やりすぎハイスペックな俺が行く 異世界チートな旅路

とやっき

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1章 異世界の魔王 一つ目の危機

25話 笑うぜ それが一番

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「「「「「「 え!? 」」」」」」


 全員が驚きの声を上げた。

 断った理由が、ちょっと言ってみたかっただけだなんて言えないので、急いで言い訳を考える。


「えっと、リーサは俺にグラスタを倒してもらいたいのか? それとも自分で倒したいのか?」

「私が倒せるわけないもの。カイにお願いするしかないわ」

「なるほど。それでリーサはいいのか? 俺に任せて終わらせて、リーサは本当に納得いくのか?」

 リーサは俯いてしばらく黙っていた。
 心の中で、葛藤しているのかもしれない。

「納得するしかないじゃない。力がある人にお願いするしか、私にはできない。私は弱いから、だから・・・」

 初めから諦めるか。
 ああもう、そういうことならこっちも心を鬼にしてやる。

「自分が弱いから諦めるのか? そうだよな。周りの大人たちにチヤホヤされ続けたお姫様だもんな。努力しようなんてこと、選択肢にすら入らないよな」

「な、違っ」

「違うのか? お前はいつ努力したんだ? 何もしなくても、美味しい料理は出てくる。欲しいものがあれば、可能な限り用意してもらえる。そうだろ? どうなんだお姫様?」

 少しずつ、リーサの頭に血がのぼっていく。

「私は、そんなんじゃない! 努力だってしてる! だからこうやって・・・」

 リーサの目は、今にも溢れ出しそうになっている。

「こうやって何だよ。人にお願いすることを頑張ってるとでも? なぜ自分が努力して、敵を倒そうと思わない? なぜ強くなりたいと願わない?」

「私だって強くなりたいわよ! でも私は弱いの! そんなの自分が一番よく分かってるわよ!」

「弱いから、強くなれないっておかしいだろ」

「・・・え?」

「弱いから、強くなるんだろ。自分の弱さが分からなかったら、強くなれなんてしないだろ。お前は頭が固いんだよ。辛くなったら泣いたっていいよ。一人で溜め込むな。全部吐き出せ。頭をカラッポにしろ。ほら・・・」

 カイはそっとリーサを抱きしめて胸を貸した。
 リーサはそのまま顔を埋めると、堰を切ったように泣き叫んだ。


「ゔぅ、ゔわぁあ゛ぁぁぁ!!」

 泣いた。ひたすら泣いた。

 惨めに、みっともなく泣き崩れた。

 ずっと溜め込んできた感情を、ただただ泣き叫ぶことで吐き出した。

 兄に命を狙われて、ずっと怯えて過ごしてきた。
 目の前で大勢の人が殺されても、生きるために逃げ回った。

 一人だった。誰と居ても孤独だった。
 本当に頼れる人は誰一人いなかった。

 疑ってきた。心からは信じなかった。
 それが生きるすべなのだと思っていた。

 違う。そうじゃない。

 本当は何もかも逃げてきた。
 本当は目を逸らし続けていた。

 自分が弱かったから。
 ひどく臆病だったから。

 でもそれじゃあ先に進めない。
 後ろばっかり気にしていられない。

 前を向こう。そう思えた。
 今を見よう。決心がついた。

 逃げない。逸らさない。

 奪われないために。奪わせないために。
 強くなる。絶対に強くなる。

 だから・・・。





 リーサの瞳には、もう迷いはなかった。

 強く、深い意思が、静かに燃えていた。


「カイ、ごめんなさい。そしてありがとう」

「ああ、俺も酷いこと言って悪かったな」

 互いに謝って少し気恥ずかしくなりながらも、リーサは力強く言葉を続けた。


「カイ。もう一度お願いしてもいい? 今度は、今度は間違えないから」

「勿論だ。言ってくれ」


「私を、強くしてください! 誰かを守れるくらい、強く、強く!」

「ああ、分かった。リーサの決意は、受け取ったよ」

 カイは笑った。

 つられてリーサも笑った。

 もらい泣きしていた数名の表情も、一緒になって笑顔に変わった。


 そうしてしばらく、場は明るい笑いで彩られていたのだった。





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