やりすぎハイスペックな俺が行く 異世界チートな旅路

とやっき

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1章 異世界の魔王 一つ目の危機

38話 交戦だぜ ミューストリア王都 3

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 ノワルトンは少し困惑していた。

「どういうことでしょうか。せっかく増やした眷属たちの反応が消失していく?」


 レーザはかなり焦っていた。

「なぜだ? ノワルトン殿からお借りした悪魔の兵たちだぞ。簡単にやられるはずがない」


 ノワルトンは何かに気づいた。

「まさか、逆召喚の魔法陣? あの暗雲は、最高位悪魔を召喚するときのもの。まさか召喚陣を逆転させたものを用意して、私の眷属を全て吸収した? あんな一瞬で?」


 レーザは希望を失っていた。

「俺はどうすればいい? こんなことになるなら、無理を言って兵を出撃されなければ、くそっ! ノワルトン殿に合わせる顔がない!」


 二人は別々の場所で、それぞれの思いを抱いていた。


 二人に共通する考えがあるとするなら、一つ。


「「 敵は危険だ! すぐに排除しなくては! 」」


 二人の意志が揃ったとき、両者の元に伝令兵が到着した。

「「 防壁が完成しました! すぐにでも起動可能です! 」」


「ツキが回ってきましたね。起動させなさい」
「そうか、これで失った兵の補充ができるな」

 二人はほくそ笑み、敵の死を確信した。

 王都の全ての住民は、忠実なる悪魔の兵と化す。

 圧倒的な数によって、敵は押しつぶされるのだ。


「いいことを思いつきました。敵に上位の悪魔を憑依させましょう。あれだけの召喚陣を使える器を持つのです。有効活用しなくてはなりませんね」

「敵は絶対に倒す。兵を率いて、一人残らず息の根を止めてやる。いや、兵の力など使わずとも、俺だけでも十分だ。俺の力を試す実験台にしよう」


 二人には恐怖はなく、敵との戦いを待ち遠しく感じていた。

 ノワルトンは、敵を自らの戦力に変えようと。
 レーザは、自分の新たな力を戦いで試そうと。

 起動する魔法陣は、狂乱の始まりを告げるかのような音を、王都全体にとどろかせた。

 二人にとっては、序曲オーヴァチュアに過ぎない。
 民衆にとっては、終曲フィナーレとなる演奏だ。


「ああ、やっと始まりました。私の待ち望んだ、復讐劇の始まりです。観客の皆様にも、劇を演じていただきましょう」

 そっと椅子から立ち上がったノワルトンは、満面の笑みを浮かべて涙をポロポロと流し始めた。

「悪魔の使徒がやってくる。私をその地へ導くために。各地から王が集まる。王たちは私を招き、狂宴が始まる。そして最後に訪れるのは、悪魔の楽園。私はそこで・・・ふふふ、ついに私も、魔王の一角に・・・」

 小さな声で呟くと、彼の姿は一瞬にして消え去った。







「あ、発動しちゃったか?」

「魔法陣の起動が確認されました。マスター、どうなさいますか?」

 王都の壁がうるさい音を立てて、点滅しながらほのかな光を放っている。

 壊そうと思って王都までやってきたんだが、一足遅かったみたいだ。


「セラファルさん。もしかして、王都のみんなはもう悪魔に?」

「大丈夫です、リーサさん。マスターがなんとかしてくださいます」

 え、俺が?

 まあできることならやるけどさ。

「あ、カイ様。人間たちがいっぱい集まって来ていますよ。カイ様のフェロモンにつられて来たのではないでしょうか?」

 んー、今の発言はギリギリセーフにしておこう。

 さて、助けるならさっさと助けないとな。

 セラファル、どうするんだ?


「王都にある魔法陣ごと逆転させましょう。さすがに別の術者が作った魔法陣に介入するとなると少し時間がかかりますので、皆さまには万が一のため、マスターを守っていただきます。宜しいでしょうか?」

「カイの護衛ミッションね。分かったわ!」
「はい! 頑張ります!」
「カイ様には指一本、毛一本ふれさせませんよ。私は触りまくりますけど」
「拙者も、殿をお守りします!」
「エミュもご主人様を役に立つの! エミュは寝てばっかりの使い魔じゃないの!」

 みんな張り切っているようだ。

 エミュは可愛いから寝ててもいいんだけどな。モフられ役として非常に役立っている。

「よし、じゃあセラファル。始めるか」

「はい、マスター。今回はマスターと私の共同作業になります。やり方は脳内に送りますので、手順通りにお願いします・・・共同作業、夫婦みたいですね」

 セラファルのボソッと言った声を聞き逃さなかった女性陣が、セラファルに対して鋭い視線を送った。

「い、今、ふ、ふうふ、夫婦って・・・」
「セラファルさん、それはちょっと羨ま・・・じゃなくて、王都の人たちが大変なんですからね。そんな場合じゃないですよ」
「セラファルさんは強敵ですね。私も負けていられません。今夜こそはカイ様とアンなことやあっはんなことを・・・」
「セラファル殿は、殿のことを好いておられるのか? 拙者も殿のことが好きだから、同じ仲間であるな」
「セラファル様は、地味に美味しいところを持っていっちゃうの。ご主人様を奪っちゃやーなの」


 リーサは夫婦という単語を聞いてまたしても壊れ、ウルリルは頬を膨らませて可愛く抗議して、メルフィナはアウトな発言をしたので後でのお仕置きが決定して、マヤネは表情をほとんど変えずに告白と思しき内容をサラッと言って、エミュは尻尾をパタパタさせながら俺にしがみついてきた。


 改めて思う。


 このパーティー、ほんのちょっとだけ個性が強いかもしれない。


 カイはため息を一つ吐き、魔法陣に向き合った。


 ちょっと変わったやつらだが、背中を任せるのは悪くないよな。

 彼女たちを信じて、俺は俺のなすべきことをやろう。


 カイとセラファルは顔を見合わせて、二人で小さく頷いたのだった。




◇あとがき◇
そろそろ一章が終わりますが、終わったら何話かの幕間とかを挟む予定です。
キャラのまとめとかも載せようかと思います。
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