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魔導書士、猪を食べる
しおりを挟む「魔導、書士?」
「はい、そうです。聞いたことはありませんか?」
「いや、ないことはないが、しかし…」
彼女は何やら考え込むようにしてぶつぶつ呟きだしたが、
…ぐ~~
腹が鳴った。それも豪快に。
…あ、真っ赤な顔をして震えだした。
「…そういえば、まだ晩飯を食べていませんでした。どうですか、よければ一緒に」
「…う、いや、腹は鳴ったが、しかしそういうつもりではなかったのだが…」
今度は何やらうにゃうにゃ言い出したが、まあ、腹が減っているのは間違いないだろう。
「まあまあ、せっかくなので私の晩飯に付き合ってくださいよ」
「そ、そうか。まあそう言うなら、ご相伴にあずかろうかな」
「では、この猪を食べましょうか」
さっきのファイヤーボールのおかげで、表面の毛は焦げ落ち、中の肉はちょうどよい具合に焼けているだろう。
修行中に何度か出くわした際もこうして食べたっけなぁ。
「な、そ、それを食べるのか!」
「そうですけど、猪の肉は苦手ですか?」
問いながらナイフでザクザクと解体していく。体が大きいのでなかなか大変ですねぇ。
「いや、苦手というか、だってそれ…」
また何やらうにゃうにゃ言い出したので、とりあえず切り出した肉を彼女の口に押し込んだ。
「なっ、ちょ、いきなり…、う、旨い!!」
両頬を手で押さえ目を輝かせながら、ひたすら咀嚼しだした。
「お口にあったようでよかったです。では僕も…、うん、旨い!」
彼女はよほど腹が減っていたのか、手持ちの剣でザクザクと猪を解体すると、ひたすら肉を食べ続けた。
「いや、この度はすまなかった。おかげで助かった」
しばらく肉を食べ続けて一息ついたころ、彼女が改めて礼を述べた。
「私の名前はレイラ。見ての通り剣士をしている。ここにはギルドの依頼できたのだが、しかし予期せぬ相手に苦戦してしまい、もうダメかと思った」
「いえいえ、たいしたことではありませんよ。それよりこれからどうするおつもりですか?」
「うん、このままの状態でギルドの依頼を続けるのも難しいので、一度町に帰ろうと思う。ニコライはどうするのだ?というか、何でこんな山奥にいるのだ?」
「町!町に行くんですか!?」
「な、なんだ!そうだが、どうかしたのか?」
「いえ、実は私ずっとこの山で過ごしていまして。しかしながら、ある目標のために今日山を降りたのですが、道に迷ってしまって…。町に行くならご一緒させていただけませんか!」
私はずいっとレイラに迫る。
「わ、分かった、分かった!町に連れて行ってやる!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「いや、何、命の恩人に対してこの程度何とも…。しかしながらちょっと聞きたいのだが、魔導書士と言ったが…」
「じゃあ、ワクワクしすぎて明日が待ちきれないのでもう寝ますね!おやすみなさい!」
「な、おいこら!」
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「くそ、もう寝たのか…。まあ良い、明日聞くとしよう」
レイラさんがまだ何か言っているが、そうです、明日にしましょう。
「しかし、魔導書士があの強さ?たかがファイヤーボールでキングボアを…」
遠くにレイラさんの呟きが聞こえた気がしたが、まあ、良いか…。
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