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結末

304 邪神復活 2

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 レフリアはそう言って、俺の許可もなくレフリアの隣にメアリが座り、パメラとミーアが俺の隣に座る。
 扉が閉まると、何事もなかったかのように再び進み始める。

 こうなってしまった以上、三人を置いて行くというのをレフリアたちも納得はしていないのだろうな。
 これだけ巻き込んでおきながら、今更虫のいい話にならないだろうな。

「アンタのことだから、怒るのかと思っていたわ」

「お前達は本当にこれで良かったのか?」

 三人は頷く。レフリアは目を閉じて首を振るが、何を今更といった様子とも取れる。
 なら、せめて……覚悟の揺らぐことのないようにするだけだな。

 馬車の王都まで使うこととなっていて、のんびりとした時間を過ごしていた。
 婚約者でなくなったにも関わらず、俺に関わろうとしてくる。
 そんな彼女たちを抵抗をすること無く受け入れ、行き過ぎたアプローチに戸惑う。

「それで……?」

 王都に辿り着き、皆の体を休めるために、明後日から向かうことに決めた。


   * * *


 用意していた、箱に皆を乗せラストダンジョンに向かう。
 ダンジョンの暴走することもなく、何処にも被害は出ていない。
 アムドシアスとの戦闘があった場所も、真っ白に降り積もった雪に覆われていた。

「ここが目的の場所だ」

「そう……皆、気を引き締めてね」

 武器を構えて下へ続く階段に足を踏み入れる。
 ここの魔物の多さは尋常ではない。だからと言って無尽蔵というわけでもない。
 あれから時間が経っているとは言え、ここにいる魔物はそれほど残っていないだろう。

 索敵を展開しただけで、異常な情報量に吐き気すら感じていたこの場所ですら、風球だけを使って奥へ進んでいける。
 最下層までの階段を既に知っている。魔物による妨害も全く無いため。
 順調に歩みを進めていく。

「アレス様。ここには一体何があるというのですか?」

「俺の目的か……それとも、願いかだな」

 ミーアは俺の言葉に納得の出来なさそうな顔を浮かべていた。
 ここが終われば、ミーアが死ぬことはなくなる。
 それに、家族も、友人たちも死なずに済む。

「この奥が最終地点だ」

 ダンジョンの最下層に不自然な扉を開けていく。
 さっきまでとは変わり、雰囲気がガラリと変わる。
 教会の祭壇のような作りで、柱が八本ありその間の天井部分はアーチになっている。
 先にある壇上はご丁寧に段差が設けられ、四本の両腕を広げ真っ直ぐにこちらを見る、不気味な像が置かれている。

「あれが?」

 レフリアは一歩後ろへと下がり、まだ復活をしていない像に恐れをなしている。

「レフリア、後のことは頼んだぞ?」

 俺はそのまま進んでいく。
 この日のために、俺はここに居る。

 手を上げ、レフリア達の周りに巨大な氷の壁を作り出す。
 シールド並の強度を持つ壁があれば、後ろにいるレフリアたちも少しぐらいの時間は稼げるだろう。

「アレス様!」

 ミーア。

「アレスさん」

 パメラ。

「アレス様」

 メアリ。

 三人の呼びかけに、振り向かないと決めていたが……俺は立ち止まって振り返ってしまっていた。
 透き通る壁にするべきじゃなかったな。
 最後の最後で、俺はミーアを泣かせることしか出来ない。

「レフリア! 悪いな」

 レフリアは氷の壁に囲まれた四方に、魔晶石を置いていく。
 目を閉じて、鍵となるアミュレットに魔力を注いでいく。
 結界に包まれたことで、ミーアの泣き叫ぶ声は聞こえなくなり、三人に向かって手を上げて前に進んでいく。

「後のことを気にする必要はもうない」

 奴はまだ復活をしていないためこの一撃によって完全に復活する。
 魔力を集める時間も十分すぎるが……像に向けて、アレス最大の魔法をぶつける。

「テンペスト!」

 荒れ狂う嵐によって、像が粉々に砕かれていく。

「レフリア様。何か知っているのですか?」

「馬鹿げた話だけど……アレスを信じるしか無いわよ。私達には何も出来ないのだから」

「ミーア様はそのようなことをお聞きしたいわけではないと思います」

「あれが、邪神だそうよ。アイツだけが何故かその復活を知っていた。そして、たった一人で、倒すつもりなのよ」

 ようやくお出ましだな……。
 俺の右手には、漆黒の剣ドゥームブレイドがある。
 アムドシアスですら倒せたこの剣なら、お前にだって通用するよな?
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