様々な思い

kuzim

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夢探し

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暗い森の中、俺は何も考えずに歩く。
やりたい事や夢なんてものはない。
ただ生きる。
それがこの世に生きる者の宿命だから。

この森に来てから3日。
恐ろしい奴がいると聞いたから、せっかく来てやったと言うのに…
「…何もないじゃないか」
俺は、辺りを見回し、何も変わらず木と土と茜色の空しかない事を認め、ため息をつきながら、ギルドに戻ろうと来た道を振り返った。
そこに、複数の騎士と1人の女性が走って来た。騎士たちは女性を捕らえようとしているようだ。
「…イラつくな」
本当に自分が嫌になる。
騎士の縄が女性に当たる瞬間――
「…え?」
本来女性に当たるはずだった縄がとても短くなっていた。
騎士が驚き剣を抜く。だが、遅い。
「大丈夫か?」
俺は女性を守るように騎士との間に立つ。
「あ、ありがとう…」
「ふ、気にすんな、ただの偽善だ」
「!お前…何者だ!」
急に俺が女性の前に出てきて驚いているようだ。
剣を向けながらそんなこと言う騎士に、俺は
「…どうでもいいだろ、そんなこと」
俺の言葉に、騎士は動揺しながら、
「お前…その女が何者か、知っていて守っているのか?」
騎士は、なぜか焦りながら俺に聞いてくる。
「知らねぇな、俺には何も関係ない」
「この女性がどうなろうとどうでもいい」はずなのに何故か俺は助けようと動く。
今、俺は俺が理解できない。
「ん?」
考えてる俺に向かって騎士が剣を振り下ろす。
「あっぶねぇな。考え事くらいさせろっての」
割とギリギリで避けた。意外と焦ったな。
だが、
「これで正当防衛成立だ」
右手を騎士達に向け、放つ。
「紅蓮」
俺が放った魔法は、周りの木々を焼き払い、そのまま騎士に当たる。
「さすがに死んだか」
地面が抉れ、木々は跡形もなくなくなり、森だった場所は黒焦げの平原になってしまった
これほどの威力ならば、人間は耐えられないだろう。
羨ましいものだな、人間は。俺がその場を離れようとすると、
「待って…貴方何者なの」
俺の後ろからそんな声が聞こえる。
そういえば女性を助けたんだったよな。
「…こっちこそ質問だ」
後ろを振り向き圧をかけその女性に問いかける。
「お前…何者だ?」

俺と女性の間に異様な空気が流れる。
出会った時から違和感があった。
こいつは人間じゃない。
だが、俺のようなエルフではないだろう。
魔族?天使?竜人?
いや、そのどれも当てはまらない。
そして、俺は気に食わない。
全てを見下してるようなこの目が。
「質問をしているのは私よ!」
「助けてやったというのに随分と偉そうだな」
「だから何?別に助けてなんて言っていないわよ」
なんなんだコイツ。
意味がわからない。
「紅蓮」
俺は、先程騎士達に放った魔法を、目の前の女性に放つ。
これで正体を確かめてやる。

紅蓮が女性に当たった瞬間。
俺はおぞましい何かを感じた。
「――は?」
そのおぞましい何かを感じたとき、俺が放った紅蓮は最初からそこに無かったかのように消えていた。
初めてだ、ここまでの恐怖を感じたのは。
「お前、名は?」
「まだ私の質問が終わってないのだけど…。まぁいいわ、私は菜森結衣よ」
「菜森結衣?変な名前だな。…まぁいい、俺はアイン、エルフだ」
さっきの現象。
奇妙な名前。
こいつなら、俺に夢を与えてくれそうだ。
俺は結衣に近づいた。
焼けこげた森の中で俺は天に手を掲げ、高らかに宣言する。
「ここだ…ここからだ俺の夢探し」
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