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カリン、村の市場で大はしゃぎ
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「市場の日ですよーっ!」
朝からシャオケイの張り切った声が霧雲堂に響いた。
今日は月に一度の「雲渓市(うんけいいち)」――村外れの広場で開かれる定例の朝市だ。
「シュウ、準備はいい? 王都にだってこんなに風情のある市はないのよ!」
「ええ、道中の薬草を見て回るのも兼ねて、なかなか楽しい一日になりますね」
シュウはカゴを背負いながら笑みを浮かべた。
一方のカリンは、朝から何やらそわそわしている。
「財布も持った。小銭もばっちり。今日は――ぜったい買い物を楽しむのよ!」
「お、お姫様。今日はあくまで“視察”のつもりで……」
「いいえ、今日は“王女”じゃなくて“旅人カリン”ですから!」
すでに気分は市場モード全開のようだった。
村の広場には、すでに幾十もの屋台が立ち並んでいた。
手作りの野菜、干物、草木染めの布、飴細工、珍しい薬草やお守り……見るものすべてが素朴で温かい。
「うわあ、あの陶器すごくかわいい……! あっちの干し魚も気になるし……」
あっちへふらふら、こっちへふらふら。
まるで子どもが初めてのお祭りに来たかのように、カリンは目を輝かせていた。
「こちら、どうですかい? 王都から来たお嬢さん!」
元気な声で声をかけたのは、名物・魚屋の女将。
「はい、えっと、これを二ついただきたいのですが……まけていただけたり?」
「おやおや、値切り交渉とは通ですなあ。でも王都のお嬢さんならもう少し出しても……」
「ま、まけては……くれないんですね……」
しょんぼり肩を落とすカリンに、女将が大笑いして魚を三尾に増やしてくれた。
「次からは『これとこれで、こっちもオマケね!』って強気に言うといいんだよ!」
「な、なるほど……!」
その後も、カリンは色とりどりの飴細工に夢中になり、民芸品の飾りに見とれ、薬草屋では「王宮にはない香りだわ……!」と感動し、どんどん荷物が増えていく。
「シュウ、これ見てください! この香草、枕に詰めるとすごく安眠できるって!」
「ええ、たしかに良質なセイカン草ですね。加工すれば茶葉にも使えますよ」
「じゃあ、これも五袋――」
「買いすぎですよ、カリン様」
一方そのころ、シャオケイは子どもたちにお菓子を配りながら、村の長老たちと談笑していた。
「カリン様、すっかり村になじんでおられますねぇ」
「はい、本当に。なんというか、王女様ってことを忘れそうになるくらい……」
ふと振り返ると、ちょうどカリンが飴細工の兎を握って、子どもとじゃんけんをしていた。
「わたしに勝ったら、この兎はあなたに。負けたら……うーん、どうしよう?」
「お姫さま、負けたら跳ねてもらうの!」
「よ、よーし、負けたら三回ジャンプするわね!」
「えい、じゃんけん――ぽん!」
……結果、カリンが跳ねていた。
「ぴょん、ぴょん、ぴょんっ!」
「うわーい、お姫さま跳ねてるー!」
広場は笑いに包まれていた。
午後、霧雲堂に戻った三人は、荷物の山にしばし絶句した。
「カリン様……これはさすがに買いすぎでは……?」
「い、いいのよ。全部必要なものだったのよ。市場は一期一会ですもの」
「ですが、“飴細工30本”は……」
「子どもたちに配ります! それに……ふふっ、楽しかったからいいの!」
カリンの笑顔に、誰も文句は言えなかった。
王女という肩書も忘れて、自由にはしゃいだ一日。
その夜、霧雲堂には市場で手に入れた香草の香りが優しく漂い、いつもより少し、にぎやかな笑い声が続いていた。
朝からシャオケイの張り切った声が霧雲堂に響いた。
今日は月に一度の「雲渓市(うんけいいち)」――村外れの広場で開かれる定例の朝市だ。
「シュウ、準備はいい? 王都にだってこんなに風情のある市はないのよ!」
「ええ、道中の薬草を見て回るのも兼ねて、なかなか楽しい一日になりますね」
シュウはカゴを背負いながら笑みを浮かべた。
一方のカリンは、朝から何やらそわそわしている。
「財布も持った。小銭もばっちり。今日は――ぜったい買い物を楽しむのよ!」
「お、お姫様。今日はあくまで“視察”のつもりで……」
「いいえ、今日は“王女”じゃなくて“旅人カリン”ですから!」
すでに気分は市場モード全開のようだった。
村の広場には、すでに幾十もの屋台が立ち並んでいた。
手作りの野菜、干物、草木染めの布、飴細工、珍しい薬草やお守り……見るものすべてが素朴で温かい。
「うわあ、あの陶器すごくかわいい……! あっちの干し魚も気になるし……」
あっちへふらふら、こっちへふらふら。
まるで子どもが初めてのお祭りに来たかのように、カリンは目を輝かせていた。
「こちら、どうですかい? 王都から来たお嬢さん!」
元気な声で声をかけたのは、名物・魚屋の女将。
「はい、えっと、これを二ついただきたいのですが……まけていただけたり?」
「おやおや、値切り交渉とは通ですなあ。でも王都のお嬢さんならもう少し出しても……」
「ま、まけては……くれないんですね……」
しょんぼり肩を落とすカリンに、女将が大笑いして魚を三尾に増やしてくれた。
「次からは『これとこれで、こっちもオマケね!』って強気に言うといいんだよ!」
「な、なるほど……!」
その後も、カリンは色とりどりの飴細工に夢中になり、民芸品の飾りに見とれ、薬草屋では「王宮にはない香りだわ……!」と感動し、どんどん荷物が増えていく。
「シュウ、これ見てください! この香草、枕に詰めるとすごく安眠できるって!」
「ええ、たしかに良質なセイカン草ですね。加工すれば茶葉にも使えますよ」
「じゃあ、これも五袋――」
「買いすぎですよ、カリン様」
一方そのころ、シャオケイは子どもたちにお菓子を配りながら、村の長老たちと談笑していた。
「カリン様、すっかり村になじんでおられますねぇ」
「はい、本当に。なんというか、王女様ってことを忘れそうになるくらい……」
ふと振り返ると、ちょうどカリンが飴細工の兎を握って、子どもとじゃんけんをしていた。
「わたしに勝ったら、この兎はあなたに。負けたら……うーん、どうしよう?」
「お姫さま、負けたら跳ねてもらうの!」
「よ、よーし、負けたら三回ジャンプするわね!」
「えい、じゃんけん――ぽん!」
……結果、カリンが跳ねていた。
「ぴょん、ぴょん、ぴょんっ!」
「うわーい、お姫さま跳ねてるー!」
広場は笑いに包まれていた。
午後、霧雲堂に戻った三人は、荷物の山にしばし絶句した。
「カリン様……これはさすがに買いすぎでは……?」
「い、いいのよ。全部必要なものだったのよ。市場は一期一会ですもの」
「ですが、“飴細工30本”は……」
「子どもたちに配ります! それに……ふふっ、楽しかったからいいの!」
カリンの笑顔に、誰も文句は言えなかった。
王女という肩書も忘れて、自由にはしゃいだ一日。
その夜、霧雲堂には市場で手に入れた香草の香りが優しく漂い、いつもより少し、にぎやかな笑い声が続いていた。
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