遠い記憶、遠い未来。

星空の涙を

暗闇の景色の中、星空だけがこの世界を明るくしていた。

セイカは、走りながら石狩川を横目に走っていく。

「はあ、はあ・・」走る速度が途中で緩んでいくがそれでも早く彼に会いたかった。

なにを言うべきか、なんて言うか。頭の中で巡っていく。

星空の光は、農場を照らしては、大道路の真ん中を走るセイカの行く方向を照らしていた。

「早く・・・早く・・」と願いながら。


心臓がドクドク・・・と波打っていた。

「はあ・・はあ・・・・」

走り続けて３時間ぐらいは立っている。
やっと、「神居古潭」の看板が見えてきた。

静かな風の音が木々を鳴らしながら、雑草をざわめきながらまるでセイカを待ち侘びたように音を鳴らしていた。

「やっと。着いたわ・・・」

風向きが突然、変わった。それはセイカが来たせいなのか。

「静かになったわ・・・」

神居古潭の園内に入ると、彼を探し始めた。

「透吾ーー！どこおー」

叫んでみる。

叫ぶたびにさらに静けさだけがさらに増していく。

星空を映し出す水面に水飛沫がなる音が聞こえてきた。

「透吾！？」

ただ、そこにいなかった。

「結局、いないの・・・」


星空はこんなに綺麗なのに。

こんなに綺麗なのに。

セイカはこの地に涙を流していた。

「星空の涙を」