妹×僕・かいぎ

十四年生

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『悪役令嬢』ちゃんと『素朴』ちゃんについて

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 そろそろ夕方と言える時間、近所のスーパーへの買い物を大地母神に命じられ、ついでに少し、兄妹のスキンシップもということで、散歩中の妹と僕。 妹も含め、この付近の子が、よく遊ぶとある公園の前で足を止める。

「兄……とうとつだが、私のクラスには悪役令嬢がいる……」
 あぁはじまったか……。この切り出し方は妹の独特の言い回しで、この言い方をするときは、あれが始まる前触れだ。

「兄……会議をはじめます……」

 ほらな?

「「世界の真実を知る会議を」……だな」

 僕の妹は小学一年生、現役の厨二病だ。そんな妹はいつもこんな風に、突然会議を始めるんだ。妹はこれを『せかいのしんじつを知るかいぎ』といっている。



 それで妹よ、悪役令嬢とは穏やかではないな。
「うむ、兄……そうなのです、おだやかではないのです」

 悪役令嬢というのはあれだ、キャ〇ディーキャン〇ィーにおける、イ〇イザの様なキャラの事を言う。それがクラスにいる。なんだ? たて巻きなのか? ドリルか? さらに高笑いか?

「兄……兄が混乱しているのはわかる。だがほんとうの事」

 信じているぞ妹よ、大丈夫だそんな真面目に上目遣いで兄を視なくても、兄は妹の言うことであれば、世界の終焉すら信じる。安心しろ。

「で、妹よ、その悪役令嬢、仮称、イライザちゃんは、どの様に悪役令嬢なのだ?」
 妹は小さく頷き話始めた

「兄、なぜイライザ……」
 気にするな妹よ、そういうものだ。
「まぁいい兄」

 妹の話はこうだった。

 父親が会社の社長、なんか派手目なおしゃれ、クラスのおっとり素朴美人に嫌がらせをしている。あと、クラスの人気者の男の子をその子と取り合っている。(あっているのはイライザだけ)これが、クラスの中心的存在となり、今やクラスは、イライザ一派、我関せず一派、素朴ちゃんを守る会一派の三つ巴だというのだ。



「確かに悪役令嬢……だな……」
 小学一年生にそんなものが居るのか……妹は無事だろうか……そんな中、いじめられてはいないだろうか……。
「妹よ……」
「兄、私は問題ない、なぜなら」
「なぜなら?」
「私は偉大な魔法使いなので、皆が恐縮して何もしてこない……あ、素朴ちゃんとは仲は良い」

 妹よ、それは……はぶら…。

「世界が違うので問題ない、兄……問題はない」
 二度言ったということは、大事なことなのか? 妹よ。

 イライザか……。陰謀の匂いがするな……。いザというときには俺も過去の封印を解いて、わが妹の助けとならねばならないか……。

「兄、そう、これは陰謀、そして私は、素朴ちゃんを守る騎士になる!」
 うん、妹よさっき魔法使いと言っていなかったか?魔法騎士か?
 レイ〇ースか? 兄としては緑の眼鏡の子が好みだ。

「兄、これでイライザは悪役令嬢ということが伝わっただろうか」
「うむ……そうだな」
 妹の頭を優しくなでる。この小さな体で既に、中小企業の人間関係並みの苦労をしているなんてな。

「妹よ、困ったときは兄を頼れよ」
「……わかった」

 沈む夕日で伸びる妹と僕の影、恥ずかしそうに笑う妹。悪役令嬢のいるクラスか……世界はそうそう優しくないな。これもまた真実か……。

「対策……考え様な?」
「うん……」

 妹を守るのは俺の役目、いや運命。照れながら微笑む妹のついんてが、頭を撫でる俺の腕に少し当たる。

 守りたい、この笑顔! 

「あ、兄…これで今日の…」
「かいぎを終えます…だろ?」

 妹は僕を見ると、一回大きく瞳を開いた後、嬉しそうに目を細めて笑う。そして僕にも誰にも聞こえないくらい小さい声でそっと言った。

「兄……だいすきです」

 このお話は、どこにでもいる家族、どこにでもいる兄妹のお話し。
 ただ、少しだけ違うのは、この妹は、小学一年生にして既に厨二病だということ……だったのです。
 そうこれは、どこにでもありそうでない、妹と僕の世界の真実の会議のお話し……なのです。

 そういやイライザ……まさかレギュラー化か?
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