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霧雲堂、春の薬草講座 開講!
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ある朝のこと。
霧雲堂の前で、近所の子どもたちがわらわらと集まり、何やら騒がしい声が上がっていた。
「ねーねー、シュウ先生って薬のことなんでも知ってるんでしょ?」
「“眠れない時に飲むお茶”ってどれ?」
「“走るの速くなる薬草”ある!?」
「……まるで魔法使い扱いですね」
窓を拭いていたシュウは、苦笑しながら縁側へ出ていった。
「みなさん、そんなに興味があるのなら――小さな薬草講座でも、開いてみましょうか」
「やったー!!」
子どもたちの歓声が響き、あっという間に「先生、よろしくお願いしまーす!」の声が揃った。
「先生……? 先生って……私だけの先生じゃないんですか……?」
少し離れたところで雑巾を絞っていたシャオケイがぽつりと呟いた。
その日の午後。
店の前にある広場に、即席の“野外教室”が設営された。
木箱のテーブルに並べられた、春の薬草の数々。
風霧草、月苔草、白花蓮、百歩葉……。
「この薬草は、“眠り草”といって、ほんの少し煎じて飲むと、ぐっすり眠れるんですよ」
「へぇ~!」
「ぼくんちの猫も眠くなるの?」
「……猫への効能は、また別の話です」
笑いを交えつつ、シュウの話に子どもたちは真剣な眼差しを向ける。
その姿を見つめながら、シャオケイは、そっと記録用のメモを取り始めた。
一方、講座の助手として張り切っていたのが、なぜだかカリン。
「それじゃあクイズです! この中で、“お腹を壊したとき”に飲むとよいお茶はどーれだ!」
「はいはーい!!」
「正解は……“百歩葉”! 先生もそう言ってた!」
「でもそれ、さっき“頭が痛いとき”にも効くって言ってましたよ?」
「えっ……そ、そうだっけ? どっちだっけ? 先生~っ!」
クイズがグダグダになりかけたそのとき――
「正解は、両方です。ただし使用する量が違います」
シュウがさらりと補足し、場が整う。
「さすが先生……!」
と、弟子と王女が同時に感嘆した。
後半は、実際に薬草を触ってみる体験タイム。
子どもたちはそれぞれの葉の感触や匂いを確かめながら、興味津々の様子。
「わぁ、これふわふわしてる」
「こっちはくさーい!」
「くさいのは“元気の元”でもあります。体に効く草ほど、強い香りを持っていることが多いんですよ」
そんなやり取りの中、ひとりの小さな女の子がそっと手を挙げた。
「ねぇ、わたし、お母さんが夜あんまり眠れないって言ってた。これ、あげてもいいの?」
その言葉に、場が少し静かになる。
シュウはやさしく微笑みながら、小さな布袋を取り出した。
「では、こちらを。お母様の体調を考えて、少しだけ調合しておきましょう。お湯を注いで香りを楽しむだけでも、きっと心が落ち着きますよ」
女の子は目を輝かせながら受け取った。
「ありがとう、先生!」
講座の終わり、最後はみんなで“お楽しみ薬草クイズ”を実施。
正解者には、カリンお手製の「薬草入りクッキー」が配られた。
「……先生、これ……わたしも食べていいですか……?」
「試食という名の毒味ですね。どうぞ」
クッキーを口に入れたシャオケイが、目を閉じて一言。
「……味は……味は……ちゃんと、甘いです……!」
「よかったー!」
講座が終わった夕方。
霧雲堂の前で、子どもたちが次々と手を振って帰っていく。
「ばいばーい!」
「またやってね、先生!」
「ふふ……ずいぶんと賑やかでしたね」
シュウがほっと一息つくと、シャオケイが真面目な顔で言った。
「先生って……本当に教えるのが上手なんですね。尊敬します」
「……いえいえ。教えることで、私自身もたくさん学ばせてもらっているのですよ」
やさしい春風が吹き抜ける中、霧雲堂の前には今日も穏やかな時間が流れていた。
霧雲堂の前で、近所の子どもたちがわらわらと集まり、何やら騒がしい声が上がっていた。
「ねーねー、シュウ先生って薬のことなんでも知ってるんでしょ?」
「“眠れない時に飲むお茶”ってどれ?」
「“走るの速くなる薬草”ある!?」
「……まるで魔法使い扱いですね」
窓を拭いていたシュウは、苦笑しながら縁側へ出ていった。
「みなさん、そんなに興味があるのなら――小さな薬草講座でも、開いてみましょうか」
「やったー!!」
子どもたちの歓声が響き、あっという間に「先生、よろしくお願いしまーす!」の声が揃った。
「先生……? 先生って……私だけの先生じゃないんですか……?」
少し離れたところで雑巾を絞っていたシャオケイがぽつりと呟いた。
その日の午後。
店の前にある広場に、即席の“野外教室”が設営された。
木箱のテーブルに並べられた、春の薬草の数々。
風霧草、月苔草、白花蓮、百歩葉……。
「この薬草は、“眠り草”といって、ほんの少し煎じて飲むと、ぐっすり眠れるんですよ」
「へぇ~!」
「ぼくんちの猫も眠くなるの?」
「……猫への効能は、また別の話です」
笑いを交えつつ、シュウの話に子どもたちは真剣な眼差しを向ける。
その姿を見つめながら、シャオケイは、そっと記録用のメモを取り始めた。
一方、講座の助手として張り切っていたのが、なぜだかカリン。
「それじゃあクイズです! この中で、“お腹を壊したとき”に飲むとよいお茶はどーれだ!」
「はいはーい!!」
「正解は……“百歩葉”! 先生もそう言ってた!」
「でもそれ、さっき“頭が痛いとき”にも効くって言ってましたよ?」
「えっ……そ、そうだっけ? どっちだっけ? 先生~っ!」
クイズがグダグダになりかけたそのとき――
「正解は、両方です。ただし使用する量が違います」
シュウがさらりと補足し、場が整う。
「さすが先生……!」
と、弟子と王女が同時に感嘆した。
後半は、実際に薬草を触ってみる体験タイム。
子どもたちはそれぞれの葉の感触や匂いを確かめながら、興味津々の様子。
「わぁ、これふわふわしてる」
「こっちはくさーい!」
「くさいのは“元気の元”でもあります。体に効く草ほど、強い香りを持っていることが多いんですよ」
そんなやり取りの中、ひとりの小さな女の子がそっと手を挙げた。
「ねぇ、わたし、お母さんが夜あんまり眠れないって言ってた。これ、あげてもいいの?」
その言葉に、場が少し静かになる。
シュウはやさしく微笑みながら、小さな布袋を取り出した。
「では、こちらを。お母様の体調を考えて、少しだけ調合しておきましょう。お湯を注いで香りを楽しむだけでも、きっと心が落ち着きますよ」
女の子は目を輝かせながら受け取った。
「ありがとう、先生!」
講座の終わり、最後はみんなで“お楽しみ薬草クイズ”を実施。
正解者には、カリンお手製の「薬草入りクッキー」が配られた。
「……先生、これ……わたしも食べていいですか……?」
「試食という名の毒味ですね。どうぞ」
クッキーを口に入れたシャオケイが、目を閉じて一言。
「……味は……味は……ちゃんと、甘いです……!」
「よかったー!」
講座が終わった夕方。
霧雲堂の前で、子どもたちが次々と手を振って帰っていく。
「ばいばーい!」
「またやってね、先生!」
「ふふ……ずいぶんと賑やかでしたね」
シュウがほっと一息つくと、シャオケイが真面目な顔で言った。
「先生って……本当に教えるのが上手なんですね。尊敬します」
「……いえいえ。教えることで、私自身もたくさん学ばせてもらっているのですよ」
やさしい春風が吹き抜ける中、霧雲堂の前には今日も穏やかな時間が流れていた。
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