やりすぎハイスペックな俺が行く 異世界チートな旅路

とやっき

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1章 異世界の魔王 一つ目の危機

31話 招かれたぜ 貴族の家

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 この町に住む貴族の家に呼ばれた俺たちは、応接間で待たされている。

 何やら部屋の外が騒がしいが、早く宿を取りたいので帰してほしいのだがな。


「完璧な精神魔法だと思ったのですが、失敗だったのでしょうか」

 セラファルが少し落ち込んでいる。

 俺とセラファルで、この町全体に精神魔法をかけたんだが、ギェルマン男爵には少し耐性があったようだ。

 そのため、馬車に違和感を感じられてしまい、中を確認させて欲しいと言われてしまった。

 こうなっては仕方がないので、リーサに何とかしてもらおうと思ったのだが、逆に大ごとになってしまったようだ。失敗だな。


「セラファルさん、どういったたぐいの魔法を使ったのですか?」

 メルフィナが魔法について質問してきた。

 みんなには詳しい説明をせずに使っていたので、不思議に思っていたのだろう。

「馬車を引く魔物をただの馬と認識させる等、一部の判断力を著しく低下させる魔法です」

「それってやりようによったら、何でもできるんじゃないですか? 自分を王様に見せたり、死んだ人に化けることも可能ですよね?」

「はい。できますね」

 さらりと言ってのけるセラファルに対して、呆れとも恐怖とも取れる目が向けられている。

 確かに、考えてみるとすごいことをやったのかもしれない。

「ですが、町一つを覆うほどの精神魔法をかけるには、魔術師が1万人集まっても足りないくらいの魔力を必要とします。1人に対して魔法を使うのにも、個人の魔力では厳しいかと思われ、持続時間も短いことが予想できます。他者に高度な精神魔法を使われる可能性は、限りなくゼロに近いでしょう」

 セラファルの言葉が終わる頃には、今度は俺のほうに呆れたような目が向けられた。

 まあ、俺の魔力で精神魔法を使ったので、この視線は仕方がないか。

「カイ様なら、やろうと思えば大陸全土を洗脳できますよね。歴代の魔王で一番危険な方と断言できます」

 メルフィナ、ちょっと酷くない?

「でも同時に、歴代魔王の中で一番危険じゃない方なんですよね」

「矛盾しているようですが、その通りです。カイさんは、とってもとっても優しい方ですから」

 メルフィナとウルリルは、顔を見合わせて笑っている。

「ご主人様はすごいの。エミュは毎日、ご主人様から漏れ出てる魔力を吸収してるけど、それだけで強くなってるの。驚きなの」

「ほう。エミュって寝てるか誰か(主に俺)にもふられてるとこしか見てなかったが、魔力を吸収して強くなってるのか」

「そうなの。エミュはご主人様の使い魔なの。ダラダラしているだけじゃ、ご主人様のお役に立てないの!」

「でも、ダラダラしながら吸収してるけどな」

「そこは言わない約束なの。ちゃんと強くなってるから、許して欲しいの」

 ちょっぴり涙目になったエミュが可愛くて無意識に撫でてしまった。

「それに、今なら前に負けた大精霊にも勝てるはずなの!」

「意外と強くなってるんだな。まあ俺から漏れてる魔力なら、いくらでも利用してくれ」


 そんな話をしていたら、ようやく部屋のドアがノックされた。

 一呼吸おいてからギェルマン男爵が部屋に入ってきて、一礼してから席に着いた。

「話し声が外に聞こえぬように、魔法で防音対策を念入りに行っておりました。お待たせしてしまい申し訳ありません。リーサ様と愉快なお仲間の皆様」

 そういえばセラファルが男爵と話したとき、馬車に乗っている人を尋ねられたときに、そんな言い方をしていたな。

 まさかマスターをリーサと勘違いするとは。

 まぁ、面白いから訂正しないでおこう。

「して、今回皆様が町にいらしたご用件をお伺いして宜しいでしょうか?」

「ギェルマン男爵は来訪の理由をお聞きになりたいのですね。では、セラファルさん。説明をお願いできるかしら?」

 何というか、リーサがお嬢様口調で喋ると、笑いがこみ上げてきてしまう。
 表面に出さないように気をつけよう。

「簡単に説明しますと、ミューストリア王都で魔族の罪人がよからぬことを企んでいます。それを阻止するために、王都に向かっている途中です。今日はこの町で宿を取って、明日出発する予定です」

「なるほど。事情は理解しましたが、リーサ様とあなた方のご関係はどういったものかを説明願います」

 関係か。
 そういえば、リーサは成り行きで着いてきてもらっていたな。

 協力関係でいいのか?

「リーサさんは、マスターのご友人です。いえ、嫁候補でしょうか? マスター?」

「いやいや、友人ってのは分かるが、嫁候補ってなんだ?」
「よ、嫁!? よめ、およめさん、よめ・・・」

 あ、リーサの思考が停止した。
 リーサはこういう話題には弱いからな。

「では、そちらの男性はリーサ様の友人でいらっしゃいますね? 他の方々は?」

「私はマスターのどれ・・・パートナー、ではなく、ただの猫メイドです。マスターにお仕えしています」
「私はカイ様の妾です。正妻目指してます」
「メルフィナさんが妾なら、私も将来的には・・・」
「俺は部下だぜ。まお・・・いや、カイ様と一緒に行動してるもんだ」
「エミュはご主人様の使い魔なの!」

 ちなみにエミュは、ただ「にゃーにゃー」鳴いているだけに聞こえているはずだ。

 それより、二名の発言が無視できん。
 メルフィナだけならまだしも、ウルリルまでそんなことを言うなんて思ってなかった。

「なるほど。これはリーサ様も負けてはいられないようですな。このギェルマン、影ながら応援しておりますぞ」

「いやいやいや、そんなことないですわ! おほほほ!」

 リーサがかなり壊れている。
 目がぐるぐるして、今にも倒れそうなほど赤くなってしまった。

「しかし、リーサ様がご存命だったとは思いもしませんでした。殿下が訃音を・・・あれは、そういうことだったのですね」

 なぜか勝手に納得してくれた。
 どうやらレーザ王子というやつが、リーサは死んだという知らせを出したようだ。

「だいたい予想はついていましたが、やはりそうでしたか。ギェルマン男爵、現在の王都の状況を教えていただけますか?」

 お、リーサが復活した。
 今回は早かったな。

「殿下が独裁的な行動を取っておられると、聞いております。直近のものでは、何やら王都の周りに壁を作っているとか。この目で確認した情報ではないのですが、確かな情報筋からのものですので、事実かと思われます」

 まさかのト○ンプ政権!?
 いや、壁と言えばベルリ・・・。

 とまあ冗談はさておき、壁で魔法陣を隠しているとか、そんなところだろう。

 やはり、魔王国から逃げ出した大罪人の関与はありそうだ。

 その魔法陣を上空から見られたら、何の魔法陣か(セラファルが)分かるのだが、飛んで近付いたら流石にバレるよな。

「さらに、軍事力が大幅に強化されている聞いております。詳しくは分かりませんが、兵の様子がおかしいようです」

 兵の様子がおかしい?
 兵装を変えたとか鍛えたとか、そんな単純な話じゃなさそうだ。

「王都の現状はこのくらいでしょうか。税が少しだけ上がった等のチマチマしたものは他にもありますがね」

 税金か。住民にとっては、ダメージが大きいよな。
 なんか消費税とか所得税くらいしか馴染みがないが、異世界の国にはどんな税があるんだろうか。

「教えていただき、感謝致します。セラファルさんは、何か聞いておきたいことはありますか?」

 リーサがセラファルにふった。
 妥当な判断だな。

「その様子のおかしいという兵は、どのくらいいるのでしょうか?」

「約3000人と思われます」

 多くね?
 王都崩壊しててもおかしくないんじゃ?

「その程度なら大丈夫そうですね。ありがとうございます」

 あ、大丈夫なんだ。

「左様ですか。では他に質問がないようなので、これでお開きに致しましょう。私はこの後予定が詰まっているもので、皆様にあまりお構いもできず申し訳ありません。宿をお探しであれば、本日は拙宅にお泊り下さい。何かあれば、近くの使用人たちにお申し付けください。では、私はこれで失礼いたします」

 慌ただしそうに部屋を出て行くギェルマン男爵を見ながら、緊張がほぐれた空間で誰かの深い溜め息が聞こえてきた。


 というわけで、貴族の家にお泊りだな。




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