127 / 190
第三章
悪意
隣室に用意されたビュッフェ形式の軽食。アルバート殿下は空いた四人席にわたしを座らせ、料理を取りに行こうとする。
「待ってください殿下、料理なら僕が――」
「お前はシャーロット嬢の料理を取るんだよ。俺のじゃなくて」
殿下がカーティス大尉を窘める。見れば、シャーロット嬢は茫然と突っ立ったままだ。わたしは正面の椅子にシャーロット嬢を誘う。
「こういう場所では、殿方に料理を取っていただくものなんですってね。シャーロット嬢もカーティス大尉にお任せして、お座りになったら?」
「で、で、でも……」
おろおろする彼女を余所に、殿下はさっさと料理を選び始める。
「ジョナサン、休憩時間はそんなにない。早くしろ」
不機嫌そのものの殿下に急かされ、カーティス大尉はシャーロット嬢に座るように指図し、慌てて料理を取りに行く。わたしはその間に、テーブルに備え付けの取り皿とカトラリーを人数分並べる。
やがて、殿下とカーティス大尉が料理の乗った皿を持ってきた。給仕がワインのグラスを運んできて、簡単な食事を摂る。サンドイッチや一口パイ、カナッペ、ハム、チーズ、野菜の盛り合わせ。
カーティス大尉が殿下に言う。
「大変な騒ぎになりましたね」
「まったくだな。昔から、王子ってだけで寄ってくる女はいたが、ここまでじゃなかったのに」
肩を竦める殿下にわたしは心底感心して言う。
「あんなにおモテになるなんて、びっくりですわ」
殿下は不快そうに眉間に皺を寄せる。
「どうも、今まではステファニーに遠慮していたらしいな」
「エスコートの相手が愛人のわたしなら、遠慮する必要はない、と思ったのかしら?」
わたしが首を傾げれば、カーティス大尉がその場を取り繕う。
「戦争が終わって、戦地から若い男たちが戻ってきて、今、社交界は相手探しですごいんです。不幸にも婚約者に死なれてしまったご令嬢や、生きて戻ってきたものの、離れていた間にお互いすれ違ってぎくしゃくして、婚約を解消することになったり。結構、組み換えも起きていて。現に、殿下もそうですから、あわよくば殿下に見初められて……と考える令嬢がいても不思議じゃありません」
「……俺はステファニーとの婚約は白紙に戻していたんだぞ? 勝手に心変わりだと決めつけやがって」
殿下は憮然として、ワインを呷り、さらに言った。
「それにしたって、あんなのは初めてだ。……昔はもうちょっと節度あるというか、ステファニーにバレないようにこっそり、声をかけてくる感じだったんだが」
もしかして、ステファニー嬢の目を盗んで、女性と逢うこともあったのかも。殿下とステファニー嬢の年齢差を考えれば、あり得ない話ではない。……だいたい、殿下は女性の扱いに妙に手慣れているし。
今まであまり考えたことのなかった、殿下の過去の女性関係にわたしが思いを馳せていると、殿下が言う。
「さっき、あの年増女から面白い話を聞いたぞ? 何だと思う?」
「年増女? もしかして、ミセス・デイジー?」
わたしが尋ねれば、殿下は笑顔を作っていたが、目は笑っていない。そしてとてつもなく不機嫌そう。
「デイジーが、何を言ったのです?」
カーティス大尉の問いに、殿下が吐き捨てるように言った。
「〈シャーロットが気にしている。ジョナサンと、ミス・アシュバートンがただならぬ仲だと〉」
「えええ?」
カーティス大尉とわたし、そしてシャーロット嬢も絶句する。
「……たしかに、聖誕節の買い物に護衛として付き添い、その時にドロシーとシャーロットに会いましたが――」
「シャーロットはお前たち二人の仲を誤解して、故郷に帰ると言ったのだったな?」
「はい。……ですが、誤解はすぐに解けました」
カーティス大尉が慌てて弁明し、シャーロット嬢も真っ青になって、必死に頷く。
「その話を、デイジーは何故知っている?」
「……ああ、それは、聖誕節に家族・親族で集まった中にデイジーもいて……ドロシーが何やら面白可笑しく喋っていて、殿下に関することは喋るなと、僕が釘を刺したのですが……」
全てを喋らなくても、カンのいいミセス・デイジーはシャーロットの誤解を察したのだろう。
「申し訳ありません! 妹がとんだ――」
「それはいい。都会に慣れない小娘が、護衛と護衛対象の仲を勘違いするなんて、よくあることだ。問題は、あの女、それをネタにエルシーを中傷し、俺に迫ってきやがった」
「まさか? デイジーが?!」
殿下は不愉快そうに、一口大のチーズタルトを口に放り込む。
「ミス・エルスペスはとても美しいが、彼女は昔から、男を惹きつける魔性で、ジョナサンもその魅力に囚われているんだろう、なんて言いながら、俺にしなだれかかってきやがった。気色悪い!」
殿下は相当イラついているのだろう、胸ポケットから紙巻煙草を取り出し、だが食事中と気づいてまたポケットに押し込む。
つまりミセス・デイジーは殿下に向かい、わたしとカーティス大尉の仲が怪しいと吹き込み、さらに自分を売り込もうとした。……昔からって、わたしは彼女とは初対面だし、魔性の女なんて言われたこともない。
「ミセス・デイジーは、カーティス大尉のお兄様の婚約者だったそうですわね? しかも、婚約するという話もあったとか――」
わたしの問いかけに、カーティス大尉とシャーロット嬢が頷く。シャーロット嬢の顔色は真っ青だ。
兄の婚約者が、その死後、弟にスライドするなんてのは、よくあることだと聞く。カーティス家は結局、弟である大尉と、デイジーの従妹のシャーロット嬢を婚約させているのだから、家と家との結びつきを重視していたに違いないのだ。にもかかわらず――。
「なぜ、カーティス大尉とデイジーは婚約しなかったのですか?」
シャーロット嬢がぐっと息を呑む気配がした。カーティス大尉は困ったように下を向き、しばしの逡巡の上、言った。
「……十年前、挙式直前で兄が死んだのですが、その死因が……」
カーティス大尉は声を潜め、ほとんど聞き取れないくらいの声で言った。
「その……秘密なんですけど、王都の高級娼婦に入れあげて、娼婦の夫と喧嘩になって殺されたんです」
まさかの告白に、わたしも殿下も目を見開く。シャーロット嬢も驚いていたから、一族の重大な秘密だったのだろう。
「そんな理由で婚約者に死なれてしまったデイジーに対し、我が家は責任を感じて……当時僕はまだ、士官学校卒業前だったんですが、デイジーにプロポーズしたんです。でも――」
「彼女は断ったんですの?」
「ええ」
カーティス大尉が頷く。
「婚約者の不実は許せないし、その弟との結婚も今は考えられないって。それで、僕の家からはいくばくか迷惑料を支払う形で決着したんです」
「でも――」
わたしがチラリとシャーロット嬢を見た。
「ミセス・デイジーは、カーティス大尉のことが好きだと思いますわ。……少なくとも、シャーロット嬢をいびるくらいには」
ギクリと硬直するシャーロット嬢を見て、カーティス大尉が目を見開く。
「デイジーが、ですか? でもなら――」
「好き、とかじゃなくて、単純に結婚相手としては、ジョナサンの方が格上だと、逃がした魚が惜しくなったのかもな。フランクってのは、もしかして、王都のフランク商会? あの死んだ前会長だとしたら――あ、それでか!」
殿下が思い出したと、小さく叫んだ。
「バーナード・ハドソンが、フランク商会の前会長は、若い後妻が不倫して、その後めっきり老け込んだと言っていた。つまりその後妻が、あの女ってことか!」
「不倫――? デイジーが?」
カーティス大尉とシャーロット嬢がギョッとした表情でお互いの顔を見合わせる。
「……デイジーは未亡人になった後、義理の息子と折り合いがよくないと聞いていましたが、まさかそんな理由だとは……」
戦地にいたカーティス大尉はもちろん、善良なカーティス家の人々も、そして田舎に暮らすパーマー家の人々も、全く気付いていなかったらしい。
「……エルシーはあの女にあったことはないんだな?」
突然、殿下に聞かれて、わたしが頷く。
「ええ、今日が初対面ですわ。でも、わたしが昔から魔性とか、適当なことを言ったようですわね?」
「あの女、俺がリンドホルム城の庭の一部を買おうとしているのを、知っていた」
わたしがハッとして手を止める。
「あの女、お前が庭を取り戻すのを目的に俺に近づいたんだ、なんてぬかしやがった。いったい、誰から聞いた話なのか――」
わたしの脳裏に、ある名前が浮かぶ。
「……ダグラス・アシュバートン?」
素早く食事を終え、わたしたちが大広間に戻る。ピアノの前で、マールバラ夫妻とさきほどの騒ぎで尻もちをついてしまったワインカラーのドレスのご令嬢が、何やら話し合っている。彼女の手首には、白い包帯が巻かれていた。転んだ時に手首を捻ったのかもしれない。
わたしたちが入っていくと、ヴァイオレット夫人がわたしたちに言った。
「アルバート殿下、先ほどの騒ぎで、こちらのお嬢様が手を怪我して、ピアノが弾けなくなってしまったのですわ。それで、一人、演奏者がいなくなってしまったので、どうしようかと相談していたところで……」
そこに、グレイのドレスのミセス・デイジーがやってきた。
「デイシー? 演奏を引き受けてくださる方はいらっしゃった?」
「ヴァイオレットおば様! わたくし、いいことを思いついたんですの!」
ミセス・デイジーはわたしたちを振り向いて、妖艶に微笑んでみせた。
「シャーロットがいますわ。それから、ミス・アシュバートン。この二人に弾いていただけばいいわ。ねえ、シャーロット? ピアノ得意でしょう?」
無邪気を装ったその表情の下にある悪意を、わたしははっきりと嗅ぎ取った。
「待ってください殿下、料理なら僕が――」
「お前はシャーロット嬢の料理を取るんだよ。俺のじゃなくて」
殿下がカーティス大尉を窘める。見れば、シャーロット嬢は茫然と突っ立ったままだ。わたしは正面の椅子にシャーロット嬢を誘う。
「こういう場所では、殿方に料理を取っていただくものなんですってね。シャーロット嬢もカーティス大尉にお任せして、お座りになったら?」
「で、で、でも……」
おろおろする彼女を余所に、殿下はさっさと料理を選び始める。
「ジョナサン、休憩時間はそんなにない。早くしろ」
不機嫌そのものの殿下に急かされ、カーティス大尉はシャーロット嬢に座るように指図し、慌てて料理を取りに行く。わたしはその間に、テーブルに備え付けの取り皿とカトラリーを人数分並べる。
やがて、殿下とカーティス大尉が料理の乗った皿を持ってきた。給仕がワインのグラスを運んできて、簡単な食事を摂る。サンドイッチや一口パイ、カナッペ、ハム、チーズ、野菜の盛り合わせ。
カーティス大尉が殿下に言う。
「大変な騒ぎになりましたね」
「まったくだな。昔から、王子ってだけで寄ってくる女はいたが、ここまでじゃなかったのに」
肩を竦める殿下にわたしは心底感心して言う。
「あんなにおモテになるなんて、びっくりですわ」
殿下は不快そうに眉間に皺を寄せる。
「どうも、今まではステファニーに遠慮していたらしいな」
「エスコートの相手が愛人のわたしなら、遠慮する必要はない、と思ったのかしら?」
わたしが首を傾げれば、カーティス大尉がその場を取り繕う。
「戦争が終わって、戦地から若い男たちが戻ってきて、今、社交界は相手探しですごいんです。不幸にも婚約者に死なれてしまったご令嬢や、生きて戻ってきたものの、離れていた間にお互いすれ違ってぎくしゃくして、婚約を解消することになったり。結構、組み換えも起きていて。現に、殿下もそうですから、あわよくば殿下に見初められて……と考える令嬢がいても不思議じゃありません」
「……俺はステファニーとの婚約は白紙に戻していたんだぞ? 勝手に心変わりだと決めつけやがって」
殿下は憮然として、ワインを呷り、さらに言った。
「それにしたって、あんなのは初めてだ。……昔はもうちょっと節度あるというか、ステファニーにバレないようにこっそり、声をかけてくる感じだったんだが」
もしかして、ステファニー嬢の目を盗んで、女性と逢うこともあったのかも。殿下とステファニー嬢の年齢差を考えれば、あり得ない話ではない。……だいたい、殿下は女性の扱いに妙に手慣れているし。
今まであまり考えたことのなかった、殿下の過去の女性関係にわたしが思いを馳せていると、殿下が言う。
「さっき、あの年増女から面白い話を聞いたぞ? 何だと思う?」
「年増女? もしかして、ミセス・デイジー?」
わたしが尋ねれば、殿下は笑顔を作っていたが、目は笑っていない。そしてとてつもなく不機嫌そう。
「デイジーが、何を言ったのです?」
カーティス大尉の問いに、殿下が吐き捨てるように言った。
「〈シャーロットが気にしている。ジョナサンと、ミス・アシュバートンがただならぬ仲だと〉」
「えええ?」
カーティス大尉とわたし、そしてシャーロット嬢も絶句する。
「……たしかに、聖誕節の買い物に護衛として付き添い、その時にドロシーとシャーロットに会いましたが――」
「シャーロットはお前たち二人の仲を誤解して、故郷に帰ると言ったのだったな?」
「はい。……ですが、誤解はすぐに解けました」
カーティス大尉が慌てて弁明し、シャーロット嬢も真っ青になって、必死に頷く。
「その話を、デイジーは何故知っている?」
「……ああ、それは、聖誕節に家族・親族で集まった中にデイジーもいて……ドロシーが何やら面白可笑しく喋っていて、殿下に関することは喋るなと、僕が釘を刺したのですが……」
全てを喋らなくても、カンのいいミセス・デイジーはシャーロットの誤解を察したのだろう。
「申し訳ありません! 妹がとんだ――」
「それはいい。都会に慣れない小娘が、護衛と護衛対象の仲を勘違いするなんて、よくあることだ。問題は、あの女、それをネタにエルシーを中傷し、俺に迫ってきやがった」
「まさか? デイジーが?!」
殿下は不愉快そうに、一口大のチーズタルトを口に放り込む。
「ミス・エルスペスはとても美しいが、彼女は昔から、男を惹きつける魔性で、ジョナサンもその魅力に囚われているんだろう、なんて言いながら、俺にしなだれかかってきやがった。気色悪い!」
殿下は相当イラついているのだろう、胸ポケットから紙巻煙草を取り出し、だが食事中と気づいてまたポケットに押し込む。
つまりミセス・デイジーは殿下に向かい、わたしとカーティス大尉の仲が怪しいと吹き込み、さらに自分を売り込もうとした。……昔からって、わたしは彼女とは初対面だし、魔性の女なんて言われたこともない。
「ミセス・デイジーは、カーティス大尉のお兄様の婚約者だったそうですわね? しかも、婚約するという話もあったとか――」
わたしの問いかけに、カーティス大尉とシャーロット嬢が頷く。シャーロット嬢の顔色は真っ青だ。
兄の婚約者が、その死後、弟にスライドするなんてのは、よくあることだと聞く。カーティス家は結局、弟である大尉と、デイジーの従妹のシャーロット嬢を婚約させているのだから、家と家との結びつきを重視していたに違いないのだ。にもかかわらず――。
「なぜ、カーティス大尉とデイジーは婚約しなかったのですか?」
シャーロット嬢がぐっと息を呑む気配がした。カーティス大尉は困ったように下を向き、しばしの逡巡の上、言った。
「……十年前、挙式直前で兄が死んだのですが、その死因が……」
カーティス大尉は声を潜め、ほとんど聞き取れないくらいの声で言った。
「その……秘密なんですけど、王都の高級娼婦に入れあげて、娼婦の夫と喧嘩になって殺されたんです」
まさかの告白に、わたしも殿下も目を見開く。シャーロット嬢も驚いていたから、一族の重大な秘密だったのだろう。
「そんな理由で婚約者に死なれてしまったデイジーに対し、我が家は責任を感じて……当時僕はまだ、士官学校卒業前だったんですが、デイジーにプロポーズしたんです。でも――」
「彼女は断ったんですの?」
「ええ」
カーティス大尉が頷く。
「婚約者の不実は許せないし、その弟との結婚も今は考えられないって。それで、僕の家からはいくばくか迷惑料を支払う形で決着したんです」
「でも――」
わたしがチラリとシャーロット嬢を見た。
「ミセス・デイジーは、カーティス大尉のことが好きだと思いますわ。……少なくとも、シャーロット嬢をいびるくらいには」
ギクリと硬直するシャーロット嬢を見て、カーティス大尉が目を見開く。
「デイジーが、ですか? でもなら――」
「好き、とかじゃなくて、単純に結婚相手としては、ジョナサンの方が格上だと、逃がした魚が惜しくなったのかもな。フランクってのは、もしかして、王都のフランク商会? あの死んだ前会長だとしたら――あ、それでか!」
殿下が思い出したと、小さく叫んだ。
「バーナード・ハドソンが、フランク商会の前会長は、若い後妻が不倫して、その後めっきり老け込んだと言っていた。つまりその後妻が、あの女ってことか!」
「不倫――? デイジーが?」
カーティス大尉とシャーロット嬢がギョッとした表情でお互いの顔を見合わせる。
「……デイジーは未亡人になった後、義理の息子と折り合いがよくないと聞いていましたが、まさかそんな理由だとは……」
戦地にいたカーティス大尉はもちろん、善良なカーティス家の人々も、そして田舎に暮らすパーマー家の人々も、全く気付いていなかったらしい。
「……エルシーはあの女にあったことはないんだな?」
突然、殿下に聞かれて、わたしが頷く。
「ええ、今日が初対面ですわ。でも、わたしが昔から魔性とか、適当なことを言ったようですわね?」
「あの女、俺がリンドホルム城の庭の一部を買おうとしているのを、知っていた」
わたしがハッとして手を止める。
「あの女、お前が庭を取り戻すのを目的に俺に近づいたんだ、なんてぬかしやがった。いったい、誰から聞いた話なのか――」
わたしの脳裏に、ある名前が浮かぶ。
「……ダグラス・アシュバートン?」
素早く食事を終え、わたしたちが大広間に戻る。ピアノの前で、マールバラ夫妻とさきほどの騒ぎで尻もちをついてしまったワインカラーのドレスのご令嬢が、何やら話し合っている。彼女の手首には、白い包帯が巻かれていた。転んだ時に手首を捻ったのかもしれない。
わたしたちが入っていくと、ヴァイオレット夫人がわたしたちに言った。
「アルバート殿下、先ほどの騒ぎで、こちらのお嬢様が手を怪我して、ピアノが弾けなくなってしまったのですわ。それで、一人、演奏者がいなくなってしまったので、どうしようかと相談していたところで……」
そこに、グレイのドレスのミセス・デイジーがやってきた。
「デイシー? 演奏を引き受けてくださる方はいらっしゃった?」
「ヴァイオレットおば様! わたくし、いいことを思いついたんですの!」
ミセス・デイジーはわたしたちを振り向いて、妖艶に微笑んでみせた。
「シャーロットがいますわ。それから、ミス・アシュバートン。この二人に弾いていただけばいいわ。ねえ、シャーロット? ピアノ得意でしょう?」
無邪気を装ったその表情の下にある悪意を、わたしははっきりと嗅ぎ取った。
あなたにおすすめの小説
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。