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強者討伐 失われた武器

287 最強の強者 1

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 俺は再びラストダンジョンの探索にやってきていた。
 強者のこともまだ残っているが、魔物の暴走が起こることを知っているから、それから始まる惨状を待つ必要はない。
 ダンジョンに潜む魔物の数が減れば、暴走する危険性は低くなる。

「この辺りだと良いんだけどな」

 思い出したのが、ラストダンジョンへ向かうには、フィールドに指定された場所を選ぶだけ。
 この場所は既に暴走してからの話だから、ダンジョンに入る前に魔物たちの連戦をしながら突き進むしか無い。

 なにより探していたような山間でなく、ダンジョンの前に広がる草原で戦っていた。
 学生だけでなく多くの冒険者が犠牲になりつつも、暴走によって溢れ出ている魔物を食い止めるために戦っていた。

「今の俺が何処まで通用するんだろうな」

 魔物が百や千いた所で、これだけ広い場所で何もない所ならどうとでもなる。
 問題なのは、強者であの強さというのなら……奥にいるラスボスに対して、本当に倒せるのかという疑問を持ってしまう。

 ゲームであれば、そこに辿り着くまでの経緯が酷すぎて、無事乗り越えてきた主人公たちからすればラスボス戦はそれほど苦労はなかった。
 必要なアイテム、装備。必須になるスキル等など、何度も繰り返してきたおかげで苦戦を強いられることはなかった。

 セーブとロード。
 この二つを何度も行い、最善を見つけ、だからこそ楽に倒せたというだけだ。

 今の俺はどうなのか?

 当初の目的から離れ、ダンジョンのコアを破壊することで得られるステータスアップにおいても、攻略した数は思っていた以上に少ない。また、装備しているアイテムはこれと言って何もないに等しい。

 そんな状態にも関わらず本当に倒せるのだろうか?
 ラスボスに対抗するのなら火属性を吸収する。闇属性を半減する。
 この二つがかなり有効になる。

 そんな物は俺にはない。
 様々な攻撃は、防御魔法であるシールドで対処できるかもしれない。
 アスタロスのようなことになれば、これまでの戦いが通用しなければ……。

「俺がやられたら、それで終わりなんだよな?」

 俺がこの世界に転生してきた理由はわからないが、死んでももう一度、何度でもやり直せるとは限らない。というよりも、死んだらそれで終わり。
 残された時間が少ないのに……こんな事をしていて大丈夫なのか?

「あそこか?」

 これまでのダンジョンとは違って、ここだけはあまりにも怪しすぎる。
 そびえる山間の麓に扉の姿が見える。

 結界のようなものもなく、扉に手を当てるとゆっくりと扉が開いていく。
 手を離せば元に戻るのだが……。

「ここであっているのか?」

 扉の奥は真っ暗で、すぐに階段が見えていた。
 どう考えてもおかしな作りだったが、火球を作り出して松明代わりにして下へ進んでいく。
 魔物の暴走が起こるぐらいに放置されているのなら、階段が終わった後そこがどうなっているのか、経験からして想像できる。

 シールドを展開し、突然の襲撃に備えるも下る階段の長さに呆れてきていた。

「当たりだな」

 階段の終わりには、多くの魔物たちが待ち構えていた。
 種類や系統もバラバラで、これまで戦ってきた全ての敵が出るという仕様は変わっていなかったらしい。
 エンカウントをすれば、弱い敵と強い敵が混在する戦闘も、他のダンジョンに比べて何倍も高いエンカウント率も、この状況からしてようやく理解ができる。

「バーストロンド!」

 魔物たちの断末魔とともに、塵となって消えていく。
 入り口でこの状況なら、索敵をすればどうなるか考えるまでもないな。

「これだけ居たら、一歩でエンカウントしている方がまだマシって話だな」

 暴走によって、ある程度はここから外に出ていくのだろうけど。
 こんなのが五階層まで続いているのなら、何処まで減らせるのかが問題になってくる。
 倒しても倒しても、どこからともなく湧いて出る魔物に正直うんざりもしてくる。

 これだけ倒せば、索敵もできるはずだというのに、ここは今までと全く別次元なのかも知れないな。
 バーストロンドを使っているから、かなりの広範囲で呼び寄せているのも理解はできる。
 暴走寸前だったバセルトンでのダンジョンと比べて、この数は明らかにおかしい。

「試しに索敵を……止めておいたほうがいいよな?」

 敵を倒しつつ奥へ進むと、少しだけ開けた場所があった。
 三つの通路にバーストロンドを打ち込み、更に多くの魔物を呼び寄せていく。
 魔法を撃ち続けるものの、状況は一向に変化を見せない。

「まだ、半分も行っていないのか?」

 ラストダンジョンのマップは、思い出せない。
 魔物の数からしても索敵使うことも無理だ。これ以上奥に進めば帰り道が分からなくなるかも知れない。

「全く、いいかげんにしろよ……」
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