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十一、光と影
フランシスの誕生は、王太子アンドリューに遅れること半年。
生まれ落ちた瞬間から、アンドリューの側近となることが運命づけられていた。
眩い金髪の輝ける光の王子アンドリューと対象的な、影のような黒い髪。
二人はそのまま光と影のようにぴったりと寄り添い、何をするにも一緒だった。
主従の枠を超え、それこそ二人でようやく一つであるかのように、互い無しには生きられない、そんな絆が二人の間に生まれていた。
その絆は忠誠と言うより友情に近く、さらに愛に近かった。
フランシスのものは、アンドリューのもの。
それはフランシスにとって自明のことで、たとえなんであれ、惜しむことはない。
そしてアンドリューもまた、フランシスの選んだものこそが最上だと信じた。
とりわけ、思春期を迎えたアンドリューは性の目覚めとともに女性不信を拗らせていく。
王太子である自分に愛を囁く女は、この地位を目当てにしているだけだ――
アンドリューが信じられるのはフランシスただ一人。フランシスが認めた女ならば――
幼少からの婚約者であるクラリッサと王太子は、表面的には良好な関係を保っていたが、アンドリューはあの手の高慢なタイプの女は好きではなかった。だからと言って政治的な理由で結ばれた婚約を、解消することはできない。
アンドリューは理想の王太子でなければならないから。
表向きの天真爛漫で誠実そうな王太子の顔を保ちながら、密かに若い欲望を解消する。
そのお膳立てもすべて、フランシスが請け負った。
アンドリューが好みそうな女を見繕ってはフランシスが口説き、しばらく付き合ってから、アンドリューに譲り渡す。はじめはアンドリューの情事を隣の部屋で見張るくらいのことだったが、そのうちに、アンドリューがフランシスを寝台に誘うようになった。
「フランのことを愛している女を、フランの目の前で抱きたい」
アンドリューは、フランシスの恋人を、フランシスの見ている前で抱くことに興奮を覚えるのだ。
恋人の目の前で別の男に犯されて、罪悪感に囚われつつ身体から堕とされていく女の姿に欲情を煽られるのだと。
一方のフランシスにしてみれば、自分のものはアンドリューのものなので、恋人を献上することはむしろ歓びである。
フランシスは最初は、横で見ているだけでいいと考えていた。
だがアンドリューに促され、アンドリューと二人がかりで女を抱いてみれば、それはそれで今までにない興奮と快感があった。
何より、女を通してアンドリューと繋がることで、フランシスもまた、言いようのない満足感を得られた。
結局のところ、フランシスが最も愛しているのはアンドリューで、アンドリューもまたそうなのだと確認できる。
こうして、学院時代はアンドリューのためにフランシスはあと腐れのなさそうな女を物色し、女がフランシスを信用したあたりでアンドリューと二人がかりで犯す遊びを繰り返した。
――フランシスの女遊びが激しいと噂になったのはそのせいだ。
女との関係は、せいぜい一年もたなかった。
たいてい、どの女もアンドリューに抱かれるうち、アンドリューに心を移すからだ。
アンドリューに身体が陥落してしまい、王太子の愛人になりたがる。
だが、アンドリューの好みは「フランシスを愛している女」だ。
フランシスから心変わりした時点で、アンドリューの興味は失われる。
アンドリューが捨てた女はフランシスにも不要なものとなり、関係はそこで終了する。
迷惑料を支払ったり、嫁入り先を斡旋したりの後始末もフランシスが行う。
これこそは、ウォートン侯爵家のお家芸であった。
生まれ落ちた瞬間から、アンドリューの側近となることが運命づけられていた。
眩い金髪の輝ける光の王子アンドリューと対象的な、影のような黒い髪。
二人はそのまま光と影のようにぴったりと寄り添い、何をするにも一緒だった。
主従の枠を超え、それこそ二人でようやく一つであるかのように、互い無しには生きられない、そんな絆が二人の間に生まれていた。
その絆は忠誠と言うより友情に近く、さらに愛に近かった。
フランシスのものは、アンドリューのもの。
それはフランシスにとって自明のことで、たとえなんであれ、惜しむことはない。
そしてアンドリューもまた、フランシスの選んだものこそが最上だと信じた。
とりわけ、思春期を迎えたアンドリューは性の目覚めとともに女性不信を拗らせていく。
王太子である自分に愛を囁く女は、この地位を目当てにしているだけだ――
アンドリューが信じられるのはフランシスただ一人。フランシスが認めた女ならば――
幼少からの婚約者であるクラリッサと王太子は、表面的には良好な関係を保っていたが、アンドリューはあの手の高慢なタイプの女は好きではなかった。だからと言って政治的な理由で結ばれた婚約を、解消することはできない。
アンドリューは理想の王太子でなければならないから。
表向きの天真爛漫で誠実そうな王太子の顔を保ちながら、密かに若い欲望を解消する。
そのお膳立てもすべて、フランシスが請け負った。
アンドリューが好みそうな女を見繕ってはフランシスが口説き、しばらく付き合ってから、アンドリューに譲り渡す。はじめはアンドリューの情事を隣の部屋で見張るくらいのことだったが、そのうちに、アンドリューがフランシスを寝台に誘うようになった。
「フランのことを愛している女を、フランの目の前で抱きたい」
アンドリューは、フランシスの恋人を、フランシスの見ている前で抱くことに興奮を覚えるのだ。
恋人の目の前で別の男に犯されて、罪悪感に囚われつつ身体から堕とされていく女の姿に欲情を煽られるのだと。
一方のフランシスにしてみれば、自分のものはアンドリューのものなので、恋人を献上することはむしろ歓びである。
フランシスは最初は、横で見ているだけでいいと考えていた。
だがアンドリューに促され、アンドリューと二人がかりで女を抱いてみれば、それはそれで今までにない興奮と快感があった。
何より、女を通してアンドリューと繋がることで、フランシスもまた、言いようのない満足感を得られた。
結局のところ、フランシスが最も愛しているのはアンドリューで、アンドリューもまたそうなのだと確認できる。
こうして、学院時代はアンドリューのためにフランシスはあと腐れのなさそうな女を物色し、女がフランシスを信用したあたりでアンドリューと二人がかりで犯す遊びを繰り返した。
――フランシスの女遊びが激しいと噂になったのはそのせいだ。
女との関係は、せいぜい一年もたなかった。
たいてい、どの女もアンドリューに抱かれるうち、アンドリューに心を移すからだ。
アンドリューに身体が陥落してしまい、王太子の愛人になりたがる。
だが、アンドリューの好みは「フランシスを愛している女」だ。
フランシスから心変わりした時点で、アンドリューの興味は失われる。
アンドリューが捨てた女はフランシスにも不要なものとなり、関係はそこで終了する。
迷惑料を支払ったり、嫁入り先を斡旋したりの後始末もフランシスが行う。
これこそは、ウォートン侯爵家のお家芸であった。
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