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異世界の勇者
第十話、お仕置き(前フリ)
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「────はっ!?」
目を覚ましたメイの目の前にあるのは、真っ白な世界だった。
しかしすぐにそれがベッドのシーツであることを理解し、同時になぜうつ伏せに寝ていたのかを思い出す。
また、気絶させられたのだ。
しかも、またアナルを蹂躙されることによって。
「うぅぅ…………///」
あまりの恥ずかしさに、メイは体にシーツを巻きつけたままゴロゴロとベッドの上を転がった。
未だにメイの体は処女のままだというのに、後ろの穴で二度も激しいセックスを経験してしまったのだ。
「…………はぁ」
転がり疲れたメイは、ため息をつきながらぐったりと脱力する。
ユウが嫌なわけではない。
むしろユウの外見はメイの好みであるし、その勇者としての功績を考えれば体を差し出したくらいでは返しきれないほどの恩を受けているといっていい。
ため息の原因は、ユウの心が分からないからだった。
もしメイが、自分の美しさに絶対的な自信を持てるくらいの美女だったなら、この環境をあっさりと受け入れていただろう。
なんの不安もなく、なんの疑問もなく、ユウに抱かれていただろう。
しかし、美人でもなければスタイルがいいわけでもない自分を、なぜユウは抱くのか。
(…………分からない)
分からないから、怖かった。
ユウのセックスは激しい。
自分のことを強く求めているのだということが、猛々しい腰使いからもはっきりと伝わってくる。
しかし同時に、自分でなくても同じなのではないかという思いを、頭からぬぐい去ることができないのだ。
いずれもっと美しい女性がこの館に連れてこられたとき、自分はそこでお払い箱になるのではないか。
もうユウからあの優しい視線を向けられなくなってしまうのではないか。
肉体関係を持ったことで(まだ処女だが)ユウに対して抱いてしまった、愛とも恋ともつかない感情。
それが、メイを苦しめていた。
コン、コン
と不意にノックの音が響く。
「あ、はい」
反射的に、メイは応えていた。
王城で暮らしていたときの習慣がそうさせたのだ。
そして、応えた直後に自分の格好に気付く。
ピンクのスケスケネグリジェを着たままだった。
「あっ! あの、ちょっと待っ…………!」
慌てて静止の声を発するが既に遅く、メイは扉を開いた存在と真正面から顔を合わせることになった。
そして────
「えっ、あの…………どちら様でしょうか?」
「あっ、わ、私は、あの、スーといいます…………」
────ふたりの地味っ子は、対面を果たしたのだった。
◇
「────なるほど、そのようなことがあったんですか…………」
「はい…………私、何が何だか分からなくて…………」
お互いに似たにおいを感じ取ったメイとスーは、すぐに意気投合してそれぞれの境遇を話し合っていた。
「メイ様は、その、ナイト……いえ、ユウ様のご寵愛を受けているお方なのですよね?」
「…………ご寵愛、なのかなぁ。まだ処……いえその、さ、最後までは行ってないですし…………あ、あと、私のことはメイって呼び捨てにしてください」
「え、で、でも、メイ様は貴族のご令嬢なのですよね?」
「貴族と言ってもこの国の貴族ではないですし、そもそも領地に畑しかないような田舎男爵の娘ですから、気にしないで」
「わ、分かりました……その、メイさん」
「うふふ、じゃあ私はスーちゃんって呼ぶね」
初対面の人物に対し、ここまで友好的に話すことができたのは二人とも初めてのことだった。
向かい合ってもそれほど緊張しないし、劣等感を感じることもない。
まだ会って数分しか経っていないというのに、ずっと前からの知り合いだったような気さえする。
「スーちゃんは、ユウ様から個人秘書のようなものだって言われたんだよね」
「あ、はい、そうなんです」
「てことは、ギルドから引き抜かれたってことなんじゃない? そのギルド長さんとユウ様が話し合っていたのは、きっとそのことについてだったんだよ」
「そう、なんでしょうか…………?」
いきなり連れてこられたのは二人共同じだったが、なんの説明もなくアナルを犯されたメイに比べれば、ユウから役割について説明を受けているスーはマシだと言えた。
「…………そういえば、スーちゃんはなんでこの部屋に入ってきたの?」
話し込んだことですっかり忘れていた疑問を、メイが口にする。
すると、
「あっ!!」
と大きな声を上げ、スーの顔がたちまち真っ青になっていった。
「えっ、ど、どうしたのスーちゃん?」
「あ、あの! すいません! ユウ様から、メイさんを起こして連れてくるように言われてたんでした!」
「えぇっ!?」
スーがこの部屋に訪れてから、すでに十分以上経過していた。
つまり、その間ユウを待たせ続けているということだ。
スーの告白に、メイの血の気も引いていく。
「ど、ど、ど、どうしよう! とりあえず着替えを…………」
「あの……その……非常に言いにくいんですけど……そのまま連れてくるように、と……」
「えぇっ!?」
青くなっていたスーの顔が、今度は真っ赤になる。
その理由は当然、メイの姿を改めて意識したからだった。
「こ、このままって…………」
「その、はい……すいません」
自分の格好とスーの顔に視線を何度か往復させたあと、メイは諦めたように呟いた。
「…………これ以上お待たせする訳にも行きませんし……行きましょうか」
「あ…………はい…………」
このままの格好で呼ばれている。
それがどういう意味か、メイにはなんとなく分かっていた。
だが、分からないのはわざわざスーを使って呼んだことだ。
漠然とした不安を抱きながらも、メイはスーの後ろをついて歩き、ユウの部屋に続く廊下を進んでいくのだった。
目を覚ましたメイの目の前にあるのは、真っ白な世界だった。
しかしすぐにそれがベッドのシーツであることを理解し、同時になぜうつ伏せに寝ていたのかを思い出す。
また、気絶させられたのだ。
しかも、またアナルを蹂躙されることによって。
「うぅぅ…………///」
あまりの恥ずかしさに、メイは体にシーツを巻きつけたままゴロゴロとベッドの上を転がった。
未だにメイの体は処女のままだというのに、後ろの穴で二度も激しいセックスを経験してしまったのだ。
「…………はぁ」
転がり疲れたメイは、ため息をつきながらぐったりと脱力する。
ユウが嫌なわけではない。
むしろユウの外見はメイの好みであるし、その勇者としての功績を考えれば体を差し出したくらいでは返しきれないほどの恩を受けているといっていい。
ため息の原因は、ユウの心が分からないからだった。
もしメイが、自分の美しさに絶対的な自信を持てるくらいの美女だったなら、この環境をあっさりと受け入れていただろう。
なんの不安もなく、なんの疑問もなく、ユウに抱かれていただろう。
しかし、美人でもなければスタイルがいいわけでもない自分を、なぜユウは抱くのか。
(…………分からない)
分からないから、怖かった。
ユウのセックスは激しい。
自分のことを強く求めているのだということが、猛々しい腰使いからもはっきりと伝わってくる。
しかし同時に、自分でなくても同じなのではないかという思いを、頭からぬぐい去ることができないのだ。
いずれもっと美しい女性がこの館に連れてこられたとき、自分はそこでお払い箱になるのではないか。
もうユウからあの優しい視線を向けられなくなってしまうのではないか。
肉体関係を持ったことで(まだ処女だが)ユウに対して抱いてしまった、愛とも恋ともつかない感情。
それが、メイを苦しめていた。
コン、コン
と不意にノックの音が響く。
「あ、はい」
反射的に、メイは応えていた。
王城で暮らしていたときの習慣がそうさせたのだ。
そして、応えた直後に自分の格好に気付く。
ピンクのスケスケネグリジェを着たままだった。
「あっ! あの、ちょっと待っ…………!」
慌てて静止の声を発するが既に遅く、メイは扉を開いた存在と真正面から顔を合わせることになった。
そして────
「えっ、あの…………どちら様でしょうか?」
「あっ、わ、私は、あの、スーといいます…………」
────ふたりの地味っ子は、対面を果たしたのだった。
◇
「────なるほど、そのようなことがあったんですか…………」
「はい…………私、何が何だか分からなくて…………」
お互いに似たにおいを感じ取ったメイとスーは、すぐに意気投合してそれぞれの境遇を話し合っていた。
「メイ様は、その、ナイト……いえ、ユウ様のご寵愛を受けているお方なのですよね?」
「…………ご寵愛、なのかなぁ。まだ処……いえその、さ、最後までは行ってないですし…………あ、あと、私のことはメイって呼び捨てにしてください」
「え、で、でも、メイ様は貴族のご令嬢なのですよね?」
「貴族と言ってもこの国の貴族ではないですし、そもそも領地に畑しかないような田舎男爵の娘ですから、気にしないで」
「わ、分かりました……その、メイさん」
「うふふ、じゃあ私はスーちゃんって呼ぶね」
初対面の人物に対し、ここまで友好的に話すことができたのは二人とも初めてのことだった。
向かい合ってもそれほど緊張しないし、劣等感を感じることもない。
まだ会って数分しか経っていないというのに、ずっと前からの知り合いだったような気さえする。
「スーちゃんは、ユウ様から個人秘書のようなものだって言われたんだよね」
「あ、はい、そうなんです」
「てことは、ギルドから引き抜かれたってことなんじゃない? そのギルド長さんとユウ様が話し合っていたのは、きっとそのことについてだったんだよ」
「そう、なんでしょうか…………?」
いきなり連れてこられたのは二人共同じだったが、なんの説明もなくアナルを犯されたメイに比べれば、ユウから役割について説明を受けているスーはマシだと言えた。
「…………そういえば、スーちゃんはなんでこの部屋に入ってきたの?」
話し込んだことですっかり忘れていた疑問を、メイが口にする。
すると、
「あっ!!」
と大きな声を上げ、スーの顔がたちまち真っ青になっていった。
「えっ、ど、どうしたのスーちゃん?」
「あ、あの! すいません! ユウ様から、メイさんを起こして連れてくるように言われてたんでした!」
「えぇっ!?」
スーがこの部屋に訪れてから、すでに十分以上経過していた。
つまり、その間ユウを待たせ続けているということだ。
スーの告白に、メイの血の気も引いていく。
「ど、ど、ど、どうしよう! とりあえず着替えを…………」
「あの……その……非常に言いにくいんですけど……そのまま連れてくるように、と……」
「えぇっ!?」
青くなっていたスーの顔が、今度は真っ赤になる。
その理由は当然、メイの姿を改めて意識したからだった。
「こ、このままって…………」
「その、はい……すいません」
自分の格好とスーの顔に視線を何度か往復させたあと、メイは諦めたように呟いた。
「…………これ以上お待たせする訳にも行きませんし……行きましょうか」
「あ…………はい…………」
このままの格好で呼ばれている。
それがどういう意味か、メイにはなんとなく分かっていた。
だが、分からないのはわざわざスーを使って呼んだことだ。
漠然とした不安を抱きながらも、メイはスーの後ろをついて歩き、ユウの部屋に続く廊下を進んでいくのだった。
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