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龍と晴と華夜
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「恨み?」
「そう、恨み。」
「それって華夜ちゃんも…?」
「いいえ。私は恨んでなんかないわ。とにかくまったく知らないみたいね…。」
そう言って私はこちらの状況を話し始めた。
そもそもこちらのヒト達は二つに分かれている。
一つはまだ家族と連絡を取り合っていて、人間ともオニとも仲良く出来ているヒト。
もう一つはオニを恨んでいるヒト。
「オニを恨んでいる…。」
「そうよ。誰もが家族全員と悲しくてとさよならしたヒトばかりじゃないわ。ずっとヒトであることを蔑まされたりヒト達もいるの。そのヒト達は自分の家族だけじゃなくオニをすごく恨んでいる。」
私は最後の最後まで一応は家族でいてくれた。
守ってくれる友達もいた。
でもオニを恨んでいるヒトは位の高い家であればあるほどヒトが生まれることに嫌悪感を感じてギリギリまで幽閉したりする。
そして16歳の時が来たら外に追い出す。
その時なんの支援もせずに。
そういうヒト達が上手く生き残れた時、そのヒトに残るのはオニに対する恨み。
「私は家族を恨んでない。あの16年間育ててくれて感謝はあっても恨むことなんてない。ただ合わせる顔も気持ちも整っていないだけ。でも相当数で恨んでいるヒト達がいるの。そしてその中には能力の強いヒトも参加している。」
その言葉で分かったのか龍も晴も難しい顔をした。
「もしかして反乱でも起こそうというのか…?」
「もしそれが起こったらオニとヒトの戦争が起きる…。もしかすると人間も巻き込むかもしれない…。」
「それに俺達の持つリストは幼い頃とか最後に測った能力だけで判断している。戻るということに賛同した者たちの中にもいるかもしれないってことか…。」
二人の言葉に思わずため息が出た。
「やっぱりそんな言葉が今出るってことはそこまでは調べてなかったのね…。」
「まさかそんなことが起きるなんてな…。」
「それがもし起きたらこの案は撤回されるってことじゃないか!」
「そうね。それにもっとヒトとオニとの差別が酷くなると思うわ…。」
それを言うと二人は黙った。
きっと解決策を考えているのだろう…。
「とにかくそれがあるから私はオニの世へは帰らないわ。」
「でもそれは華夜ちゃんとは関係ないんじゃ…。」
「もしかして華世、お前!」
「違うわ、違う。私はそれに入ってない。」
「なら良かった…。」
「ビックリさせるなよ…。」
「言ったでしょ。私は恨んでないって。恨んでないんだからそんなことするわけないじゃない。」
二人は一気に安心した表情を見せた。
「じゃあどうして華夜はそれがオニの世に戻らない理由なんだ?」
「それは…。」
これを言えば二人を確実に巻き込む…。
ここまで話していて話さないわけにもいかない…。
でも迷惑をかけたくなくてオニの世を出たのに…。
とグルグル考えがまとまらなかった。
どうしようかと迷っていると龍が私の頭に手をポンと乗せた。
「悩むなよ。俺たちがいるだろ?なんでもどうにかしてきたじゃないか。心配するな。頼れ。」
すると晴はわたしの左手を握った。
「大丈夫だよ。君の不安を無くす為にも僕たちは努力してきたんだから。」
昔からこの二人はそうだった。
私がヒトになることを不安になる度に龍は俺に頼れと言ってくれた。
晴は優しく大丈夫と言ってくれた。
その言葉にまた少し泣きそうになった。
そして私は頷いた。
「ありがとう…。龍、晴。」
一度目をつぶった。
目を開けると頼もしい二人がいた。
それで少し元気が出た。
「私は今、オニに反乱を起こす組織レボルトの勧誘を受けているの…。」
「「え!!」」
「その組織の名前はレボルト。そこのヒトから大学の時から声を掛けられてて、正直困っているの。でもそれを無視するには大きすぎる組織だからこちら側のヒトとしてそれを止められないか動いてて…。でも何も出来なくて困っているところだったの。一応止めようとしているヒト達は何人かはいるんだけど、でも実際何も出来なくて…。だからそれを無視して帰るわけにはいかないの…。最悪内部に入って止めようとも思ったんだけど…。」
「「そんなの危険だ!!」」
二人同時に言われると少し笑えた。
「分かってるわ。二人で同じこと言わないで。ふふっ。」
ついつい声に出して笑ってしまった。
二人がぽかんとしていことに疑問を思ったけど、気にしなかった。
「私もそれは危険だと感じたの。だから今も断り続けてる。」
「目を付けてるのは華夜の治癒能力か。」
私は龍の言葉に頷いた。
「多分そうだと思う…。どこでその情報が漏れているのかは分からないけど、実際今も困ってて…。同じ職場にいるから勧誘の頻度が高いの…。」
「同じ職場に…?」
「ええ。夜行先輩なんだけど、龍達のリストに名前ある…?」
「ちょっと待って…。」
そう言うと晴は自分の持っていたカバンからリストを取り出して見始めた。
「んと、夜行、夜行…。あ、あった。夜行、現在29歳で能力は重力。厄介だね…。どれだけの威力で範囲がどれくらいなのか分からないけど結構被害大きいね…。能力の値もそれなりに高いから強いヒトだね…。」
能力までは知らなかったけど、強いヒトなんだとは思っていた。
私に近づくときは気配を消すのだ。そして急に現れたり偶然を装う為、避けにくい人物だった。
「でもどこの子供なのかは不明みたい…。それがなんか余計に怪しいね…。ていうかこのリスト前から穴だらけだと思ってたけど、かなりヤバイじゃないか!」
「仕方ないだろう。なかなか人間の世へはいけないからどうしても穴だらけになるのは…。」
晴は全く納得していない表情だった。
「でももう少しマシにデータ取れるはずだよ。最後に取ったデータもバラバラだし、たまに年齢や性別も違ったりするし…。これってもしかして!!」
「多分、オニ側でも協力する奴がいるんだろうな…。それも高位のオニで。」
私は驚いた。
そのデータまで書き換えられていて仕向けられているのだとしたら本当にあの組織レボルトは強大に違いない。
オニを恨んでいるのにオニと手を結ぶなんて入念な計画を立てているはずだ。
「そう、恨み。」
「それって華夜ちゃんも…?」
「いいえ。私は恨んでなんかないわ。とにかくまったく知らないみたいね…。」
そう言って私はこちらの状況を話し始めた。
そもそもこちらのヒト達は二つに分かれている。
一つはまだ家族と連絡を取り合っていて、人間ともオニとも仲良く出来ているヒト。
もう一つはオニを恨んでいるヒト。
「オニを恨んでいる…。」
「そうよ。誰もが家族全員と悲しくてとさよならしたヒトばかりじゃないわ。ずっとヒトであることを蔑まされたりヒト達もいるの。そのヒト達は自分の家族だけじゃなくオニをすごく恨んでいる。」
私は最後の最後まで一応は家族でいてくれた。
守ってくれる友達もいた。
でもオニを恨んでいるヒトは位の高い家であればあるほどヒトが生まれることに嫌悪感を感じてギリギリまで幽閉したりする。
そして16歳の時が来たら外に追い出す。
その時なんの支援もせずに。
そういうヒト達が上手く生き残れた時、そのヒトに残るのはオニに対する恨み。
「私は家族を恨んでない。あの16年間育ててくれて感謝はあっても恨むことなんてない。ただ合わせる顔も気持ちも整っていないだけ。でも相当数で恨んでいるヒト達がいるの。そしてその中には能力の強いヒトも参加している。」
その言葉で分かったのか龍も晴も難しい顔をした。
「もしかして反乱でも起こそうというのか…?」
「もしそれが起こったらオニとヒトの戦争が起きる…。もしかすると人間も巻き込むかもしれない…。」
「それに俺達の持つリストは幼い頃とか最後に測った能力だけで判断している。戻るということに賛同した者たちの中にもいるかもしれないってことか…。」
二人の言葉に思わずため息が出た。
「やっぱりそんな言葉が今出るってことはそこまでは調べてなかったのね…。」
「まさかそんなことが起きるなんてな…。」
「それがもし起きたらこの案は撤回されるってことじゃないか!」
「そうね。それにもっとヒトとオニとの差別が酷くなると思うわ…。」
それを言うと二人は黙った。
きっと解決策を考えているのだろう…。
「とにかくそれがあるから私はオニの世へは帰らないわ。」
「でもそれは華夜ちゃんとは関係ないんじゃ…。」
「もしかして華世、お前!」
「違うわ、違う。私はそれに入ってない。」
「なら良かった…。」
「ビックリさせるなよ…。」
「言ったでしょ。私は恨んでないって。恨んでないんだからそんなことするわけないじゃない。」
二人は一気に安心した表情を見せた。
「じゃあどうして華夜はそれがオニの世に戻らない理由なんだ?」
「それは…。」
これを言えば二人を確実に巻き込む…。
ここまで話していて話さないわけにもいかない…。
でも迷惑をかけたくなくてオニの世を出たのに…。
とグルグル考えがまとまらなかった。
どうしようかと迷っていると龍が私の頭に手をポンと乗せた。
「悩むなよ。俺たちがいるだろ?なんでもどうにかしてきたじゃないか。心配するな。頼れ。」
すると晴はわたしの左手を握った。
「大丈夫だよ。君の不安を無くす為にも僕たちは努力してきたんだから。」
昔からこの二人はそうだった。
私がヒトになることを不安になる度に龍は俺に頼れと言ってくれた。
晴は優しく大丈夫と言ってくれた。
その言葉にまた少し泣きそうになった。
そして私は頷いた。
「ありがとう…。龍、晴。」
一度目をつぶった。
目を開けると頼もしい二人がいた。
それで少し元気が出た。
「私は今、オニに反乱を起こす組織レボルトの勧誘を受けているの…。」
「「え!!」」
「その組織の名前はレボルト。そこのヒトから大学の時から声を掛けられてて、正直困っているの。でもそれを無視するには大きすぎる組織だからこちら側のヒトとしてそれを止められないか動いてて…。でも何も出来なくて困っているところだったの。一応止めようとしているヒト達は何人かはいるんだけど、でも実際何も出来なくて…。だからそれを無視して帰るわけにはいかないの…。最悪内部に入って止めようとも思ったんだけど…。」
「「そんなの危険だ!!」」
二人同時に言われると少し笑えた。
「分かってるわ。二人で同じこと言わないで。ふふっ。」
ついつい声に出して笑ってしまった。
二人がぽかんとしていことに疑問を思ったけど、気にしなかった。
「私もそれは危険だと感じたの。だから今も断り続けてる。」
「目を付けてるのは華夜の治癒能力か。」
私は龍の言葉に頷いた。
「多分そうだと思う…。どこでその情報が漏れているのかは分からないけど、実際今も困ってて…。同じ職場にいるから勧誘の頻度が高いの…。」
「同じ職場に…?」
「ええ。夜行先輩なんだけど、龍達のリストに名前ある…?」
「ちょっと待って…。」
そう言うと晴は自分の持っていたカバンからリストを取り出して見始めた。
「んと、夜行、夜行…。あ、あった。夜行、現在29歳で能力は重力。厄介だね…。どれだけの威力で範囲がどれくらいなのか分からないけど結構被害大きいね…。能力の値もそれなりに高いから強いヒトだね…。」
能力までは知らなかったけど、強いヒトなんだとは思っていた。
私に近づくときは気配を消すのだ。そして急に現れたり偶然を装う為、避けにくい人物だった。
「でもどこの子供なのかは不明みたい…。それがなんか余計に怪しいね…。ていうかこのリスト前から穴だらけだと思ってたけど、かなりヤバイじゃないか!」
「仕方ないだろう。なかなか人間の世へはいけないからどうしても穴だらけになるのは…。」
晴は全く納得していない表情だった。
「でももう少しマシにデータ取れるはずだよ。最後に取ったデータもバラバラだし、たまに年齢や性別も違ったりするし…。これってもしかして!!」
「多分、オニ側でも協力する奴がいるんだろうな…。それも高位のオニで。」
私は驚いた。
そのデータまで書き換えられていて仕向けられているのだとしたら本当にあの組織レボルトは強大に違いない。
オニを恨んでいるのにオニと手を結ぶなんて入念な計画を立てているはずだ。
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