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結末
305 アレスの結末 1
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これ以上他に使う魔法は必要がない。
魔法でダメージを与えるようなこともなく、この剣だけで終わらせればいい。
今の俺にはその力がある。
本体から繰り出されたビームのような攻撃は、ドゥームブレイドによって軽々と切り裂かれていく。
どんな攻撃だろうと、この漆黒の剣の前に何もかも無力に等しい。
アムドシアスの時と同様に、この武器は何でも容赦なく切り伏せることができる
「なんだよ……そう、怯えるなって」
あの像も、本来であれば第一形態で、今の姿……あの靄が邪神その者。
俺が知っている結末はアイツを倒したとしてもスキを突かれてミーアに取り憑かれる。しかし、取り憑こうにも結界が阻むだろうし、そもそも……もうそんな事はできない。
「これで終わりなんだから、いいかげん諦めろ」
何度攻撃されようとも、邪神からの攻撃程度で俺の歩みは止めることはできない。
靄が腕のように伸びてくるも、薙ぎ払うことで一瞬にして消えていく。今更だけど、この剣がもっと早くに完成していれば、こんな事にならずに済んだのかも知れないな。
邪神からは声と言っていいのか分からないような、叫びを撒き散らしていた。
「お前はここで終わるんだ。それぐらい、分かるんだろ?」
『キサマは一体!?』
そんな声が聞こえた気がするが……ドゥームブレイドによって本体が切り裂かれていく。
邪神の核となる黒い宝玉がむき出しになる。
それを目掛けてドゥームブレイドが貫いていく。
暴れ狂う靄は完全に停止をしていた。
それからは何事もなかったかのように、靄だった者と一緒に宝玉も塵となっていく。
ドゥームブレイドも俺の手から離れて床に落ちることもなく一瞬で消えていく。
これで、何もかも終わった。
祭壇の階段に腰を下ろし……最後の仕上げだ。
「アレス。もう終わったのかい?」
「分かっているはずだ。まだ終わってはいないだろ?」
「いつだってそうだ! 何もかも抱え込み過ぎなんだよ。分かっていたのなら、僕にだって教えてくれても良かったじゃないか!」
ハルトの剣幕に、体が勝手に身構えてしまう。
神具の効果はすごいな。ハルトの持つ神具から発せられる力は剣だけではなく、ハルトの体からも感じ取れる。
ここまで、その武器に対して恐怖を持っているなんて……誰がそんな物を用意していたのだか。
これも製作者が用意したものなのか?
「ハルト。後のことは全部お前に任せる。できることなら、幸せにしてやってくれよ?」
「そんなの無理だよ、無理に決まっている! 僕にそんな事できるはずがないってことぐらい、アレスも分かっているだろ?」
ハルトやレフリアが拒もうとも、三人が拒もうとも、それもまた決まった事なんだよ。
俺がそう言ったから、父上たちを脅してまでも決めさせた。
あの三人は、ハルトの婚約者として……俺の代わりを任せた。
これが良かったなんて思わない。
俺がこの世界に来て、俺のせいでこうなってしまった世界で、皆が生き残るにはこれしか方法は見つからない。
魔物の暴走は、強者の武器を持つ皆なら、誰も成し得なかったダンジョンの攻略者がいる限りきっと多くの人を守るだろうな。
その中心にはハルトとレフリアがいる。
「今すぐじゃなくても、いつかきっとできるはずだ。焦ることなんて無いだろ? 結論を急ぐなって」
「それはアレスも同じことだろ? 僕たちは何時もアレスを追いかけてた。少しでも追いつけたと思っていたのに……勝手ばかりをして!」
「俺にそんな事はできないさ。だから、親友であるお前に頼みたいんだよ」
「本当にダメなんだね……」
何も言わず一度だけ頷く。
ハルトは両手でしっかりと剣を握り締める。
もう少し大人しくしていろ、お前はここで終わるんだよ。
「狙う場所、間違えるなよ?」
魔法でダメージを与えるようなこともなく、この剣だけで終わらせればいい。
今の俺にはその力がある。
本体から繰り出されたビームのような攻撃は、ドゥームブレイドによって軽々と切り裂かれていく。
どんな攻撃だろうと、この漆黒の剣の前に何もかも無力に等しい。
アムドシアスの時と同様に、この武器は何でも容赦なく切り伏せることができる
「なんだよ……そう、怯えるなって」
あの像も、本来であれば第一形態で、今の姿……あの靄が邪神その者。
俺が知っている結末はアイツを倒したとしてもスキを突かれてミーアに取り憑かれる。しかし、取り憑こうにも結界が阻むだろうし、そもそも……もうそんな事はできない。
「これで終わりなんだから、いいかげん諦めろ」
何度攻撃されようとも、邪神からの攻撃程度で俺の歩みは止めることはできない。
靄が腕のように伸びてくるも、薙ぎ払うことで一瞬にして消えていく。今更だけど、この剣がもっと早くに完成していれば、こんな事にならずに済んだのかも知れないな。
邪神からは声と言っていいのか分からないような、叫びを撒き散らしていた。
「お前はここで終わるんだ。それぐらい、分かるんだろ?」
『キサマは一体!?』
そんな声が聞こえた気がするが……ドゥームブレイドによって本体が切り裂かれていく。
邪神の核となる黒い宝玉がむき出しになる。
それを目掛けてドゥームブレイドが貫いていく。
暴れ狂う靄は完全に停止をしていた。
それからは何事もなかったかのように、靄だった者と一緒に宝玉も塵となっていく。
ドゥームブレイドも俺の手から離れて床に落ちることもなく一瞬で消えていく。
これで、何もかも終わった。
祭壇の階段に腰を下ろし……最後の仕上げだ。
「アレス。もう終わったのかい?」
「分かっているはずだ。まだ終わってはいないだろ?」
「いつだってそうだ! 何もかも抱え込み過ぎなんだよ。分かっていたのなら、僕にだって教えてくれても良かったじゃないか!」
ハルトの剣幕に、体が勝手に身構えてしまう。
神具の効果はすごいな。ハルトの持つ神具から発せられる力は剣だけではなく、ハルトの体からも感じ取れる。
ここまで、その武器に対して恐怖を持っているなんて……誰がそんな物を用意していたのだか。
これも製作者が用意したものなのか?
「ハルト。後のことは全部お前に任せる。できることなら、幸せにしてやってくれよ?」
「そんなの無理だよ、無理に決まっている! 僕にそんな事できるはずがないってことぐらい、アレスも分かっているだろ?」
ハルトやレフリアが拒もうとも、三人が拒もうとも、それもまた決まった事なんだよ。
俺がそう言ったから、父上たちを脅してまでも決めさせた。
あの三人は、ハルトの婚約者として……俺の代わりを任せた。
これが良かったなんて思わない。
俺がこの世界に来て、俺のせいでこうなってしまった世界で、皆が生き残るにはこれしか方法は見つからない。
魔物の暴走は、強者の武器を持つ皆なら、誰も成し得なかったダンジョンの攻略者がいる限りきっと多くの人を守るだろうな。
その中心にはハルトとレフリアがいる。
「今すぐじゃなくても、いつかきっとできるはずだ。焦ることなんて無いだろ? 結論を急ぐなって」
「それはアレスも同じことだろ? 僕たちは何時もアレスを追いかけてた。少しでも追いつけたと思っていたのに……勝手ばかりをして!」
「俺にそんな事はできないさ。だから、親友であるお前に頼みたいんだよ」
「本当にダメなんだね……」
何も言わず一度だけ頷く。
ハルトは両手でしっかりと剣を握り締める。
もう少し大人しくしていろ、お前はここで終わるんだよ。
「狙う場所、間違えるなよ?」
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