無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

魔導書士、魔導書作家に出会う

「図書館を、作るだと？」
「ええ、そうです」
　レイラさんと町を歩きながら、先ほどの話の続きを始める。
「しかし、図書館を作るか…。私には想像もできない話だが…」
「そうですね。しかし、夢はあきらめきれません」
「とは言っても、どうやって実現するつもりだ？」
「必要なものは、図書館を建てる土地、建物、本、管理する人間、そしてそれらを用意するための資金です」
「ふむ、そうなると、とにかく金を稼がないといけないということか…。まあ、お前のとんでも魔導書術で高難易度クエストをクリアしていけば、ある程度は貯まりそうだが」
「そうですかね？まあ、とりあえずはギルドに行ってみましょう」

　たどり着いたのは、以前の街のギルドの倍以上はある建物。さすが王都のギルドともなると規模が違う。その建物に入ると、依頼掲示板の前が何やら騒がしい。
「お願いします！助けてください！」
「あほ抜かせ！たったそれっぽっちの報酬で受けるわけないだろう！」
　なにやら少女の声が聞こえる。どうしたのだろうかと近くの冒険者に尋ねてみた。
「なに、よくあることさ。この辺りの村の人間が、魔物から村を救ってほしいっていうな。だが、小さな村じゃあまともな報酬なんて用意できない。それに今国は他国との戦争で忙しい。報酬も用意できないようなろくな産業もない村に興味なんてないのさ」
「ひどい…」
　そう思うと、気づいたら私は掲示板の前に向かっていた。
「うう、誰か、助けてよ…」
「大丈夫ですか？よければ話を…」
　そう言って少女と目が合った途端、少女が目を丸くして驚いた。
「え、ニコライ様？」
「様？失礼ですが、どこかで会ったことが？」
「私です！昔お会いした、魔導書作家の一族のルルです！」