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強者討伐 失われた武器
296 最後の強者ベリアル 2
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「四階層になると冒険者たちもまだ来ていないか……三階にいる奴らで最後ってことだな」
下りてきた階段を戻り、三階で戦っている冒険者たちを集めていく。
残っている人数は、七人。
「お前達で最後だな」
氷の大剣を冒険者達に向け、剣を向けてくる相手に対してその剣身を切り落としてから、魔力糸を使って空中に持ち上げていく。
いっそ口を塞ぎたいところなんだが、俺の戦いを見せることで黙ってくれるので最初からこうするべきだったよな。
魔物を薙ぎ払っていると、冒険者たちからは嘘だろ、冗談だろと何度聞いたかわからない。
加速すると、中には気絶をするものさえ現れる。
この程度でよくここまでこれたなと感心すら覚える。
「残りはきっとミーアたちだよな」
四階層までの冒険者を退避させ、奥まだ進んでいると思うミーアたちを探すために、奥へ進んでいく。
強者の武器を持っていることで、ここに居る魔物に対してまともに戦えているのだろうな。
「最下層まで行っていないといいんだけどな」
五階層、六階層へ辿り着き……一気に不安にかられていた。
強者の眷属は出てきているにも関わらず、残る階層とあと一つ。
ここに来るまでの間に、冒険者達を優先したことでミーアたちを危険な目に合わせただけでなく、最悪の光景が脳裏に浮かんでくる。
魔物を斬り飛ばしながら急いで最下層を目指していた。
いくらあの武器を持っているとは言え、強者の攻撃にまともに耐えられるはずもない。
ただ、ダンジョンを攻略するのと、強者と戦うとでは明確に大きな差がある。
その特殊な能力に翻弄されて、今の俺ですらこの有様だった。ベルフェゴルを倒した時の俺と比べても、レフリアたちの能力はまだ低い。
「ここだ、頼むから……まで生きててくれよな」
最下層に辿り着いた俺の前に、ぼろぼろになった皆の姿があった。
ミーアとスミア……メアリも一緒に回復に専念し、ハルトとベールの二人だけがかろうじて立っているという状況だった。
「ハルト! 下がれ!」
俺の声に耳を傾けるハルトは、ベールを抱えてベリアルを前に背中を見せて走り出していた。
ベリアルから吐き出される火炎は、シールドによって防がれる。
「ハルト、コイツは俺に任せて、皆を一箇所に集めろ。後で結界を張る」
「わかったよ、アレス」
ハルトは俺の言うとおりに倒れている皆をミーアたちがいるところに運んでいる。
今は怪我をしているものの、まだなんとか生きている。
だけど、あのおっさんの姿だけが見えない。
ベリアルのターゲットは未だハルトを追いかけているものの、俺が前に立ちふさがりシールドによってその攻撃は無効化する。
風球で攻撃をしても思っていた通りに、ダメージが少ない。
レフリアもそうだけど……ロイとランも相当やばいな。
ミーアの魔法のおかげでなんとかなっているようなものだ。ミーアは、俺の事が気になっているようだが、どう考えても優先するのはレフリアだ。
「ミーア。レフリアに意識を集中させろ! パメラ、動けるのならベールを手伝え」
収納に残っていた、ポーションか入っている木箱を取り出してメアリがそのポーションを使用していく。
絶対に向こうへ行くなよ……レフリア。
「お前の相手は俺なんだよ!」
バーストロンドや風球を使って攻撃するも、ハルトばかりを狙っている。
炎を撒き散らし、赤いマグマのような玉をくり出したりと、何度やったところでその程度の攻撃なら俺のシールドを突破することは出来ない。
「アレス。皆を集めた」
「そうか……」
部屋全体を取り囲む分厚い氷の壁を作り出し、少しだけ時間稼ぎをする。
魔晶石を取り出し、皆の周りへと置いていく。
後ろでは、轟音が鳴り響き、ベリアルが氷の壁を壊そうとしている。
「アレス様」
「ミーア、大丈夫だ。レフリアを頼んだぞ」
結界が展開されると、ミーアの声は俺に届かなくなる。
何かを言っているが、その言葉は俺に届くはずがない。
「最後の強者。ベリアルか……お前は、そんなに強く無さそうだな」
「コロス、キサマ、コロス」
そんなベリアルの声に、俺は自然と口角が上がっていた。
下りてきた階段を戻り、三階で戦っている冒険者たちを集めていく。
残っている人数は、七人。
「お前達で最後だな」
氷の大剣を冒険者達に向け、剣を向けてくる相手に対してその剣身を切り落としてから、魔力糸を使って空中に持ち上げていく。
いっそ口を塞ぎたいところなんだが、俺の戦いを見せることで黙ってくれるので最初からこうするべきだったよな。
魔物を薙ぎ払っていると、冒険者たちからは嘘だろ、冗談だろと何度聞いたかわからない。
加速すると、中には気絶をするものさえ現れる。
この程度でよくここまでこれたなと感心すら覚える。
「残りはきっとミーアたちだよな」
四階層までの冒険者を退避させ、奥まだ進んでいると思うミーアたちを探すために、奥へ進んでいく。
強者の武器を持っていることで、ここに居る魔物に対してまともに戦えているのだろうな。
「最下層まで行っていないといいんだけどな」
五階層、六階層へ辿り着き……一気に不安にかられていた。
強者の眷属は出てきているにも関わらず、残る階層とあと一つ。
ここに来るまでの間に、冒険者達を優先したことでミーアたちを危険な目に合わせただけでなく、最悪の光景が脳裏に浮かんでくる。
魔物を斬り飛ばしながら急いで最下層を目指していた。
いくらあの武器を持っているとは言え、強者の攻撃にまともに耐えられるはずもない。
ただ、ダンジョンを攻略するのと、強者と戦うとでは明確に大きな差がある。
その特殊な能力に翻弄されて、今の俺ですらこの有様だった。ベルフェゴルを倒した時の俺と比べても、レフリアたちの能力はまだ低い。
「ここだ、頼むから……まで生きててくれよな」
最下層に辿り着いた俺の前に、ぼろぼろになった皆の姿があった。
ミーアとスミア……メアリも一緒に回復に専念し、ハルトとベールの二人だけがかろうじて立っているという状況だった。
「ハルト! 下がれ!」
俺の声に耳を傾けるハルトは、ベールを抱えてベリアルを前に背中を見せて走り出していた。
ベリアルから吐き出される火炎は、シールドによって防がれる。
「ハルト、コイツは俺に任せて、皆を一箇所に集めろ。後で結界を張る」
「わかったよ、アレス」
ハルトは俺の言うとおりに倒れている皆をミーアたちがいるところに運んでいる。
今は怪我をしているものの、まだなんとか生きている。
だけど、あのおっさんの姿だけが見えない。
ベリアルのターゲットは未だハルトを追いかけているものの、俺が前に立ちふさがりシールドによってその攻撃は無効化する。
風球で攻撃をしても思っていた通りに、ダメージが少ない。
レフリアもそうだけど……ロイとランも相当やばいな。
ミーアの魔法のおかげでなんとかなっているようなものだ。ミーアは、俺の事が気になっているようだが、どう考えても優先するのはレフリアだ。
「ミーア。レフリアに意識を集中させろ! パメラ、動けるのならベールを手伝え」
収納に残っていた、ポーションか入っている木箱を取り出してメアリがそのポーションを使用していく。
絶対に向こうへ行くなよ……レフリア。
「お前の相手は俺なんだよ!」
バーストロンドや風球を使って攻撃するも、ハルトばかりを狙っている。
炎を撒き散らし、赤いマグマのような玉をくり出したりと、何度やったところでその程度の攻撃なら俺のシールドを突破することは出来ない。
「アレス。皆を集めた」
「そうか……」
部屋全体を取り囲む分厚い氷の壁を作り出し、少しだけ時間稼ぎをする。
魔晶石を取り出し、皆の周りへと置いていく。
後ろでは、轟音が鳴り響き、ベリアルが氷の壁を壊そうとしている。
「アレス様」
「ミーア、大丈夫だ。レフリアを頼んだぞ」
結界が展開されると、ミーアの声は俺に届かなくなる。
何かを言っているが、その言葉は俺に届くはずがない。
「最後の強者。ベリアルか……お前は、そんなに強く無さそうだな」
「コロス、キサマ、コロス」
そんなベリアルの声に、俺は自然と口角が上がっていた。
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