遠い記憶、遠い未来。

haco.

文字の大きさ
上 下
11 / 121

お互いの力よせ

しおりを挟む
最近ではよくレンと話すことも増えてきた。

まるで古くからの付き合いのように、洒落の言い合いをしたり
ふざけ合ったりとしていた。
時折、お互い慰め合ったり、頭のナデナデしあいになるほどの仲になっていた。

そんなある日の午後、今日も外での生物学の授業で、昆虫を捕まえたりしてると
レンは、右手を握りこぶしにしたまま、私に差してきた

「ん!これあげる!」とレン

「なんなの?なにかプレゼント?」

と握っていた手をほどいてみると、バッタを捕まえただけだった

「可愛いだろ?」

「えーー。可愛くない!」

「なんでさ?昆虫って。小さいなりに可愛く生きてるんだよ」

なんか詩人家きどりな言い方。

そんなとき、バッタを逃がそうと手から離してあげると

レンの足が偶然にも踏みつけてしまった。


「あーー!それは可愛そう!」
とセイカが言うと。潰されたバッタを埋めてあげようと
手において、木の下に埋めてあげようとしていると

「あれ?」

両手で蓋にしていた手を空けてみると
バッタがピクピクと動いてた

前にもこんなことあったような・・・
セイカはふと思った

あの時、パパに言われたことがあったことを思い出した

「むやみにその力はつかってはならない」と

「あれ?なんで?バッタ生きてるの?どうして?」
とレンが言ってきた

「わたしね。。そういう力があるみたい」

「力?」

「そう、力」

「オレだってあるよ。力ぐらい」

そういうと手を握りながら、腕をぽっこりと筋肉があげてきた

「そういう力じゃなくて!!~」

レンなりのジョークだった

遠くから聞こえてくる

「もうすぐ昼食ですよーーーー」
とマザーの声が聞こえてきた

「今日はセイカの友達も一緒に食べようよ。」

「うん、いいよお」

この場所にきて、こんな楽しいことがずっと続けばいいなあと
心の中で思っていた

この力のことは忘れよう、むやみに使うことも
パパに言われた通り、することはやめよう!
と誓った

しおりを挟む

処理中です...