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強者討伐 失われた武器
275 三公爵の手伝い 2
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問題その二。
森林を超えた先には今度は大きな山がある。
長さにしてざっと二十キロあると思う。なだらかにするにも、掘っていくにしてもかなりの重労働だ。
だからと言って、エクスプロードで吹き飛ばせば大惨事になることこの上ない。
「だとすると掘るのか?」
地面を整地するよりも、かなり面倒くさい。
穴を掘っただけでなく、掘り出した土を移動する必要がある。
なら上を削かって言われると、どう見ても高すぎる。
バーストで砕けば落盤確定。
ここもエアスラッシュを使い、山肌を削っていくのは簡単だったが、その土の量が問題だ。
そこで、作っていた道路よりも深く掘るようにして、深い場所には水魔法で水流を作って外に排出する。
「これを手で掘っていたというのだから……そりゃ時間もかかるだろうな」
数時間という単位でも進み具合だったが、魔法を使っていたため順調に作業は進み。
二ヵ月も経たずしてローバンとバセルトンの新しい陸路が完成する。
その事で、トンネルと森林の間あの山の麓に新しく街を作るという計画も上がり、俺は再び木を切るために向かわされる。
「さすがアレスだよ。本当に自慢の息子だよ」
「少しは俺も楽しめましたから」
「そう言ってくれると助かるよ。はい、じゃあこれをお願いするよ」
陸路が出来たからと言って、書状を送るのが無くなったわけではない。
だけど、何もしない時間はどんどんと増えていくので、俺はかなり自堕落に生活を送っていた。
各屋敷で待機を言われると、食っては寝ての繰り返し。
そんな生活をしていて、飽きないかと聞かれると、そんなことはない。
言えば何でも持ってきてくれるし、ローバンではもちろんのこと、他の公爵家には俺専属のようなメイドも付けてくれている。
これが言うことを聞いてくれる。
「アレス様。お待たせしました」
「何時も悪いな」
運ばれてきた料理を食べ、満腹になったら用意されているベッドで眠り、書状を受け取ってはホイホイと飛んでいく。
運ぶだけでこの生活を得られるというのも中々悪くはない。
「それでは……失礼します」
「それにしても、この生活は何時まで続くんだ? かれこれ二ヵ月か? 年も変わろうとしているし……」
季節は冬になっている。
それだと言うのに、三人は相変わらずなにかの対応に追われていた。
ミーア達は大丈夫なのか?
俺が居ない間に戻ってきていないようだけど……元気にしていると良いんだけどな。
「会いに行こうにも……明日はまたバセルトンに行くからな」
* * *
アレスがそんな生活をしている頃。
レフリア達はダンジョンを進んでいた。
エクスカリバーはダインスレイブと並んでその威力を果敢に発揮する。
ベールと違い、レフリアの剣は地下へ進むにつれその鋭さが増していく。
これまでの戦闘経験の差でもあったが、負けじとベールはレフリアに対抗する。
いくら子供とは言え、そんな事をハルトが黙って見ていられるはずもなく、レフリアとの間に割って入る。
その巨大な大剣を振り下ろすのにも力が入る。
そんなハルトの真っ直ぐな思いを見て、少しだけそんな事をしてくれたらと妄想にふける。
誰かと話をしていようとも、怒ることもなく平然とするアレス。
嫉妬なんて一度も見たことのない三人にとって、その光景は羨ましいものだった。
そんな事も知らず、レフリアは二人をなだめていた。
「あまり騒ぐんじゃないわよ。ベール、アンタはこっちに来なさい」
ダインスレイブの背を肩に載せ、渋々といった感じにアルルの所に行く。
ハルトはちらりとレフリアの様子をうかがう。そう、ベールを追う視線が気に入らないからだ。
「大丈夫よ。あの子はただ、弟みたいなものよ」
「それは分かっているけど……」
落ち込むハルトを見て、レフリアは優しく慰めていた。
「ありがとう、元気出たよ」
またしても、レフリア達を見て、羨ましがる三人だった。
森林を超えた先には今度は大きな山がある。
長さにしてざっと二十キロあると思う。なだらかにするにも、掘っていくにしてもかなりの重労働だ。
だからと言って、エクスプロードで吹き飛ばせば大惨事になることこの上ない。
「だとすると掘るのか?」
地面を整地するよりも、かなり面倒くさい。
穴を掘っただけでなく、掘り出した土を移動する必要がある。
なら上を削かって言われると、どう見ても高すぎる。
バーストで砕けば落盤確定。
ここもエアスラッシュを使い、山肌を削っていくのは簡単だったが、その土の量が問題だ。
そこで、作っていた道路よりも深く掘るようにして、深い場所には水魔法で水流を作って外に排出する。
「これを手で掘っていたというのだから……そりゃ時間もかかるだろうな」
数時間という単位でも進み具合だったが、魔法を使っていたため順調に作業は進み。
二ヵ月も経たずしてローバンとバセルトンの新しい陸路が完成する。
その事で、トンネルと森林の間あの山の麓に新しく街を作るという計画も上がり、俺は再び木を切るために向かわされる。
「さすがアレスだよ。本当に自慢の息子だよ」
「少しは俺も楽しめましたから」
「そう言ってくれると助かるよ。はい、じゃあこれをお願いするよ」
陸路が出来たからと言って、書状を送るのが無くなったわけではない。
だけど、何もしない時間はどんどんと増えていくので、俺はかなり自堕落に生活を送っていた。
各屋敷で待機を言われると、食っては寝ての繰り返し。
そんな生活をしていて、飽きないかと聞かれると、そんなことはない。
言えば何でも持ってきてくれるし、ローバンではもちろんのこと、他の公爵家には俺専属のようなメイドも付けてくれている。
これが言うことを聞いてくれる。
「アレス様。お待たせしました」
「何時も悪いな」
運ばれてきた料理を食べ、満腹になったら用意されているベッドで眠り、書状を受け取ってはホイホイと飛んでいく。
運ぶだけでこの生活を得られるというのも中々悪くはない。
「それでは……失礼します」
「それにしても、この生活は何時まで続くんだ? かれこれ二ヵ月か? 年も変わろうとしているし……」
季節は冬になっている。
それだと言うのに、三人は相変わらずなにかの対応に追われていた。
ミーア達は大丈夫なのか?
俺が居ない間に戻ってきていないようだけど……元気にしていると良いんだけどな。
「会いに行こうにも……明日はまたバセルトンに行くからな」
* * *
アレスがそんな生活をしている頃。
レフリア達はダンジョンを進んでいた。
エクスカリバーはダインスレイブと並んでその威力を果敢に発揮する。
ベールと違い、レフリアの剣は地下へ進むにつれその鋭さが増していく。
これまでの戦闘経験の差でもあったが、負けじとベールはレフリアに対抗する。
いくら子供とは言え、そんな事をハルトが黙って見ていられるはずもなく、レフリアとの間に割って入る。
その巨大な大剣を振り下ろすのにも力が入る。
そんなハルトの真っ直ぐな思いを見て、少しだけそんな事をしてくれたらと妄想にふける。
誰かと話をしていようとも、怒ることもなく平然とするアレス。
嫉妬なんて一度も見たことのない三人にとって、その光景は羨ましいものだった。
そんな事も知らず、レフリアは二人をなだめていた。
「あまり騒ぐんじゃないわよ。ベール、アンタはこっちに来なさい」
ダインスレイブの背を肩に載せ、渋々といった感じにアルルの所に行く。
ハルトはちらりとレフリアの様子をうかがう。そう、ベールを追う視線が気に入らないからだ。
「大丈夫よ。あの子はただ、弟みたいなものよ」
「それは分かっているけど……」
落ち込むハルトを見て、レフリアは優しく慰めていた。
「ありがとう、元気出たよ」
またしても、レフリア達を見て、羨ましがる三人だった。
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