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転生した異世界の生活
21 初デートで知る現実 3
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「アレス様? いかがなさいましたか?」
「いえ、それで今日はこれで終わりでよいのですか?」
「最後にもう一箇所……アレス様と一緒に行きたい所があるのですが、よろしいですか?」
「ええ、何処までもお供しますよ。お姫様」
「そんな、おやめください」
そうは言うが、嬉しそうにしているので問題はなさそうだ。
こちらとしては先生達の様子を見ているのが、まるでカンニングみたいだけど、気にしてはいられない。
今の俺には彼女を飛び越えて、婚約者がいるのだから。
だけど、恋愛初心者の俺にはスキしか無い。
案内された場所は、不思議と見覚えがあった。
何かの建物、何処かで見たことのある光景。鉄格子から見える奥にある大きな建物……俺は、門を少し遠くから見つめた。
やっぱり見たことがある……俺にこの世界の記憶があるなんておかしい。
「ここは……?」
「アレス様どうされたのですか?」
「ミーアこの建物は一体?」
「ラカトリア学園の高等部です。いつの日か私もアレス様とともに。ですが、その前に初等部からでしたね」
ラカトリア学園?
冗談だよな?
「ラカトリア学園? まさか……」
「どうかなさいましたか?」
『あんた、家に戻っても暇なんでしょ?』
『なんだよ。こっちは自分のゲームをしているんだよ』
『それは別にどうでもいいんだけどさ。このゲームすごく難しくてさ、一回クリアすれば簡単なんだって』
『なんだ? 乙女ゲームかよ。ああ、強くてニューゲーム搭載のやつね』
『その意味が分かんないんだけどさ。そうだ、最強キャラにしてくれたらお礼にゲーム買ってあげるよ』
『まじかよ。そんなもん、余裕余裕』
そして、ゲームを俺は開始した。
テレビの画面に写っていたゲームタイトル画面の光景が、今俺の目の前に広がっていた。
何回も、いや何百回と見た、あれと全く同じものがここにある。
俺の名前といい、ミーアといい、どうりで違和感があるわけだ。ここは、この世界はあの乙女ゲームの世界なのか?
ゲームタイトルからして如何わしいあれなのか?
『貴方様といられたら……』確か、こんなタイトルだったはず。
今思い返せばダンジョンの話、国、学園の名前、似ている気がする。
ゲームでも俺達は、いやアレスとミーアは最初から婚約者として開始する。
しかし、婚約者に関心のないアレスを、懸命に支えてようやく告白されるものの、最後の最後で彼女は死ぬことになってしまう。
俺が初めてプレイした時、ミーアが気に入ったから始めただけだったが、もしこの世界がゲームだとしたら……俺が、その決断をするということなのか?
「アレス様?」
『嘘だよな? そんなはずないだろ?』
今、目の前にいるミーアはあのミーアだというのか?
俺が……君を?
「いかがなさいました? アレス様!」
『なんでだよ。これでハッピーエンドだろうが!』
思わずミーアを抱きしめた。
今こうして生きている……それを俺が殺すだと?
『頭おかしいのかよ。何で殺す必要があるんだ。せっかく……』
「ごめん」
「構いません。うれしいです、アレス様」
『おお、すごいじゃん』
『別にすごくはないだろ。それより、そのゲームもう聞きたくないから音下げて』
『はいはい、お疲れ様』
ミーアは今ここでこうして生きている。
たしかにここに存在している。
「そろそろ参りましょうか」
「ご、ごめん。ちょっと、えっと、ミーアが高等部にいたらどれだけ綺麗なのかな」
「そ、そのような……」
「ミーア、ありがとう」
「アレス様」
ミーアを殺す元凶になったアイツを……俺がこの手で倒せばいい。
たとえ、どれだけ堕ちようとも、ミーアには生きていて欲しい。
あんな思い二度とゴメンだ。
必ず、俺が倒してやる。
「いえ、それで今日はこれで終わりでよいのですか?」
「最後にもう一箇所……アレス様と一緒に行きたい所があるのですが、よろしいですか?」
「ええ、何処までもお供しますよ。お姫様」
「そんな、おやめください」
そうは言うが、嬉しそうにしているので問題はなさそうだ。
こちらとしては先生達の様子を見ているのが、まるでカンニングみたいだけど、気にしてはいられない。
今の俺には彼女を飛び越えて、婚約者がいるのだから。
だけど、恋愛初心者の俺にはスキしか無い。
案内された場所は、不思議と見覚えがあった。
何かの建物、何処かで見たことのある光景。鉄格子から見える奥にある大きな建物……俺は、門を少し遠くから見つめた。
やっぱり見たことがある……俺にこの世界の記憶があるなんておかしい。
「ここは……?」
「アレス様どうされたのですか?」
「ミーアこの建物は一体?」
「ラカトリア学園の高等部です。いつの日か私もアレス様とともに。ですが、その前に初等部からでしたね」
ラカトリア学園?
冗談だよな?
「ラカトリア学園? まさか……」
「どうかなさいましたか?」
『あんた、家に戻っても暇なんでしょ?』
『なんだよ。こっちは自分のゲームをしているんだよ』
『それは別にどうでもいいんだけどさ。このゲームすごく難しくてさ、一回クリアすれば簡単なんだって』
『なんだ? 乙女ゲームかよ。ああ、強くてニューゲーム搭載のやつね』
『その意味が分かんないんだけどさ。そうだ、最強キャラにしてくれたらお礼にゲーム買ってあげるよ』
『まじかよ。そんなもん、余裕余裕』
そして、ゲームを俺は開始した。
テレビの画面に写っていたゲームタイトル画面の光景が、今俺の目の前に広がっていた。
何回も、いや何百回と見た、あれと全く同じものがここにある。
俺の名前といい、ミーアといい、どうりで違和感があるわけだ。ここは、この世界はあの乙女ゲームの世界なのか?
ゲームタイトルからして如何わしいあれなのか?
『貴方様といられたら……』確か、こんなタイトルだったはず。
今思い返せばダンジョンの話、国、学園の名前、似ている気がする。
ゲームでも俺達は、いやアレスとミーアは最初から婚約者として開始する。
しかし、婚約者に関心のないアレスを、懸命に支えてようやく告白されるものの、最後の最後で彼女は死ぬことになってしまう。
俺が初めてプレイした時、ミーアが気に入ったから始めただけだったが、もしこの世界がゲームだとしたら……俺が、その決断をするということなのか?
「アレス様?」
『嘘だよな? そんなはずないだろ?』
今、目の前にいるミーアはあのミーアだというのか?
俺が……君を?
「いかがなさいました? アレス様!」
『なんでだよ。これでハッピーエンドだろうが!』
思わずミーアを抱きしめた。
今こうして生きている……それを俺が殺すだと?
『頭おかしいのかよ。何で殺す必要があるんだ。せっかく……』
「ごめん」
「構いません。うれしいです、アレス様」
『おお、すごいじゃん』
『別にすごくはないだろ。それより、そのゲームもう聞きたくないから音下げて』
『はいはい、お疲れ様』
ミーアは今ここでこうして生きている。
たしかにここに存在している。
「そろそろ参りましょうか」
「ご、ごめん。ちょっと、えっと、ミーアが高等部にいたらどれだけ綺麗なのかな」
「そ、そのような……」
「ミーア、ありがとう」
「アレス様」
ミーアを殺す元凶になったアイツを……俺がこの手で倒せばいい。
たとえ、どれだけ堕ちようとも、ミーアには生きていて欲しい。
あんな思い二度とゴメンだ。
必ず、俺が倒してやる。
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