世界の果てを越えてみた

ゆづ

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第6章

神木

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 三人は、モッチーが気になっているという場所に連れて行かれた。
 そこには全体が見渡せないほど巨大な木が立っていた。樹齢は数千年を超えているだろうか。木肌はいくつもの瘤でゴツゴツとして、どこまでも伸びている根が地面と同化し、この森全体を包んでいるかのようだった。

「立派な木ね。こんなにたくさんの葉がついて」
「そう見えるか?」

 モッチーはキャラに似合わない真面目な顔をしていた。

「この木、最近になってどんどん弱ってきてるんだ。幹を触ってみろよ。カサカサに乾いてやがる。そのうち、枝が割れたり、葉っぱも次々と枯れそうな感じだ」

 セイシロウは木の肌に触れてみた。モッチーの言う通り、樹液でベトつく感じはなく、老人の腕のように乾燥していた。

「寿命なんじゃね?」
「そうだね……もうだいぶ年老いた感じがするよ」
「そうかもしんねえ。でも、どうにかしてこの木を前みたいに元気にしてやりてえんだよ。姉ちゃんの魔法でどうにかなんねえか?」
「私の?」

 アズは目を丸くした。

「ああ。お前らの中で、癒しの魔法が使えそうなのは姉ちゃんだけだとみた。頼む! この木は、この森の動物たちの恵みなんだ。秋にはいっぱい木の実を落とすし、鳥たちがあちこちで巣を作ってるし、オレの木登りの練習台にもなってくれた。森のみんなにとって大事な木なんだ」
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