呟きの箱

十四年生

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抜けていく抜けていく
洗うたびにほら落ちていく
流されていく流されていく
戻らないまま闇の中

こんなに愛しくなるなんて
何で気づかなかったんだろう
はじめは気のせいなんだろうって
笑い飛ばしてた

振り返って見た写真フォトグラフ
並んだままのみんな
気がつけば最後の写真は
笑った笑顔で抜けていた
無くなった 光ってた

かきあげたあの頃の
指に残る感触
かきあげたあの思い
すべてが夢だった

透けていく透けていく
重ねた分ほら透けていく
細くなる細くなる
戻らないまま時の奥

こんなに大切なんだって
愛しく狂おしい
自分は違うんだろうって
信じきってた

振り返って映る瞳に
輝き失わない
気がつけば最後の思いは
笑った衝動で抜けていた
無くなった 荒野の地

なびかせたあの頃の
首に当たる感触
なびかせたあの思い
すべては嗚呼 幻

かきあげたあの頃の
指に残る感触
かきあげたあの思い
すべてが夢だった
君に気づかなかった
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