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18、屁理屈
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僕はローズの正面に膝をつき、まっすぐに視線を合わせる。
「……僕が嫌い?」
「好きとか嫌いとか、そういう問題では……」
「でも、君はあの医者には世話になってた。あいつの世話は受け入れても、僕がダメな理由はなんだ?」
僕がマコーレーの話を出せば、ローズマリーは露骨に息を止め、顔がみるみる青ざめる。
「それは――」
「君は、あの医者が好きだったのか? 好きだから寝たのか?」
「ち、違うわ! ただ――」
ローズは僕から目を背け、僕は彼女の細い、二の腕を掴む。
「しょうがなかったのよ……わたしはあの時、仕事もなくして……彼が提供してくれた家以外に住むところもなくて……他に、方法が……」
「でも結局捨てられて、また行き場をなくし、僕に拾われた。君は男を見る目がなさすぎる。同じ医者なら僕の方がマシだろ?」
「イライアス?」
僕はぐいっとローズマリーの身体を抱き寄せ、強引に腕の中に閉じ込める。ここに連れてくるときも思ったが、本当に細くて、力を込めたら折れそうに華奢な体つき。でも、僕の胸に当たる二つの胸が柔らかく、弾力があった。
「イライアス! ちょっと待っ……」
ローズマリーが僕の腕の中で暴れるけれど、僕は抵抗を封じるように彼女の唇を奪う。強引に舌を割り入れ、口蓋の裏をなぞり、舌を絡める。ローズマリーが突然のことに硬直して、身体をひきつらせる。その震えが僕の欲望に火を点けた。
乱暴なことをすべきじゃない。でも、抱くなら今だと思った。片腕を彼女の膝の下に滑り込ませ、抱き上げる。
「!! イライアス? どこへ……」
ローズマリーが慌てて僕の首筋に縋りつく。
「ベッドに行こう。……君が、お腹の子が僕の子じゃないと気にするなら、僕の子にすればいい。今から君を抱く。そうすれば、その子は晴れて僕の子だ。自分の子を孕んだ女の世話をするのは、当然のことだろう?」
「なっ……」
ローズマリーは絶句して、次の言葉が見つからないようだった。僕だって自分の言っていることが無茶苦茶だってわかってる。マコーレーには頼っていたくせに、僕には頼れないなんて納得がいかない。でも僕は――
僕はマコーレーと違って、「家も金も提供してやるから、身体をを差し出せ」と言う勇気がない。
今、僕がしようとしているのは実質的に同じことだが、言葉にできない。決定的なことを口にしない僕は、むしろ奴より卑怯者だ。
僕は、まだ燦燦と光の差す大きなベッドの上に、ローズマリーを抱き下ろし、そのまま圧し掛かった。
「こんな時間から、やめて……」
「マコーレーのクソ野郎とは昼間からやってたくせに」
僕の肩を押しやろうとするローズマリーに、僕はあの偽医者の名を出して、同じことを要求した。そして、拒絶の言葉を聞きたくなくて、ローズマリーの唇を塞ぐ。
「んっ……」
興奮で、僕の息も荒くなる。そう言えば、女性と寝るなんて数年ぶりだ。僕は手順を忘れている自分に気づく。
――どうすんだっけ、とりあえず……脱がす!
僕はローズマリーの顔じゅうにキスをしながら、手探りでドレスの襟を絞っているリボンを探しあて、それを解く。そして襟ぐりに手をかけ、一気にグイっと引き下ろした。午後の光を浴びて眩しいほど輝く、白い胸が零れ出て、僕は息を呑んだ。
「きゃあ! な、イライアス、待ってっ……だめっ」
お腹を締め付けないように、コルセットはしていない。二つのふくらみは見るからに柔らかそうで、しかし張りがあって、頂点の薄桃色の乳首が揺れる。
――そうか、彼女はまだ、若い――
よく考えれば、僕は自分より年上の女としか寝たことがなかった。少しばかり垂れた胸も、肉付きのいい腹や腰回りも、それはそれで年齢を重ねた美しさがあったけれど、こんなに若く、弾けるような瑞々しい身体は初めてだった。僕は吸い寄せられるように柔らなな双丘に顔を埋め、二つの膨らみを両手でそれぞれ鷲掴みにする。
吸い付くような肌。あまりの心地良さにこれだけで昇天しそうになる。――童貞か。
ローズマリーが必死に、僕の頭を掴んで僕を引き剥がそうとする。そんな抵抗などものともせず、僕は両手で胸を掴んで弄び、自在に形を変えるそれを揉みしだき感触を楽しんだ。今までこれを貪ってきたあの男の顔が脳裏によぎり、嫉妬と憎しみで我を忘れ、僕は目の前の乳首を咥え、思いきり吸い上げた。
「ああっ」
強い刺激にローズマリーの細い背中がしなる。僕は急に我に返り、慌てて乳首から口を離す。
「……妊娠中は胸は、やめておいた方がいいんだったっけな? たしか乳首への刺激が子宮の収縮を促すとかなんとか――」
だから母乳を与えると母体の回復が早いはず。でも妊娠中はよくない。
だが僕の独り言に、ローズマリーが反論する。
「そもそも、妊婦に無体はやめて!」
「大丈夫だよ、今は無茶をしなければやっていい時期だから」
「イライアス!」
僕は胸は諦めて――かなり名残惜しかったが――僕の得意分野に踏み込むことにした。くるぶしまであるシュミーズドレスは、ここに運んできたときに少しめくれ上がり、膝が見えていた。僕は脚を撫で上げつつスカートとペチコートを同時にめくりあげる。
「やめて、待って、イライアス!」
ローズマリーがとっさにスカートを押え、僕の視界を遮ろうとする。僕は思わずむっとした。
「なんで。あの医者とは寝てたくせに、僕を拒むなよ」
何せあいつは偽医者だしな。
「同じ医者なら僕の方が若いし独身だし金もある。医者の意地にかけて、あいつより気持ちよくしてやるから!」
何しろ僕は黄金の手指の持ち主として有名だったんだ!
だが、ローズマリーは頑なに首を振る。
「そういう問題じゃないの! あなたが何を考えているかわからない!」
「大丈夫だ、何も考えてない!」
嘘だ。いろいろ考えているけど、すべてロクでもないことばかり。
だが断言してやれば、ローズマリーは虚を突かれたのか、抵抗が弱まる。
「……イライアス……男に捨てられて子を産んで、その子を育てるためにクズ男に引っかかった売女だから、弄んで捨ててもいいと思っているの?」
ローズマリーの言葉に、僕の手が止まる。思わず顔を見つめれば紫色の瞳に涙が滲んで揺れていた。
「弄んで捨てるつもりなんてない。やけにクズ男に縁があるとは思うけど。……クズ男を惹きつける体質なのかな?」
「イライアス、あなたは立派なお医者さんだと聞いたわ。……王立診療所でも人気があったのに、突然戦地に向かったって。せっかく生きて帰ってきたのに、わたしみたいな売女に捕まって、あなたの評判を下げることはないのよ」
僕は、ローズマリーが妻子持ちの男との関係にどれだけ傷つけられてきたか、彼女が僕に抱かれることで何を恐れているか気づいた。――でも、僕は彼女が心配するほど高潔な男じゃない。
僕はスカートを捲り上げてドロワースの紐を解き、一気にずりさげて言った。
「ローズ、君は売女じゃない。僕の方こそ実はクズ男なんだよ。――だから、君を抱く権利があるはずだ」
「……僕が嫌い?」
「好きとか嫌いとか、そういう問題では……」
「でも、君はあの医者には世話になってた。あいつの世話は受け入れても、僕がダメな理由はなんだ?」
僕がマコーレーの話を出せば、ローズマリーは露骨に息を止め、顔がみるみる青ざめる。
「それは――」
「君は、あの医者が好きだったのか? 好きだから寝たのか?」
「ち、違うわ! ただ――」
ローズは僕から目を背け、僕は彼女の細い、二の腕を掴む。
「しょうがなかったのよ……わたしはあの時、仕事もなくして……彼が提供してくれた家以外に住むところもなくて……他に、方法が……」
「でも結局捨てられて、また行き場をなくし、僕に拾われた。君は男を見る目がなさすぎる。同じ医者なら僕の方がマシだろ?」
「イライアス?」
僕はぐいっとローズマリーの身体を抱き寄せ、強引に腕の中に閉じ込める。ここに連れてくるときも思ったが、本当に細くて、力を込めたら折れそうに華奢な体つき。でも、僕の胸に当たる二つの胸が柔らかく、弾力があった。
「イライアス! ちょっと待っ……」
ローズマリーが僕の腕の中で暴れるけれど、僕は抵抗を封じるように彼女の唇を奪う。強引に舌を割り入れ、口蓋の裏をなぞり、舌を絡める。ローズマリーが突然のことに硬直して、身体をひきつらせる。その震えが僕の欲望に火を点けた。
乱暴なことをすべきじゃない。でも、抱くなら今だと思った。片腕を彼女の膝の下に滑り込ませ、抱き上げる。
「!! イライアス? どこへ……」
ローズマリーが慌てて僕の首筋に縋りつく。
「ベッドに行こう。……君が、お腹の子が僕の子じゃないと気にするなら、僕の子にすればいい。今から君を抱く。そうすれば、その子は晴れて僕の子だ。自分の子を孕んだ女の世話をするのは、当然のことだろう?」
「なっ……」
ローズマリーは絶句して、次の言葉が見つからないようだった。僕だって自分の言っていることが無茶苦茶だってわかってる。マコーレーには頼っていたくせに、僕には頼れないなんて納得がいかない。でも僕は――
僕はマコーレーと違って、「家も金も提供してやるから、身体をを差し出せ」と言う勇気がない。
今、僕がしようとしているのは実質的に同じことだが、言葉にできない。決定的なことを口にしない僕は、むしろ奴より卑怯者だ。
僕は、まだ燦燦と光の差す大きなベッドの上に、ローズマリーを抱き下ろし、そのまま圧し掛かった。
「こんな時間から、やめて……」
「マコーレーのクソ野郎とは昼間からやってたくせに」
僕の肩を押しやろうとするローズマリーに、僕はあの偽医者の名を出して、同じことを要求した。そして、拒絶の言葉を聞きたくなくて、ローズマリーの唇を塞ぐ。
「んっ……」
興奮で、僕の息も荒くなる。そう言えば、女性と寝るなんて数年ぶりだ。僕は手順を忘れている自分に気づく。
――どうすんだっけ、とりあえず……脱がす!
僕はローズマリーの顔じゅうにキスをしながら、手探りでドレスの襟を絞っているリボンを探しあて、それを解く。そして襟ぐりに手をかけ、一気にグイっと引き下ろした。午後の光を浴びて眩しいほど輝く、白い胸が零れ出て、僕は息を呑んだ。
「きゃあ! な、イライアス、待ってっ……だめっ」
お腹を締め付けないように、コルセットはしていない。二つのふくらみは見るからに柔らかそうで、しかし張りがあって、頂点の薄桃色の乳首が揺れる。
――そうか、彼女はまだ、若い――
よく考えれば、僕は自分より年上の女としか寝たことがなかった。少しばかり垂れた胸も、肉付きのいい腹や腰回りも、それはそれで年齢を重ねた美しさがあったけれど、こんなに若く、弾けるような瑞々しい身体は初めてだった。僕は吸い寄せられるように柔らなな双丘に顔を埋め、二つの膨らみを両手でそれぞれ鷲掴みにする。
吸い付くような肌。あまりの心地良さにこれだけで昇天しそうになる。――童貞か。
ローズマリーが必死に、僕の頭を掴んで僕を引き剥がそうとする。そんな抵抗などものともせず、僕は両手で胸を掴んで弄び、自在に形を変えるそれを揉みしだき感触を楽しんだ。今までこれを貪ってきたあの男の顔が脳裏によぎり、嫉妬と憎しみで我を忘れ、僕は目の前の乳首を咥え、思いきり吸い上げた。
「ああっ」
強い刺激にローズマリーの細い背中がしなる。僕は急に我に返り、慌てて乳首から口を離す。
「……妊娠中は胸は、やめておいた方がいいんだったっけな? たしか乳首への刺激が子宮の収縮を促すとかなんとか――」
だから母乳を与えると母体の回復が早いはず。でも妊娠中はよくない。
だが僕の独り言に、ローズマリーが反論する。
「そもそも、妊婦に無体はやめて!」
「大丈夫だよ、今は無茶をしなければやっていい時期だから」
「イライアス!」
僕は胸は諦めて――かなり名残惜しかったが――僕の得意分野に踏み込むことにした。くるぶしまであるシュミーズドレスは、ここに運んできたときに少しめくれ上がり、膝が見えていた。僕は脚を撫で上げつつスカートとペチコートを同時にめくりあげる。
「やめて、待って、イライアス!」
ローズマリーがとっさにスカートを押え、僕の視界を遮ろうとする。僕は思わずむっとした。
「なんで。あの医者とは寝てたくせに、僕を拒むなよ」
何せあいつは偽医者だしな。
「同じ医者なら僕の方が若いし独身だし金もある。医者の意地にかけて、あいつより気持ちよくしてやるから!」
何しろ僕は黄金の手指の持ち主として有名だったんだ!
だが、ローズマリーは頑なに首を振る。
「そういう問題じゃないの! あなたが何を考えているかわからない!」
「大丈夫だ、何も考えてない!」
嘘だ。いろいろ考えているけど、すべてロクでもないことばかり。
だが断言してやれば、ローズマリーは虚を突かれたのか、抵抗が弱まる。
「……イライアス……男に捨てられて子を産んで、その子を育てるためにクズ男に引っかかった売女だから、弄んで捨ててもいいと思っているの?」
ローズマリーの言葉に、僕の手が止まる。思わず顔を見つめれば紫色の瞳に涙が滲んで揺れていた。
「弄んで捨てるつもりなんてない。やけにクズ男に縁があるとは思うけど。……クズ男を惹きつける体質なのかな?」
「イライアス、あなたは立派なお医者さんだと聞いたわ。……王立診療所でも人気があったのに、突然戦地に向かったって。せっかく生きて帰ってきたのに、わたしみたいな売女に捕まって、あなたの評判を下げることはないのよ」
僕は、ローズマリーが妻子持ちの男との関係にどれだけ傷つけられてきたか、彼女が僕に抱かれることで何を恐れているか気づいた。――でも、僕は彼女が心配するほど高潔な男じゃない。
僕はスカートを捲り上げてドロワースの紐を解き、一気にずりさげて言った。
「ローズ、君は売女じゃない。僕の方こそ実はクズ男なんだよ。――だから、君を抱く権利があるはずだ」
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