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強者出現
171 姉との別れ 2
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何もないのかもしれないが、何かがあってからでは遅い。
ここには俺だけでなく皆が居るのだから。
「ダインスレイブ。コイツならどうだ?」
欠片を斬るとスッと塵となって消えて無くなった。欠片が無くなったことで皆の顔が安堵している。
左手に持つダインスレイブをじっと見ていた。黒い刀身の片刃剣で背には炎のゆらめきを象っているようだ。これはこれで、十分面白い武器だ。
問題なのは、使用者のHPを奪うということだけど……試してみるしか無いよな。
「それにしても……この武器」
心をくすぐられるいい武器だよな。
一方、ドゥームブレイドはただ漆黒の真っ直ぐの両刃の剣。
具現化したことで、皆は一斉に距離をとった。
何をそんなに慌てているんだ?
「ど、どうした、アレス。まだ何かあるのか?」
「どうもしないけど。いや、かっこいいかなって。ほら、どうだ?」
二つの剣でかっこ良くポーズをとってみせたのだが、全員が壁に背を当てて逃げていた。
逃げることはないだろ?
ミーアたちですら、俺から距離を取っている。そんなにダメなのか?
そういうのは……ちょっとぐらい期待をしてなかったわけじゃないが、そこまで嫌がられるとも思わなかった。
「何をするのかと思えば、いいからその禍々しいのをしまいなさい」
そういうと、三人とも揃って首を縦に振る。侍女の二人も同じ様に何度も頷く。おかしい、ハルトがいれば分かってくれるのだろうか?
ダインスレイブは性能はともかくとして、見た目はかっこいいと思う。禍々しい辺りが。
それよりも、皆が怖がるのはこのドゥームブレイドなんだよな……具現化を解いただけで、胸をなでおろしていた。
「できればその剣は見たくはないですね」
「ええ、そのとおりですわね」
「アレス様。お体は平気なのですか?
散々な言われようだよな。
何がそんなにダメなんだよ。
それにしても、このダインスレイブ……そして、あの時聞こえた声。あの人は何を期待しているんだろうな?
『失われた武器は全部で六本ある』
それなら知っている。
これがダインスレイブであるのなら、後五本は同じような強者が持っていることぐらい。
だけど、失われた武器なんて言われるような代物じゃなかった。
『それを集めてどうかあの人を救って欲しい』
ベルフェゴルは本来ミーカトのみに出現する。それがこんな所にいるのだから、他の五本の場所も違う所にあるのだろう……それをどうやって集めろと? 出来るわけ無いだろう?
俺にはできそうにもないよな。
そんな事を言えばこの三人が黙ってはいない。
「アレス様?」
肩の怪我のこともあって、俺たちはそのまま療養を余儀なくされたのだが……姉上がやたらと唆すものだから、三人からのアプローチにより安心できる時間がない。
食事は朝昼晩と代わる代わる俺に食べせてくる。
ベッドに横になる時は、膝枕をされていたり、挙句の果てには風呂さえ入ってこようとする。
夜になれば……俺は、先に結界を張ってから寝袋で寝るようにしていた。
そんな生活が三日過ぎた。
「アレス、いつでも遊びに来ていいからね」
「うん。姉上も元気で」
レフリアたちは王都に居るため、このまま王都へ向かうことになった。
バセルトン公爵には、姉上から報告をしてくれるらしいが……とはいえ、俺たちが行かないと何を言われるかわからないしな。まあ、なんとかなるだろう。
そう言えば結局、ダンジョンを攻略できていないけど、大丈夫なのか?
強者がいないだけ、まだマシと思うしか無いよな。
「お世話になりました、お姉様」
「えっと、お姉様もお元気で」
「うん、昔は弟も可愛かったけど、今は妹達のほうが可愛いわね。皆、馬鹿な子だけどよろしくね」
間違ってはいないとは思うけど、一言余計だと思う。
義兄さんが用意してくれた馬車へ乗り込む。
そして、三人から向けられる目から逃げるように外を眺めていた。
何か企んでいたりしないか?
ここには俺だけでなく皆が居るのだから。
「ダインスレイブ。コイツならどうだ?」
欠片を斬るとスッと塵となって消えて無くなった。欠片が無くなったことで皆の顔が安堵している。
左手に持つダインスレイブをじっと見ていた。黒い刀身の片刃剣で背には炎のゆらめきを象っているようだ。これはこれで、十分面白い武器だ。
問題なのは、使用者のHPを奪うということだけど……試してみるしか無いよな。
「それにしても……この武器」
心をくすぐられるいい武器だよな。
一方、ドゥームブレイドはただ漆黒の真っ直ぐの両刃の剣。
具現化したことで、皆は一斉に距離をとった。
何をそんなに慌てているんだ?
「ど、どうした、アレス。まだ何かあるのか?」
「どうもしないけど。いや、かっこいいかなって。ほら、どうだ?」
二つの剣でかっこ良くポーズをとってみせたのだが、全員が壁に背を当てて逃げていた。
逃げることはないだろ?
ミーアたちですら、俺から距離を取っている。そんなにダメなのか?
そういうのは……ちょっとぐらい期待をしてなかったわけじゃないが、そこまで嫌がられるとも思わなかった。
「何をするのかと思えば、いいからその禍々しいのをしまいなさい」
そういうと、三人とも揃って首を縦に振る。侍女の二人も同じ様に何度も頷く。おかしい、ハルトがいれば分かってくれるのだろうか?
ダインスレイブは性能はともかくとして、見た目はかっこいいと思う。禍々しい辺りが。
それよりも、皆が怖がるのはこのドゥームブレイドなんだよな……具現化を解いただけで、胸をなでおろしていた。
「できればその剣は見たくはないですね」
「ええ、そのとおりですわね」
「アレス様。お体は平気なのですか?
散々な言われようだよな。
何がそんなにダメなんだよ。
それにしても、このダインスレイブ……そして、あの時聞こえた声。あの人は何を期待しているんだろうな?
『失われた武器は全部で六本ある』
それなら知っている。
これがダインスレイブであるのなら、後五本は同じような強者が持っていることぐらい。
だけど、失われた武器なんて言われるような代物じゃなかった。
『それを集めてどうかあの人を救って欲しい』
ベルフェゴルは本来ミーカトのみに出現する。それがこんな所にいるのだから、他の五本の場所も違う所にあるのだろう……それをどうやって集めろと? 出来るわけ無いだろう?
俺にはできそうにもないよな。
そんな事を言えばこの三人が黙ってはいない。
「アレス様?」
肩の怪我のこともあって、俺たちはそのまま療養を余儀なくされたのだが……姉上がやたらと唆すものだから、三人からのアプローチにより安心できる時間がない。
食事は朝昼晩と代わる代わる俺に食べせてくる。
ベッドに横になる時は、膝枕をされていたり、挙句の果てには風呂さえ入ってこようとする。
夜になれば……俺は、先に結界を張ってから寝袋で寝るようにしていた。
そんな生活が三日過ぎた。
「アレス、いつでも遊びに来ていいからね」
「うん。姉上も元気で」
レフリアたちは王都に居るため、このまま王都へ向かうことになった。
バセルトン公爵には、姉上から報告をしてくれるらしいが……とはいえ、俺たちが行かないと何を言われるかわからないしな。まあ、なんとかなるだろう。
そう言えば結局、ダンジョンを攻略できていないけど、大丈夫なのか?
強者がいないだけ、まだマシと思うしか無いよな。
「お世話になりました、お姉様」
「えっと、お姉様もお元気で」
「うん、昔は弟も可愛かったけど、今は妹達のほうが可愛いわね。皆、馬鹿な子だけどよろしくね」
間違ってはいないとは思うけど、一言余計だと思う。
義兄さんが用意してくれた馬車へ乗り込む。
そして、三人から向けられる目から逃げるように外を眺めていた。
何か企んでいたりしないか?
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