無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

甘夏蜜柑

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魔導書士、大量生産する

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 倒れたトネルコさんが目を覚ましてからは怒涛の展開だった。
 すぐ商品化したいということで、私とルルは昼夜を問わず商品づくりを行った。
 ある程度まとまった数を納品したところ、あっという間になくなったようで、信じられないほどのお金が私たちの手元に入ってきた。
 そして、すぐにまた商品を収めてほしいと言われるのだが、
「ニコライ様ぁ、さすがに私とニコライ様だけじゃあ、生産が追いつきませんよぉ」
 ルルが音を上げた。
 いや、正直私もだいぶ参っていた。
「そうですねぇ。ここは、あの手を使いますか」
「あの手?」
「分業ですよ」
「分業って言っても、今も魔導書以外の部分は村や町の職人さんたちに作ってもらっていますよ。あとは何をお願いするんですか?」
「だから、魔導書ですよ?」
「え!でも、魔導書って、魔導書作家が魔力を込めながら書かないといけないんじゃないんですか?」
「あれ?ご両親に習っていませんでしたか?そもそも使用するインクや紙にある程度の魔力が宿っているので、初歩的な魔導書であれば書くこと自体に魔力を込める必要はないのですよ」

 そう説明して1週間後。私は一枚の板をルルに見せた。
「これは、版画ですか?」
「そうです。彫っているのは魔導文字ですが」
 そしてそれに魔導インクを塗り、魔導紙にペタッと押した。
「はい、これで完成です」
「え、これで魔導書になるんですか」
 疑うルルが魔石を持ってきて魔導書に置いてみる。すると魔導書は冷気を発しだした。
「す、すごい。これなら私たちが書かなくても」
「ええ、人を雇って押してもらえればばっちりです」

 そしてさらに1か月後。
 図書館の裏には大きな工房が完成し、そこでは昼夜問わず人々が私オリジナルの魔導書を作るようになっていた。
 魔導書づくりは村の一大産業となり、都会に稼ぎに行っていた村の若者も帰ってきた。
 私とルルは新しい魔導書の開発にいそしみようになり、そして気づいた。
「しまった!図書館づくりがおざなりになっている!」
 あやうく本末転倒になるところだった。
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