『お嬢』って、男もあり？

春一番…？

  コツ、コツ、コツ…

  ドでかい扉を抜け、何処かの貴族の城にでもあるであろう、真っ赤な絨毯の上を、何故か一般人である自分があるいている
(そもそも、何故、自分が此処にいるのかがわからない。)

｢と言うか、俺、家にいたよな？…え…why ？｣
(日本語が使えなくなって来る前に、帰りたい。｣

『無理ですよ。』

｢えっ！人いたの！｣
『さっきから居ましたよ。』
｢マジか…と言うか、誰？｣
『藤咲  光(ふじさき  みつる)と申します。そう言います貴方は？』
｢神崎  亨也(かんざき  きょうや)です。あの…此処は？｣
藤咲   ｢此処は鬼城院(きじょういん)学園です。貴方が神崎さまでしたか。神崎さまは、試験に合格し、此方に御入学しました。｣
神崎   ｢は？ いや、俺、鐘崎学園の試験は受けましたけど、此処の試験は受けませんでしたよ？｣
藤咲   ｢いえ、ちゃんと此処を受けていますよ。｣
  そう言うと彼は一枚の紙を見せてきた
神崎   ｢マジか…｣
   そこには、『鬼城院学園合格』と書かれていた
神崎   (嘘だろ…記憶がない…しかも、SA って何？)
           ｢あの…このSA って言うのは何ですか？｣
藤咲   ｢へぇ…貴方もSA ですか。それは素晴らしい。殆ど居ないんですよ、私たち以外ね…。｣
           (チッ。 まともに見ていれば…だが、この方がお嬢と言うことは、好都合だな)
    そう言うと彼は、意味深な笑みを浮かべた
神崎   (えっ…何？怖い…)
藤咲   ｢後程、分かりますよ、お嬢…。｣
神崎   (お嬢？それよりも…)
           ｢あの…先ほど、『帰れない』と言いましたよね？何故ですか？｣
藤咲   ｢ああ、此処は一度、入学したら帰れません。たとえ、どんな理由があったとしても。｣
神崎   ｢は？  じゃあ、親にも会えないの？｣
           (そんなの、寂しいだろ。｣
藤咲   ｢『寂しい』ねぇ…下らん。そんなの、あっても邪魔だろうに。｣
神崎   ｢え…邪魔じゃ…｣
藤咲   ｢とにかく、お嬢、貴方を貴方の部屋まで送ります。荷物をお持ちしますよ。｣
神崎   ｢いえ、家に帰ります。｣
           (何で自分は荷物を持っているんだろう？)
    帰ろうと思い、来た道を振り返ったが、さっきまであった扉がない
藤咲   ｢だから、無駄だといったでしょう。諦めてください。｣
神崎   ｢いや、入学していないなら、帰れるだろ！｣
藤咲   ｢貴方は既に入学しています。この学園の入学式は明日ですが、試験に合格している以上、入学は決定しており、此処からは出られません。｣
神崎   ｢え…。｣
　　   (二度と帰れねぇの…)
     それから、思いつくこと全てをしたが、此処からは出られないのは十分に分かった
神崎   (諦めるしかねぇのか…｣
藤咲   ｢はい！｣
神崎   ｢え？いや、何で満面の笑みで答えてんの！こっちが落ち込んでるときに！と言うか、何で、心の声が聞こえてんだよ！後、顔、イケメン過ぎ！何か腹が立つ！｣
           (いや、待て、俺。だんだん、意味不明なこと言ってねぇか？｣
藤咲   ｢全部,声に出てますよ。お嬢。｣
神崎   (恥ず！と言うことは、最後のも…ツライ)　
           ｢…分かりました。案内してください。｣
           (取り敢えず、この人から離れたい…)
藤咲   ｢喜んで。お嬢。｣　ニコッ
神崎   (イケメンスマイルに負けてたまるか！クソッ！)