コミュニティーサバイバル 〜生き延びた先に待つコミュニティーで追放されぬよう、本日も強制労働に心臓を捧げる日々〜

アモーレ ポン太

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無能生産者編

第16話 キメラのあとを追ってそれから

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「はい!こちらハンバーガーとなりま~す」


 ペトラルカが食料と水を持ってきてくれた。


「おお!ハンバーガーなんて実に何年ぶりだろうか!」


 最後にハンバーガーを食べたのは、自堕落に自室でゲームをやっていたあの頃だ。たしかデリバリーかなにかで頼んだんだっけ。

 いや直接店舗に行って、テイクアウトで持って帰った気もする。そして家に帰ってさっそくゲームしながら、ポテトなりハンバーガーを貪り食っていた気がする。

 そのせいでコントローラーがポテトの油でべちょべちょになって、近くのコンビニでウェットティッシュを購入して、ひたすら拭き拭きしていた気がする。


 あの時の自分はとても軽率だった。普通だったらポテトの手に油がついてコントローラーがオリーブオイルをつけたみたいにぐちょぐちょになることなんて、容易に想像できるはずだ。

 やはり元ニートだった自分はそのような事態になることを理性的に考えるよりも前に、ポテトを食いながらゲームしたいといった衝動的な欲求に負けてしまう。耐え性がない人間とはまさに自分の事だと思う。


「ちなみにそのハンバーガーの中に、ハンバーグとチーズ挟んでいまーす。どう?すごいでしょ!」


 肉!?今や希少な食料となった肉をここでいただけるのか!?やったぁ!これにはグリアムスさんも少しほくそ笑んでいた。

 合法的に肉を口にできることとなってよかった。さきほどはつまみ食いといった非合法な手段を用いて、肉を食べてしまおうと考えていた自分たちが浅ましい。


「では遠慮なくいただきます」


 グリアムスさんはそう一言、言ってからハンバーガーを口へと運んだ。むしゃむしゃ!もぐもぐと音を立てながら、一口で頬張った。


「ちょっと!グリムルスさん?だっけ?まるでほっぺがリスみたいになってるよ!一気に食うんじゃなくて、一口一口ちゃんと味わって食べて!」


「むるむるふぉぐふぉぐぽっぽぽー・・・・」


 グリアムスさんは口をもごもごさせながら、何かしらのことを言っていた。いったい何をこのペトラルカさんに伝えようとしているのか自分にもわからない。


「え?なにを言ってるの?グリムルスさん?いっぺん口の中にあるものをちゃんと飲み込んでからしゃべってよ」


 おそらくだがペトラルカさんがグリアムスさんの名前を間違っていることに関して何かしら言ってるのだと思う。そもそもグリムルスさんって誰だし。


「ペトラルカちゃん~俺らにもそのハンバーガー分けてくれよ~」


 ペトラルカのあとをついていってた武装班の男の1人が彼女にそう言った。


「そうだ!俺も俺も!ペトラルカちゃんの手作りの愛のこもったハンバーガーを!」


 野郎どもが自分とグリアムスさんがペトラルカの手作りのハンバーガーに舌鼓を打っていたところを嫉妬したのか、次々と俺にも食わせてくれとの声が続々と上がった。

 ペトラルカさんの武装班の男連中からの人気はものすごい。たしかに見て呉くれには文句のつけようがない。目はくっきりとした二重。肌も白く、透き通っている。そして金髪にポニーテールと言った自分の好みにドンピシャだ。

 まじで二次元オタクの理想をすべて体現したかのような完璧なる美貌。

 むしろ好きにならない人間はいないだろう。そういう自分もこのペトラルカさんに一目見て惚れてしまった。だからこのペトラルカさんの手作りハンバーガーをこの野郎どもよりも先に召し上がれたことは誇らしい。一歩リードだ。

 このことをきっかけに親密になれたらなぁって思う。


「はいはい。みんな慌てない慌てない。材料はまだいっぱいあるから後でみんなにも作ってあげるから!」


 ペトラルカさんがみんなの熱気を背後に感じたところで、自分たちからは一旦目を離し、野郎どもの対応をする。

 ペトラルカのことをぼーっと眺めていると、ふとグリアムスさんに肩をとんとん叩かれた。グリアムスさんの方を見ると、なにか意味ありげな目をしていた。口をもごもごさせながら。


「ベルdgせdmvppvぱl・・・」


「何を言ってるかわかりませんよ。グリアムスさん・・・」


 そのときやり取りをしているなか、突然ペトラルカの腰元にあったトランシーバーから無線連絡が入る。

 ノイズが入りつつも、そこから誰かの声が聞こえてきた。


「ペトラルカ!山中で2人、誰かが死んでいるのを発見した。2人とも黄色いベストを着用している。おそらく作業に入ってた人達だ。今すぐそこのテントに居る無能生産者の2人と皆を引き連れて、一緒に俺の居るところまで来てくれ」


 え?人が死んでる?確かにそう聞こえた。

 しかも黄色いベスト着用と言うことは自分たちと同じ作業仲間だ。誰に殺されたのだろうか。場は一瞬のうちで凍り付き、緊張が走った。


「了解!クラック!・・・通信終了」


 そこで通信は途絶えた。


「ということだから、ベルシュタインさんとグリムルスさんは今からわたしについてきて」


「えええ!?まだハンバーガー食い終わってないのに・・・せめてこれを食べきってからでもいいですか?ペトラルカさん」


「ごめんね。残念ながら急ぎの用だからそうしてられないの。ハンバーガーを口にくわえたままついてきなさい!くわえたまま走るように!」


 急にちょっぴり怒られてしまった。今後のことを考え、彼女の自分に対する印象を悪くしないためにも、彼女の指示に従うほかない。

 食パンをくわえたままで走るかのように、ハンバーガーをくわえたままこれから自分たちは走らされる羽目となりそうだ。


「もふぁおヴぁdっをっぐぇえ・・・」


 相変わらずグリアムスさんは何を言っているのかわからない。


「行くよ!ついてきて!」


「ラジャー!」


「せめて口に含んだものをもごもごもご・・・」


 グリアムスさんは強引にペトラルカの親衛隊的存在の武装班男連中数名に担がれ、連れていかれることとなった。






 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「クラック!来たよ!」


 ペトラルカに連れられ、山中に入った自分たちはようやくクラックと合流を果たした。道中トランシーバーでクラックに位置情報を伝えてもらいつつ、やっとのことで到着した。


「おう!来たか。こいつらだ。見てくれベルシュタイン、グリアムス」


 クラックの目線があるところへと向けられた。


「これって・・・たしかあの・・・」


 そこには若い有能生産者で、あの時勝手に山奥へと入り、宿となる小屋をを探しに出ていったアリアスとその連れであったオリビアがいた。

 2人ともカラダには銃弾のようなもので、それぞれ心臓と頭が貫かれており、絶命していた。


「おそらくこの2人はこの先にいたキメラ生物に襲われたものと思われる。ところでこの2人の名前は知ってるか?」


「はい・・・アリアスとオリビアって名前だったと思います。D班で一緒に土砂処理をしていた有能生産者の方たちです」


「よし身元がわかっただけでも十分だ。ペトラルカと武装班のみんなは、俺についてきてくれ。そこの2人は一旦ここで待機だ」


 そう言い残すと、武装班の連中はクラックに従い、奥へと進んでいった。
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