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強者討伐 失われた武器
286 ダンジョン攻略者 3
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このままリザードマンロードの回復が終わってしまえば、全滅は確実。
ハルトにかけている魔法を止めて、転がっているエクスカリバーを使って立ち向かうか、それともハルトの意識が戻るのを期待するのか……。
「アレス様。私はどうすれば……」
ミーアがそんな事を考えていると、黒い影がリザードマンロードの周りに現れ、血しぶきを上げていた。
そんな中メアリは、ロイから預かったポーションを持ってレフリアに飲ませていた。
「大丈夫ですか?」
「メアリ……ありがとう。でもハルトを……助けて」
メアリはレフリアの言葉を無視して、覚えたばかりの回復魔法を発動させる。
震える手でメアリの腕を掴み何度も首を振っていた。
自分よりも先に、ハルトを治して欲しいという願いをメアリは聞き入れるつもりはなかった。
「ハルト様なら、ミーア様が治しております。大丈夫ですよ」
「でも……」
黒い影は今もなお攻撃を止めていない。
リザードマンロードは雄叫びを上げ振り払おうとする。しかし、その影に触れることもできなかった。そのうちに何度も切られていた首が切り落とされ、塵化が始まった。
「黒い影は……一体?」
「あれは、ロイですわ。セドラ様同様にあのスピード。いえ、それ以上なのかも知れません」
ロイは収納魔法が使えるため他の魔法が使えなかった。
ローバン家には魔法ではなく、身体的能力によってかなりのスピードを持つ執事のセドラがいた。
セドラの指導によって、かつてアークと共に鍛え上げた全てを教えた。
『この技術は、ローバン家にのみ伝わる物。いずれローバン家に仕えるというのなら、この私自ら全てをお教えしましょう』
その言葉に、ロイは迷うこと無く頷く。
これまでのローバン家において、扱える者は少ない。
その特訓に明け暮れていたロイは、これまでダンジョンでのレベルアップによりその真価を発揮していた。
カーランソードでは、到底太刀打ちは出来なかったが、彼の手にはダインスレイブがあった。
浅い傷であろうとも、瞬時に何度もの傷を負わされれば太刀打ちする術はない。
リザードマンロードを倒したロイはそのまま前から倒れ込み、動くことさえ出来なかった。
その驚異的な速度は、体に大きな負担になる。経験の浅いロイにとって、短時間使っただけで身動き一つ取れない状態に変わる。
「終わったということでいいのかしら?」
ミーアとスミアのおかげで、各々はなんとか立ち上がれるまでに回復をしている。
そんな状態でも、歩く足取りは重く、武器を支えにしてゆっくりと奥にある扉を目指す。
スミアは、アルルの死を悲しみ残された斧の前で泣きじゃくっていた。
「行こう、スミア。これは僕がしっかりと持っていくから」
ロイは大きな斧を収納して、ベールも俯いたまま四人揃ってレフリアの所へ向かった。
ダンジョンのコア。
ダンジョンが形成された時から存在して、多くの魔物を生み出すためにここ在る。
台座の上に浮かぶその宝玉を取り囲んでいた。
「綺麗ですね」
その宝玉のようなコアを前に、パメラは何か惹かれるかのように手を伸ばしていた。だけど、メアリはアレスが言っていたことを今になって思い出す。
アレスがどうやってコアを破壊していたのかも。
『これがダンジョンのコア、なのですか?』
『不用意に触るなよ、ダンジョンが魔物だというのならって話を知っているか?』
『魔物の心臓と一緒というわけだ。だから触るなってことだ』
ダンジョンが魔物を生み出す魔物であるのなら、魔物の心臓と代わりのないコアに触れるということをアレスは危険視していた。
「パメラ様、それに触ってはいけません!」
メアリの言葉よりも先に、パメラの手は既にコアに触れる。
コアが輝き始め、辺りが真っ白になるほどの白い光がレフリアたちを包み込んでいく。
ミーアはそよぐ風に感じ、ゆっくりと目を開けると、見慣れた風景が目に映る。
しかし、あったはずのダンジョン消えて無くなりただの岩肌となっていた。
「今のは一体?」
殆どの魔力を失い、歩くだけでも辛かった体は嘘のように軽くなっていた。
あれだけ傷ついていたレフリアとハルトは、不思議そうに自分の体を何度も確認していた。
そして、今までとは違う感覚に誰もが戸惑いを感じていた。
ハルトにかけている魔法を止めて、転がっているエクスカリバーを使って立ち向かうか、それともハルトの意識が戻るのを期待するのか……。
「アレス様。私はどうすれば……」
ミーアがそんな事を考えていると、黒い影がリザードマンロードの周りに現れ、血しぶきを上げていた。
そんな中メアリは、ロイから預かったポーションを持ってレフリアに飲ませていた。
「大丈夫ですか?」
「メアリ……ありがとう。でもハルトを……助けて」
メアリはレフリアの言葉を無視して、覚えたばかりの回復魔法を発動させる。
震える手でメアリの腕を掴み何度も首を振っていた。
自分よりも先に、ハルトを治して欲しいという願いをメアリは聞き入れるつもりはなかった。
「ハルト様なら、ミーア様が治しております。大丈夫ですよ」
「でも……」
黒い影は今もなお攻撃を止めていない。
リザードマンロードは雄叫びを上げ振り払おうとする。しかし、その影に触れることもできなかった。そのうちに何度も切られていた首が切り落とされ、塵化が始まった。
「黒い影は……一体?」
「あれは、ロイですわ。セドラ様同様にあのスピード。いえ、それ以上なのかも知れません」
ロイは収納魔法が使えるため他の魔法が使えなかった。
ローバン家には魔法ではなく、身体的能力によってかなりのスピードを持つ執事のセドラがいた。
セドラの指導によって、かつてアークと共に鍛え上げた全てを教えた。
『この技術は、ローバン家にのみ伝わる物。いずれローバン家に仕えるというのなら、この私自ら全てをお教えしましょう』
その言葉に、ロイは迷うこと無く頷く。
これまでのローバン家において、扱える者は少ない。
その特訓に明け暮れていたロイは、これまでダンジョンでのレベルアップによりその真価を発揮していた。
カーランソードでは、到底太刀打ちは出来なかったが、彼の手にはダインスレイブがあった。
浅い傷であろうとも、瞬時に何度もの傷を負わされれば太刀打ちする術はない。
リザードマンロードを倒したロイはそのまま前から倒れ込み、動くことさえ出来なかった。
その驚異的な速度は、体に大きな負担になる。経験の浅いロイにとって、短時間使っただけで身動き一つ取れない状態に変わる。
「終わったということでいいのかしら?」
ミーアとスミアのおかげで、各々はなんとか立ち上がれるまでに回復をしている。
そんな状態でも、歩く足取りは重く、武器を支えにしてゆっくりと奥にある扉を目指す。
スミアは、アルルの死を悲しみ残された斧の前で泣きじゃくっていた。
「行こう、スミア。これは僕がしっかりと持っていくから」
ロイは大きな斧を収納して、ベールも俯いたまま四人揃ってレフリアの所へ向かった。
ダンジョンのコア。
ダンジョンが形成された時から存在して、多くの魔物を生み出すためにここ在る。
台座の上に浮かぶその宝玉を取り囲んでいた。
「綺麗ですね」
その宝玉のようなコアを前に、パメラは何か惹かれるかのように手を伸ばしていた。だけど、メアリはアレスが言っていたことを今になって思い出す。
アレスがどうやってコアを破壊していたのかも。
『これがダンジョンのコア、なのですか?』
『不用意に触るなよ、ダンジョンが魔物だというのならって話を知っているか?』
『魔物の心臓と一緒というわけだ。だから触るなってことだ』
ダンジョンが魔物を生み出す魔物であるのなら、魔物の心臓と代わりのないコアに触れるということをアレスは危険視していた。
「パメラ様、それに触ってはいけません!」
メアリの言葉よりも先に、パメラの手は既にコアに触れる。
コアが輝き始め、辺りが真っ白になるほどの白い光がレフリアたちを包み込んでいく。
ミーアはそよぐ風に感じ、ゆっくりと目を開けると、見慣れた風景が目に映る。
しかし、あったはずのダンジョン消えて無くなりただの岩肌となっていた。
「今のは一体?」
殆どの魔力を失い、歩くだけでも辛かった体は嘘のように軽くなっていた。
あれだけ傷ついていたレフリアとハルトは、不思議そうに自分の体を何度も確認していた。
そして、今までとは違う感覚に誰もが戸惑いを感じていた。
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