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龍と晴と華夜
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華夜に逢えるとは思ってなかった…。
この日は朝から雨だった。
雨の日は思い出す…。
ずぶ濡れになった華夜を、華夜の気持ちを引き止められなかった自分の不甲斐なさを…。
いつも雨の日に思う。
あの時どうすれば華夜は何も言わずに去らなくて良かったのか…。
どうすれば急に消えるなんて行動を取らなかったのか…。
いつもいつもこのどんよりとした日に思い出す。
許可を得てから1年経った。
華夜の手がかりは一切見つからなかった…。
でも色んなヒトに会って色んな声を聞いた。
純粋に戻れることになったことを喜ぶヒト。
何故今更なのかと怒るヒト。
でも本当にその通りだと思う。
でもきっと今じゃないと出来なかったことでもあった。
それを分かってもらうためにたくさん説明を繰り返した。
そしてオニとしての今回の政策の代表としてヒトに謝った。
全員とはいかなくても能力が強い者を入れ
れたらどんなヒトとも共存することも夢ではないのではないかと願って行動している。
人間の世界とオニの世界を行ったり来たりしているが、最近では上手く人間の世界に馴染めてきていると思う。
今日は晴とは別行動でヒトの気配を辿りながら歩いていた。
普通に傘を差しながら信号待ちをしていた。
ただ何気なく雨だということもあり、華夜を思い出したので華夜のおばさんから貰った眼鏡をかけた。
1年間探して何も見つからなかったけど、なんとなくかけてみようと思ったのだ。
すると視線の少し先に存在していなかった女の人が急に現れた。
その人はずぶ濡れであの日の華夜のようだった。
見間違いかと思って眼鏡を外すと彼女が立っていた場所には誰もいなくなった。
そしてもう一度かけると現れる。
たくさんの信号待ちの人間が周りにいる中、その人物に少しでも近づきたくて無理矢理前に行った。
どんどん彼女に近づくにつれてまさかと思っていたのが確信に変わる。
「華夜!!!」
それはちょうど信号が変わった直前で彼女は今にも走り出しそうだった。
持っていた傘をその場に捨ててすぐ目の前にいる人物の腕を掴んで、そのまま後ろに引っ張って抱きしめた。
もう逃がさないように…。
その存在がここにいると確かめるために…。
最初は俺が後ろから抱きしめているのもあり、怖いのか抵抗しようとしたが、途中冷静になって「離してください…」と言った。
でも俺はすぐには離せなかった。
まだ実感がわかなかったから。
すると彼女は
「あの、誰か知りませんけど、お願いです。離してください。周りの人が…」
と言って周りの目を気にしだしたのでとりあえず屋根のあるとこに向かおうと思って彼女の左手を掴んで近くの店まで歩いた。
彼女は抵抗することなくそのまま黙ってついてきた。
屋根のある所まで行くと彼女を正面から見た。
髪の色や目の色は茶色になっていた。それはこちらの世界に馴染む為だろう。
でも何より綺麗になっていた。
あれから10年経つがすごく綺麗だった。
メガネは歩いている時に外していたから直接見ると全然違う。
昔も可愛い感じでいつもニコニコ笑っていたが、今はこの状況に少し戸惑った表情だったが雨に濡れていることもあり、少し色気も出ていた。
ほんとにこの場にいるのか確認するために華夜の両頬を両手で包んだ。
それで実感したかった。この目の前にいるのが華夜だと。
「本当に華夜だ…。本当の本当に華夜だ…。やっと、やっと会えた…。」
「龍…。」
「ずっと会いたかった…。ずっとずっと会いたかった…。オニの世に残ってるかとも思ってずっと探してたんだ。無事で、怪我とかもしてなくて、本当に良かった…。」
本心だった。
正直何度も何度も思った。
もしかするともうこの世にはいないんじゃないかと…。
俺達は生きていると信じていたが人間の世界で色んなヒトに聞いてみても誰も知らないの一言だけ。
だからこそ余計に怖い考えがいっぱい浮かんでいた。
それはきっと晴も同じだろう…。
お互い言葉に出してしまえばそうなっていそうで怖くてそんな話は出来なかった…。
でも今目の前に彼女がいる。
ちゃんと温かい…。
そして俺が龍だも分かってくれた。
こんなに嬉しい日はない。
ふと思うと今華夜はずぶ濡れだった。
それに気づくと早く着替えさせてやりたくなった。
「とりあえず、どっか落ち着ける所で話そう。晴もこっちに来てる。今仕事で離れてたんだけど、すぐ連絡したら来ると思う。落ち着く所分かるか?それにお前ずぶ濡れじゃないか。そのままじゃ風邪ひくからそれも着替えさせてやりたいし…。」
そう言いながら上着のポケットから携帯を出した。
その時はさすがに華夜の頬を触っている訳にはいかなかったので、とりあえずもう1度左手を握りしめた。
もう逃がしたくなかったのだ。
すぐに晴に連絡をして、どこかそんな場所がないか探していると華夜の方から家に来るかと言ってくれた。
もちろん嬉しかった。
華夜が今住んでいる所も知りたかったし、今までどうしていたのかも知りたい。
とにかくなんでも聞きたい。
華夜の声で華夜の言葉で何でも良いんだ。
ただ色んな話をして欲しい。
その喜びをなるべく隠しながら俺の手を引く華夜について行った。
この日は朝から雨だった。
雨の日は思い出す…。
ずぶ濡れになった華夜を、華夜の気持ちを引き止められなかった自分の不甲斐なさを…。
いつも雨の日に思う。
あの時どうすれば華夜は何も言わずに去らなくて良かったのか…。
どうすれば急に消えるなんて行動を取らなかったのか…。
いつもいつもこのどんよりとした日に思い出す。
許可を得てから1年経った。
華夜の手がかりは一切見つからなかった…。
でも色んなヒトに会って色んな声を聞いた。
純粋に戻れることになったことを喜ぶヒト。
何故今更なのかと怒るヒト。
でも本当にその通りだと思う。
でもきっと今じゃないと出来なかったことでもあった。
それを分かってもらうためにたくさん説明を繰り返した。
そしてオニとしての今回の政策の代表としてヒトに謝った。
全員とはいかなくても能力が強い者を入れ
れたらどんなヒトとも共存することも夢ではないのではないかと願って行動している。
人間の世界とオニの世界を行ったり来たりしているが、最近では上手く人間の世界に馴染めてきていると思う。
今日は晴とは別行動でヒトの気配を辿りながら歩いていた。
普通に傘を差しながら信号待ちをしていた。
ただ何気なく雨だということもあり、華夜を思い出したので華夜のおばさんから貰った眼鏡をかけた。
1年間探して何も見つからなかったけど、なんとなくかけてみようと思ったのだ。
すると視線の少し先に存在していなかった女の人が急に現れた。
その人はずぶ濡れであの日の華夜のようだった。
見間違いかと思って眼鏡を外すと彼女が立っていた場所には誰もいなくなった。
そしてもう一度かけると現れる。
たくさんの信号待ちの人間が周りにいる中、その人物に少しでも近づきたくて無理矢理前に行った。
どんどん彼女に近づくにつれてまさかと思っていたのが確信に変わる。
「華夜!!!」
それはちょうど信号が変わった直前で彼女は今にも走り出しそうだった。
持っていた傘をその場に捨ててすぐ目の前にいる人物の腕を掴んで、そのまま後ろに引っ張って抱きしめた。
もう逃がさないように…。
その存在がここにいると確かめるために…。
最初は俺が後ろから抱きしめているのもあり、怖いのか抵抗しようとしたが、途中冷静になって「離してください…」と言った。
でも俺はすぐには離せなかった。
まだ実感がわかなかったから。
すると彼女は
「あの、誰か知りませんけど、お願いです。離してください。周りの人が…」
と言って周りの目を気にしだしたのでとりあえず屋根のあるとこに向かおうと思って彼女の左手を掴んで近くの店まで歩いた。
彼女は抵抗することなくそのまま黙ってついてきた。
屋根のある所まで行くと彼女を正面から見た。
髪の色や目の色は茶色になっていた。それはこちらの世界に馴染む為だろう。
でも何より綺麗になっていた。
あれから10年経つがすごく綺麗だった。
メガネは歩いている時に外していたから直接見ると全然違う。
昔も可愛い感じでいつもニコニコ笑っていたが、今はこの状況に少し戸惑った表情だったが雨に濡れていることもあり、少し色気も出ていた。
ほんとにこの場にいるのか確認するために華夜の両頬を両手で包んだ。
それで実感したかった。この目の前にいるのが華夜だと。
「本当に華夜だ…。本当の本当に華夜だ…。やっと、やっと会えた…。」
「龍…。」
「ずっと会いたかった…。ずっとずっと会いたかった…。オニの世に残ってるかとも思ってずっと探してたんだ。無事で、怪我とかもしてなくて、本当に良かった…。」
本心だった。
正直何度も何度も思った。
もしかするともうこの世にはいないんじゃないかと…。
俺達は生きていると信じていたが人間の世界で色んなヒトに聞いてみても誰も知らないの一言だけ。
だからこそ余計に怖い考えがいっぱい浮かんでいた。
それはきっと晴も同じだろう…。
お互い言葉に出してしまえばそうなっていそうで怖くてそんな話は出来なかった…。
でも今目の前に彼女がいる。
ちゃんと温かい…。
そして俺が龍だも分かってくれた。
こんなに嬉しい日はない。
ふと思うと今華夜はずぶ濡れだった。
それに気づくと早く着替えさせてやりたくなった。
「とりあえず、どっか落ち着ける所で話そう。晴もこっちに来てる。今仕事で離れてたんだけど、すぐ連絡したら来ると思う。落ち着く所分かるか?それにお前ずぶ濡れじゃないか。そのままじゃ風邪ひくからそれも着替えさせてやりたいし…。」
そう言いながら上着のポケットから携帯を出した。
その時はさすがに華夜の頬を触っている訳にはいかなかったので、とりあえずもう1度左手を握りしめた。
もう逃がしたくなかったのだ。
すぐに晴に連絡をして、どこかそんな場所がないか探していると華夜の方から家に来るかと言ってくれた。
もちろん嬉しかった。
華夜が今住んでいる所も知りたかったし、今までどうしていたのかも知りたい。
とにかくなんでも聞きたい。
華夜の声で華夜の言葉で何でも良いんだ。
ただ色んな話をして欲しい。
その喜びをなるべく隠しながら俺の手を引く華夜について行った。
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