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9.好転の兆し
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「ぇ?」
周囲には人がいない。それを確認して何をするつもりだったか分からないが、セルジュに一人で対応させるべきでないことだけは分かる。
「ルネ様? どうしてこちらに?」
「王宮に行くところだったけど、お前が対応中だって言うから待ってたんだよ。なかなか終わらないから」
「そうでしたか。すみません」
俺は男を見上げながら、「俺に何の用だ?」と問えば、若干訝しむ声が返ってきた。
「……お前が大魔法使いか?」
「そうだよ。お前みたいな粘着質な訪問者は初めてだ。伝言だけでも良いなんて何を俺に言いたかったんだ? 聞くだけで良いなら聞くけど」
背後でセルジュが勝手なことを言い出した俺に呆れている気がするが、気にしている暇はない。依頼を受けるのではなく聞くだけだ。それなら陛下との約束を破ることにはならない。
「話が分かる奴で良かった。俺も何をどうしたら良いか未定なんだ。とりあえず俺の現状を伝えることさえ出来れば良い」
「ふーん?」
誰からそうアドバイスをもらったのだろうか。俺に言えば、俺が興味を持って相手をすると確信をしていたとか?
よく分からないが、とりあえず話すよう促す。男は身を屈めて俺にしか聞こえないよう耳元で囁いた。
「……」
「言いたいことはそれだけだ」
男の言葉に、俺の思考があちこちと駆け巡る。そのため何の反応も返せずにいれば、セルジュが「何を言ったんですか」と俺の前へ出ようとした。
ようやくハッとする。意識を現実に戻し、セルジュの腕を取った。
「言いたいことは分かった。どれだけ危険かも。とりあえず詳しい話を聞くよ」
「は? ルネ様? 何を言って」
「セルジュ、誰にも言っちゃダメだよ」
セルジュは一瞬の逡巡後、溜め息混じりに是と答える。他の魔法使いや職員と違い、セルジュは俺が直々に雇っているため、国への忠誠よりかは俺を優先してくれるのだ。
「……分かりました。では、この方は私の客として入れます。それで良いですね?」
俺は頷き、来た道を戻る。研究室に入ればセルジュは一礼してその場を後にした。
男を応接ソファーに座らせてから、さっさと本題に入る。
「まず、何がどうなっているのか、お前が分かる範囲で全部教えて。その後こっちから質問するから」
――魔力ではない大きな力を持つせいで命が削られている。出来るなら助けて欲しい。
そんな言葉を聞かされて帰れなんて言えるわけがない。
心配で?
違う。利用出来るのではと思ってしまったからだ。
周囲には人がいない。それを確認して何をするつもりだったか分からないが、セルジュに一人で対応させるべきでないことだけは分かる。
「ルネ様? どうしてこちらに?」
「王宮に行くところだったけど、お前が対応中だって言うから待ってたんだよ。なかなか終わらないから」
「そうでしたか。すみません」
俺は男を見上げながら、「俺に何の用だ?」と問えば、若干訝しむ声が返ってきた。
「……お前が大魔法使いか?」
「そうだよ。お前みたいな粘着質な訪問者は初めてだ。伝言だけでも良いなんて何を俺に言いたかったんだ? 聞くだけで良いなら聞くけど」
背後でセルジュが勝手なことを言い出した俺に呆れている気がするが、気にしている暇はない。依頼を受けるのではなく聞くだけだ。それなら陛下との約束を破ることにはならない。
「話が分かる奴で良かった。俺も何をどうしたら良いか未定なんだ。とりあえず俺の現状を伝えることさえ出来れば良い」
「ふーん?」
誰からそうアドバイスをもらったのだろうか。俺に言えば、俺が興味を持って相手をすると確信をしていたとか?
よく分からないが、とりあえず話すよう促す。男は身を屈めて俺にしか聞こえないよう耳元で囁いた。
「……」
「言いたいことはそれだけだ」
男の言葉に、俺の思考があちこちと駆け巡る。そのため何の反応も返せずにいれば、セルジュが「何を言ったんですか」と俺の前へ出ようとした。
ようやくハッとする。意識を現実に戻し、セルジュの腕を取った。
「言いたいことは分かった。どれだけ危険かも。とりあえず詳しい話を聞くよ」
「は? ルネ様? 何を言って」
「セルジュ、誰にも言っちゃダメだよ」
セルジュは一瞬の逡巡後、溜め息混じりに是と答える。他の魔法使いや職員と違い、セルジュは俺が直々に雇っているため、国への忠誠よりかは俺を優先してくれるのだ。
「……分かりました。では、この方は私の客として入れます。それで良いですね?」
俺は頷き、来た道を戻る。研究室に入ればセルジュは一礼してその場を後にした。
男を応接ソファーに座らせてから、さっさと本題に入る。
「まず、何がどうなっているのか、お前が分かる範囲で全部教えて。その後こっちから質問するから」
――魔力ではない大きな力を持つせいで命が削られている。出来るなら助けて欲しい。
そんな言葉を聞かされて帰れなんて言えるわけがない。
心配で?
違う。利用出来るのではと思ってしまったからだ。
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