無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

甘夏蜜柑

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魔導書士、司書を雇う

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 私たちの作った魔導書-ルル命名「魔導書具」-は非常によく売れた。
 おかげさまで魔導書を仕入れるのに十分な予算が確保できたので買い付けに行きたいのだが、
「困りましたねぇ」
 今この図書館には専属の司書がいない。
 なので私が魔導書を買い付けに行こうとすると、その間は図書館を閉めておかなければならない。
「別に閉めればいいんじゃないのか?たいして利用者もいないのだろう?」
「そんな、レイラさん!図書館は常に開かれておく必要があるのですよ!」
「はぁ、そんなものかねぇ…」
 クエストから帰ってきたレイラさんと酒場で食事をしながらそんなことを話していた。
「じゃあ、司書を雇うあてはあるのか」
「それは…」
 あてはない。
 魔導書とは言え本は本なので、最低限必要な素養は普通の図書館の司書と大して違いない。誤算だったのは、個々の村の方々の識字率があまり高くないことだ。
 とはいえ、私たちが魔導書具工房を開いたおかげで、都から若い人たちも戻ってきている。そうした人たちをあたってみるしかないだろう。

 そして数日後。
 相変わらず司書を雇うことを考えながら、たまには顔を出してみようと工房に行ったところ、ある一人の少年が屈強な職人に凄まれていた。
「こらマルク!てめぇ、またさぼりやがって!」
「ご、ごごご、ごめんなさい!」
「どうしましたか?」
 囲まれている中に私が入ると、
「こ、これはニコライさん!いえね、実はこいつが仕事を度々さぼるもんですから、しかりつけていたところでさぁ」
「ふむ、そうですか」
 マルクと呼ばれた少年の方を見てみると、胸に何か大事そうに抱えていた。
「マルク君、もしよければ、持っているものを見せてもらえますか?」
「え、これは、その、は、はい、どうぞ」
「これは、魔導書具に組み込む魔導書ですか?これを抱えてどうしたんですか?」
「な、何か文字が書いてあるなって。こ、この文字は読めませんけど、僕、こうした文字を読んだりするのが好きで、それで仕事中読むのに夢中になっちゃって、あの、それで、仕事が…」
 そこまで言うと、マルクはしゅんとして頭を下げた。
「ご、ごめんなさい」
「ふむ」
 そこまで何かを読むのに夢中になれるなら。
「マルク君、いや、マルク。君は普通の文字は読めますか?」
「え?あ、はい。い、一応読めます、はい」
「本は好きですか?」
「…好きです。ぼ、僕、王都出身なんですけど、将来は、王都の図書館で、働ければなぁと…」
「分かりました。マルク、よければうちの図書館で司書として働きませんか?」
「え、い、良いんですか!?」
「ええ、実は今司書を探してまして。もしよければですが」
「や、やります!やらせてください!」
 こうして、念願の司書を雇うことになった。
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