」


 封印解除は、かなりの時間がかかりそうだ。

 アドルフォは顔を真っ赤にして憤慨しながら「全フィスタシア国民生贄計画」の、日程の見直しを始めるのであった。



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