上 下
7 / 10

Chapter 7 裏切り

しおりを挟む
「Blast(ブラスト)」のアジトでは、
ジェイク・ハリスが椅子に縛られて拷問されている二人の様子を、
固定カメラで撮影し、その映像を8Kディスプレイに送信していた。


ジェイク・ハリスは、トム・ミラーとSWATチームに
「Blast(ブラスト)」のいない別の廃工場へ向かうよう
電話で指示していた。この行為はFBIを裏切ったことになる。


「ジェイク・ハリスお前も役者だな。
8Kディスプレイを使ってスナイパーを騙す作戦を成功させた
これでしばらくトム・ミラーを混乱させることが出来る」

と言って、ゾラクス・ダークウッドは苦笑した。


「あんたも大した役者だよ。デバイスの暗号を俺だけしか
 知らないという芝居を「Blast(ブラスト)」のメンバーに見せて、
 俺を殺させないように考えてくれた」

と言って、ジェイク・ハリスも苦笑いして言った。


「Blast(ブラスト)」のメンバーたちは最初から
お前はスパイじゃないかと疑っていたので、仕方ない芝居だった。
これでお互いの利害が一致したわけだ」


と言って、ゾラクス・ダークウッドはポケットから煙草を一本取り出すと
ジッポのライターで火をつけた。


そして、深く吸い込んで吐くと
ジェイク・ハリスが縛られている椅子の紐をナイフで切ると、
紐はバラバラと床に落ちた。


ジェイク・ハリスはゾラクス・ダークウッドの親友だった。
二人はガッチリと握手を交わした。


ジェイク・ハリスは、大統領暗殺情報を得るめに
数年かかってFBIに侵入したスパイだった。
「Blast(ブラスト)」のメンバーたちに知らせると
情報が洩れる恐れがあるのでゾラクス・ダークウッドは黙っていたのだ。


ゾラクス・ダークウッドは、厳し目つきになると
「さて、仕事にかかろう。」と、
自分の部屋のパソコンに向かった。ジェイク・ハリスも付いていった。

「そろそろ入金の確認も済んで
 博士から俺のパソコンにデバイスの暗号データが送られて来たはずだ」
そう言うとゾラクス・ダークウッドは、パソコンを起動させた。



「そのパソコンは、似ているが別のパソコンだ。俺がすり替えた。
「Blast(ブラスト)」のメンバーたちとお前が来た時に
 銃で打ち壊わしたパソコンがお前のだよ」と、


ジェイク・ハリスは、銃を構えて
ゾラクス・ダークウッドにつぶやいた。


「お前が送った嘘のバイスの暗号データを俺が見て、パソコンを
 銃で壊したと思っているようだが、
 実は、すり替えたお前のパソコンで本物のバイスの暗号データを覚えて
 お前のパソコンを破壊した。文字どうり俺しか
 小型爆弾ヴァニッシュのバイスの暗号を知らないとになる」と

ジェイク・ハリスは、諭す様にゾラクス・ダークウッドに言った。

「なぜそんなことを」
ゾラクス・ダークウッドは、唇をかみしめた。


「あの最低な大統領を暗殺する利害は、お前も俺も一致している。
 だが、小型爆弾ヴァニッシュで都市を破壊するほどの行為は許せない」
ジェイク・ハリスは、銃を構えながら語った。

しおりを挟む

処理中です...