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魔導書士、人里へ
しおりを挟む「ここが町ですか!」
「ああ、冒険者の集う街、キャンベル町だ」
レイラさんの案内でたどり着いたそこは、町全体が高い塀で囲まれ、町の入り口では衛兵が人々の出入りを管理していた。
「どうした、呆けたように門を見つめて。いいから入るぞ」
「は、はいっ!」
そうして私たちは町に入る手続きをして、門をくぐった。まあ、手続きはレイラさんの、
「お疲れ。入るぞ。これは私の連れだ」
のやり取りだけで終わってしまったのだが。
「おお、これが…!」
門をくぐると、そこには見たこともない光景が広がっていた。
行き交う冒険者と町の人々。
そこら中にある露天商の店舗と、交わされる調子の良いやり取り。
町を囲む石壁の少し湿った匂い。
露店や各家から漂う温かい料理の香り。
ゆっくりと駆けていく馬車のかすかな砂ぼこりが太陽の光できらめく。
道中、魔導書士は最弱の魔術職だという話を聞いたときはショックも受けたが、しかしそんなことはどうでも良い!ここから私の冒険が始まるんだ!
「おい、ニコライ、目を輝かせて、どうかしたのか」
「はっ、すみません。あまりにも素晴らしい景色だったのでつい」
「そ、そうか。まあ町に来たことがないと言っていたもんな」
「ええ、町なんて本の中でしか知らなかったので」
「まあ喜んでいるようなら何よりだが。それよりもニコライ、約束通り町には連れてきたが、君はこれからどうするのだ?」
「あ、そういえば私の旅の目的を話していませんでしたね。実は王立図書館に行こうと思っておりまして」
「王立図書館?」
そう言うとレイラさんが少し考え込みはじめた。
「レイラさん、どうかしたのですか?」
「いや、魔導書士の君が王立図書館を目指すというのはそんなもんかと理解できるのだが…。時にニコライ、君はお金を持っているのか?」
「お金?…ああ、そういえば何かで読んだことがありますね。たしか人里ではそれを使って物を手に入れるのだと。まあ、うちに来る行商人とは物々交換だったので、持ってはいませんが…」
「むう、君のことだからそんなことではないかと思ったが」
そしてレイラさんがまた考え込み始めた。
「いいかニコライ。王立図書館に行くということは、王都に行かなければならない。しかし今この国は隣国と戦争中のため、無条件では王都に入れないんだ」
「え!そうなんですか。ではどうすれば」
「うん、必要なのは金と地位だ」
「金と地位?」
「そうだ。金は、まあ、入場代だな。戦費が必要ということもあるし、無一文の怪しい奴は入れることができないということだ」
「なるほど…。地位というのは?」
「まあ、地位というと少し大げさだが、社会的に信用のおける肩書が必要ということだな」
「肩書?魔導書士ですというのは」
「ダメだな」
うっ、半分冗談で聞いてみたこととは言え、昨日から自分の職業が否定されてるようで、思いのほか傷つきますね…。
「それじゃあ、一体、どうすれば?」
「そこでだ、それらを一気に解決できる方法があるぞ」
「本当ですか!それは一体」
「うん、ニコライ、一緒に冒険者ギルドに行かないか?」
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